憲法学会
憲法学会 (けんぽうがっかい、THE CONSTITUTIONAL LAW ASSOCIATION)は、日本国ならびに世界各国の憲法に関する研究を目的として、1959年に設立された、日本の憲法研究を代表する学会組織である。澤田竹治郎(元行政裁判所長官、前最高裁判所判事、愛知大学教授)を初代理事長とする。
けんぽうがっかい 憲法学会 | |
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英語名称 | THE CONSTITUTIONAL LAW ASSOCIATION |
専門分野 | 法学系 |
事務局 |
日本 〒162-0808 東京都千代田区神田三崎町2丁目3番1号 学会事務局(日本大学法学部 福島研究室) |
刊行物 | 『憲法研究』 |
ウェブサイト | https://kempogakkai.jp/ |
学術研究団体としての種別は単独学会である。
憲法学会結成趣意書
編集憲法は、国家組織の基本を定め、国家活動に基準を与へる最高の法規範である。憲法は、また国民の理想と願望の宣言であり、国民生活の在り方を示す道標である。しかも、国民の理想、願望、国民生活の在り方といふものは、民族の歴史の所産であり、その凝集したものにほかならない。従つて憲法は、民族の歴史の所産として、またその凝集したものとして、その国固有の独自性の上に成立するものであり、また成立させなければならないものである。このことは、憲法をして憲法たらしめる基本原理であり、万国の憲法に通ずる普遍的原則であるといはなければならぬ。もし、それ、憲法にしてこのやうな原理原則に反するならば憲法は自ら厳しい歴.史の審判の下に一個の空文と化するであらう。更にまた国家の統一と発展を阻み、国民生活の不安動揺を招き、つひには国家悠久の生命をも失はしめるに至るであらう。ここに、少くとも憲法に関しては、その規定の内容ばかりでなく、その成立するに至つた全過程が特に重視されなければならない理由がある。顧みるに、現下わが国における思想、政治、法律、経済、宗教、教育、文芸等、各界の昏迷と相剋の現状は、一にかかつて道義の頽廃と国家意識の稀薄に基因するものであるが、その由つて来る所以は、果して憲法が、右の原理原則に適合して成立したるものなりや、即ち、いはゆる憲法情態の正否如何にかかるものと考へられる。かくて、真に国家の興隆をはかり、国民生活の健全なる発展を願ふ者は、すみやかに現行憲法及びその憲法情態に検討を加へ、もつて正しき憲法生活の確立と充実に資するところがなければならない。
われらは、憲法をして憲法たらしめる基本原理、万国の憲法に通ずる普遍的原則を究明するとともに、わが国固有の独自性の上に憲法生活を確立する方途を発見し、進んでその成果をひろく世に問ひ、国家の興隆と国家生活の発展に寄与することを目的として、ここに憲法学会を結成するに至つた。われらは厳に独善を戒め、謙虚に、諸家の高説に聴き、憲法学及びその隣接諸科学の研究者たる同憂の士と相提携協力し、もつて学徒としての本分を全うしたいと冀ふものである。願はくば、ひろく同憂の学徒の御賛同と御協力を賜はらんことを。
— 昭和三十四年四月九日 憲法学会設立準備委員会 代表 澤田竹治郎[1]
歴代理事長
編集代 | 氏名 | 備考 |
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初代 | 澤田竹治郎 | 元行政裁判所長官、前最高裁判所判事、愛知大学教授 |
第2代 | 大石義雄 | 京都大学名誉教授、京都産業大学教授 |
第3代 | 川西誠 | 日本大学教授 |
第4代 | 相原良一 | 東京水産大学教授 |
第5代 | 小森義峯 | 国士舘大学教授 |
第6代 | 小島和夫 | 中央学院大学教授 |
第7代 | 土居靖美 | 姫路獨協大学教授 |
第8代 | 小林昭三 | 早稲田大学教授 |
第9代 | 竹花光範 | 駒澤大学教授 |
第10代 | 高乗正臣 | 平成国際大学教授 |
第11代 | 慶野義雄 | 平成国際大学教授 |
第12代 | 東裕 | 日本大学教授 |
事業
編集
一 研究会、講演会及び講習会の開催
二 機関誌「憲法研究」その他図書の刊行
三 論文その他の意見の発表
四 講師の派遣その他必要な啓発運動
五 政府、公共団体及びその他の団体との連絡協力
六 前各号のほか適当と認めるもの
学派
編集他団体 | 憲法学会 穏健な中道・保守 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
- 憲法研究を行う学術団体としては、穏健な中道・保守主義の立場で立論する。
- 国防を肯定するなどの点から保守派とされるが、世論調査に現れる国民大多数の憲法認識とおなじところである。
- 日本政府の国策と親和性を有する。
- 防衛省・警察庁・国税庁等の省庁大学校教官や外部講師等になる者もいる。
- かつての憲法学界について、小林のインタビュー内での私見を参考に取り上げる。
憲法学者の世界は8割が左翼、2割が右翼でね。所属する学会も、左は日本公法学会、右は憲法学会などと分かれていて。左は「改憲」はタブーだった・・ — 小林節・慶応大名誉教授[2]
社会貢献
編集憲法学会員を含む憲法学者の社会貢献の一環として、法教育の普及がある。事例として、法律討論会を取り上げる。
全日本学生法律討論会 全日本学生法学連盟 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
関西学生法学連盟 関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学、神戸学院大学 | 関東学生法学連盟 慶應義塾大学、駒澤大学、専修大学、中央大学、日本大学、明治大学、立教大学、早稲田大学 | 九州・瀬戸内学生法学連盟
香川大学、九州大学、福岡大学、鹿児島大学、志學館大学、広島修道大学 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
毎年行われる討論会は最高裁判所、最高検察庁、日本弁護士連合会、朝日新聞社、日本評論社、有斐閣の後援を受けている。このような討論会での活発な憲法討論を通し、日本国の次世代を担う若き俊秀を育んでいる。
刊行物
編集記念論文集
編集- 『憲法百年 : 憲法発布百周年憲法学会創設三十周年記念論文集』憲法発布百周年・憲法学会創設三十周年記念論文集編集委員会 編 1990年2月
- 『憲法における普遍性と固有性―憲法学会五十周年記念論文集』憲法学会設立五十周年記念論文集編集委員会 編 成文堂 2010年11月
- 『日本憲法学の理念と展望 憲法学会六十周年記念論文集』憲法学会六十周年記念論文集編集委員会 編 成文堂 2022年4月9日
憲法研究
編集- 誌名(和文):憲法研究
- 誌名(欧文):THE JOURNAL OF CONSTITUTIONAL LAW
- 創刊年:1962
- 資料種別:ジャーナル(査読付き論文を含む)
- 使用言語:日本語のみ
- 発行形態:印刷体
- PRINT ISSN:0389-1089
- 発行頻度:1回/一年あたり
- 発行部数:400
脚注
編集- ^ 公式サイト及び学会名鑑、2024年7月12日参照
- ^ あそこは左翼の巣窟だけど… 反学術会議派・小林節氏が首相を糾弾する理由 - ウェイバックマシン(2020年10月24日アーカイブ分)
参考文献
編集- 日本学術協力財団 編『学会名鑑 2007-2009年版』日本学術協力財団、2007年。ISBN 4939091074。