感性
内在的にひきおこされる感覚的な性質
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概説
編集感性とは、美や善などの評価判断に関する印象の内包的な意味を知覚する能力と言える。これは非言語的、無意識的、直感的なものであり、例えば何らかの音楽に違和感を覚えるように人間に作用することもある。感性についての研究は古くは美学や認識論、また認知心理学や芸術学などで行われてきたものであり、歴史的には19世紀に心理学者・フェヒナーが黄金比についての実験美学研究にその起源を求めることもできる。
定義
編集感性の定義は哲学的、心理学的にさまざまに行われている。認識論では悟性の対極にあって受動的な知覚を担うものであり、また、人間的な理性よりも下位にあるために、より動物的なものだと論じられることもある。近代ドイツの哲学者カントが『純粋理性批判』にて「悟性的な認識の基盤を構成する感覚的直感表象を受容する能力」と言ったが、この場合の感性はより感覚に近い位置づけである。
ただし、心理学では感性と感覚は必ずしも同一としない。離人症の患者がどんな絵画を鑑賞しても色や形を感覚として知覚しているものの、それらから何の感動や感情も持つことはなかったという症例があり、このことから情報の感覚的な処理と感性的な処理は単純に同じではないことが分かる。従って心理学者の三浦佳世は感性を「事物に対する感受性、とりわけ、対象の内包する多義的であいまいな情報に対する直感的な能力」と定義した。そしてこれに「高速で行われるところの帰属要因ならびに処理過程に関する情報の選択あるいは統合に対する無自覚性を特徴とする、処理に対する能力で、主に評価の形で表現されるもの」とも定義した。後に創造的な側面を踏まえて「無自覚的・直感的・情報統合的にくだす印象評価判断能力」という定義も加えられた。
関連項目
編集参考文献
編集- 海保博之、楠見孝監『心理学創造事典』(朝倉書店、2006年)
- 日本認知心理学会 (監修), 三浦 佳世 (編集)『現代の認知心理学〈1〉知覚と感性』, 北大路書房, 2010年