幻の祭典
『幻の祭典』(まぼろしのさいてん) は、逢坂剛の小説。1991年から1992年まで『週刊新潮』で連載され、1993年に新潮社から書籍化された。
幻の祭典 | |
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作者 | 逢坂剛 |
国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
ジャンル | 冒険小説 |
発表形態 | 雑誌連載 |
初出情報 | |
初出 | 週刊新潮 1991年11月 - 1992年12月 |
出版元 | 新潮社 |
刊本情報 | |
出版元 | 新潮社 |
出版年月日 | 1993年5月 |
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1936年7月19日から7月26日までスペインのカタルーニャ州、バルセロナで開催される予定だったが、7月17日に軍の蜂起で勃発したスペイン内戦のため中止になったスポーツ競技大会"人民オリンピック"の埋もれていた歴史と、1992年オリンピック開催をめぐって分断される、バルセロナの過去と現代が交錯しながら描かれる。
1993年『このミステリーがすごい ! '94年版』第8位[1]。
あらすじ
編集広告会社のテレビ番組企画局に勤める重堂光敦は、来年開催されるバルセロナオリンピックに関連した企画として、1936年にバルセロナで開催されるはずだったが中止になった、人民オリンピックの番組化をテレビ局から要請された。重堂は入社当時の先輩で現在は独立した、制作会社の社長久留主誠に相談した。資料を目にした久留主は、いつになく興奮した様子をみせる。その後テレビ局側から前向きな回答は得られなかったが、久留主は精力的に資料を集め現地取材の用意と、彼らの元同僚で現在バルセロナに音楽留学している森村奈都子に連絡を取り協力を依頼していた。久留主はたとえ社運を賭ることになっても、この企画を物にする決意を重堂に伝えた。
1936年7月、ベルリンオリンピックの馬術競技厩務員としてドイツ入りしたが、ナチス・ドイツのプロパガンダの場と化したオリンピックに反感を憶えた立花兵輔は、労働者組織を中心に集まった人民オリンピックが開催されるスペイン行きを決意した。バルセロナで立花は大会事務局員のアントニ・マリンの口利きで臨時傭員とされたが、開催前日になってスペイン保護領モロッコでフランシスコ・フランコが率いる軍の反乱が発生したと伝わった。本土への波及はないとみられていたが、バルセロナの街には不穏な雰囲気が垂れこめる。開会式が行われる7月19日の早朝、カタルーニャ広場の大会案内所で寝泊まりしていた立花は、乾いた破裂音に眠りを覚まされた。
主な登場人物
編集1936年
編集- 立花兵輔 馬術競技厩務員、内戦で人民戦線に参加
- 鬼頭源一 兵輔の友人、画商見習い
- アントニ・マリン・モンタルバン 人民オリンピック大会事務局員
- スザンナ・ロドリゲス アントニの妻
- ブエナヴェントゥラ・ドゥルティ アナキストの民兵隊リーダー
- エリック・ブレア POUMの義勇兵
1991年
編集書籍
編集出典
編集- ^ 『このミステリーがすごい!'94年版』JICC出版局、1993年12月1日。