戸塚文子
戸塚 文子(とつか あやこ、1913年〈大正2年〉3月25日 - 1997年〈平成9年〉11月7日)は、日本の紀行文作家。東京府(後の東京都)日本橋浜町生まれ[1]。
戸塚 文子 (とつか あやこ) | |
---|---|
『アサヒグラフ』1952年4月23日号 | |
誕生 |
1913年3月25日 東京府日本橋浜町 |
死没 | 1997年11月7日(84歳没) |
国籍 | 日本 |
最終学歴 | 日本女子大学校 |
活動期間 | 1942年 - 1983年 |
代表作 | 『旅は風のように』『旅は悠々』『ドライ・ママ』他 |
主な受賞歴 |
日本旅行作家協会賞(1983年) 勲四等宝冠章(1984年) |
デビュー作 | 『旅の眼旅の耳』 |
配偶者 | 無 |
ウィキポータル 文学 |
経歴
編集父の仕事の関係で、5歳の頃から小学4年までを横浜市神奈川区で過ごし、日本国外への憧れを抱いて育った後に、東京への転居を経て兵庫県神戸市に移った[1]。
1934年(昭和9年)に日本女子大学英文科卒業後、女性として初めてジャパン・ツーリスト・ビューロー(JTB)に入社した。東京駅案内所の案内係を経て、同社発行の雑誌『旅』編集部に移り、世界各国の数々の旅行情報を読者へ紹介した[1]。
1948年(昭和23年)に女性初の編集長となり、多くの企画の成功により旅行ブームのきっかけとなった。1957年(昭和32年)には松本清張の『点と線』を『旅』に掲載し[2]、推理小説ブームのきっかけを作った[3]。この当時、独身で美貌のキャリア・ウーマンの元祖と注目された[3]。
1961年(昭和36年)に退社して、フリーとなった。翌1962年(昭和37年)、母を描いた『ドライ・ママ』は反響を呼び[1]、テレビドラマ化もされた[4]。その後は年の3分の2を国内外へ旅行する生活を送り、旅行随筆を執筆し[1]、戦後の女性の社会進出の草分け的存在となった[5]。
晩年には、視力が悪いことや家事が苦手なことから、1982年(昭和57年)に老人ホームに入居し、独身高齢女性の老人ホーム入居の流行の先駆けとなった[1]。1983年(昭和58年)に第1回日本旅行作家協会賞を受賞、翌1984年(昭和59年)に勲四等宝冠章を受章した[5]。
著書
編集- 旅の眼旅の耳(山河書房、1942年)
- しやぼてん夫人(駿河台書房、1951年)
- 日本の旅(要書房、1952年)
- やぶかんぞう 随筆集(創元社、1952年)
- 日本の旅 続(要書房、1953年)
- サラリー・ガール(要書房、1953年)
- たのしい日本のたび(あかね書房、1954年)(小学生学習文庫)
- ビルの谷間(朋文堂、1955年)(旅窓新書)
- 旅の四季(河出書房、1955年)(河出新書)
- 旅の春秋 続・旅の四季(河出書房、1957年)(河出新書)
- みんなの旅(日本経済新聞社、1957年)渡辺公平共著
- 旅と味(東京創元社、1957年)
- 世はなさけ(東京創元社、1957年)
- ヨーロッパ三等旅行(六月社、1958年)
- 若き日の旅(実業之日本社、1958年)
- 素顔のアメリカ(実業之日本社、1960年)
- 季節の旅(大泉書店、1961年)
- カメラ世界散歩(実業之日本社、1961年)
- イスラエルの旅 ユダヤの国(実業之日本社、1961年)
- ひとりだけの旅(青春出版社、1962年)(青春新書)
- 旅の思い出(大泉書店、1962年)
- ドライ・ママ(文藝春秋新社、1962年)(ポケット文春)、文春文庫、1984年
- 四季の行楽(大泉書店、1963年)
- 外人さん(文藝春秋新社、1964年)(ポケット文春)
- お邪魔さま(文藝春秋、1965年)(ポケット文春)
- あなたを美しくする職場の作法(グラフ社、1967年)、扇谷正造共著
- 全国ホテル案内(文藝春秋、1967年)(文春実用百科)、原勉共著
- 異国の楽園 世界22のリゾート(日本交通公社・ベルブックス、1971年)
- 地球気ままな旅(三笠書房ぱぴるすbooks、1973年)
- 日本料理(タイムライフブックス、1973年)
- 旅は風のように(PHP研究所、1978年1月)
- 生と死の間に(潮文社、1978年12月)
- 食のかなた(日本経済新聞社、1980年9月)
- 旅は悠々(講談社、1983年7月)
脚注
編集- ^ a b c d e f g 江刺昭子、かながわ女性史研究会編著『時代を拓いた女たち』 第III集、神奈川新聞社、2019年7月26日、146-147頁。ISBN 978-4-87645-597-3。
- ^ 原口隆行『鉄道ミステリーの系譜 シャーロック・ホームズから十津川警部まで』交通新聞社〈交通新聞社新書〉、2016年10月、14頁。ISBN 978-4-330-69816-8。
- ^ a b “戸塚文子”. ネットミュージアム兵庫文学館. 兵庫県立美術館. 2020年3月1日閲覧。
- ^ “ドラマシリーズ ドライママ”. テレビドラマデータベース. 2020年3月1日閲覧。
- ^ a b 日外アソシエーツ編集部編 編『20世紀日本人名事典』日外アソシエーツ、2004年7月26日。ISBN 978-4-8169-1853-7 。2020年3月1日閲覧。