幕末純情伝
『幕末純情伝』(ばくまつじゅんじょうでん)は、つかこうへい作の長編時代小説。『幕末純情伝―龍馬を斬った女―』(ばくまつじゅんじょうでん りょうまをきったおんな)と題し『野性時代』(角川書店)1988年7月号にて発表、同年9月21日に角川書店より刊行された。幕末の騒乱期を舞台に、沖田総司は女性だったとの設定のもと[1][2]、沖田と土方歳三・坂本龍馬との三角関係を描いたコメディ。つか自身により戯曲化され1989年8月に刊行・初演された。
幕末純情伝 ―龍馬を斬った女― | ||
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著者 | つかこうへい | |
発行日 | 1988年9月21日 | |
発行元 | 角川書店 | |
ジャンル |
長編小説 時代小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 四六版 | |
ページ数 | 288 | |
公式サイト | www.kadokawa.co.jp | |
コード |
ISBN 978-4-04-872509-5 ISBN 978-4-04-142234-2(文庫判) | |
ウィキポータル 文学 | ||
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概要
編集沖田総司は女性だったという設定で幕末の騒乱期を描く時代劇で、沖田と土方歳三や坂本龍馬との恋愛模様が繰り広げられる。
発表媒体で設定は異なり、たとえば捨て子だった沖田の養家の義兄(これも沖田と恋愛関係にある)は小説では小栗忠順、舞台版では勝海舟となっており、映画では沖田の出自には触れておらず義兄は登場しない。
『幕末純情伝―龍馬を斬った女―』のタイトルで『野性時代』(角川書店)1988年7月号に一挙掲載され、同9月30日に単行本として刊行された。のちに角川文庫版が刊行され、さらに光文社文庫から「つかこうへい演劇館」の一冊として再刊されたものが電子書籍になっている。
関連作として、舞台版の設定を踏まえた新選組メンバーのキャラクターや沖田総司の出生の設定等スケールアップされた『龍馬伝』三部作(完結はしていない)がある。
舞台上演に際して戯曲が発表されているが、実際の芝居内容と異なるところも多い。
あらすじ
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登場人物
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書誌情報
編集- 幕末純情伝―龍馬を斬った女―
- 角川書店 1988年9月30日 ISBN 4-04-872509-2
- 角川文庫 1990年12月10日 ISBN 978-4-04-142234-2
- 光文社文庫(つかこうへい演劇館) 1998年3月20日 ISBN 978-4-334-72569-3
- 戯曲&小説 幕末純情伝 トレンドシェア 2008年 ISBN 978-4-905090-00-7
- 龍馬伝 野望篇
- 角川書店 1991年2月 ISBN 4-04-872617-X
- 角川文庫 1991年7月 ISBN 4-04-142236-1
- 龍馬伝 青春篇
- 角川書店 1991年12月 ISBN 978-4-04-872684-9
- 角川文庫 1995年2月 ISBN 4-04-142239-6
- 龍馬伝 決死篇
- 角川書店 1993年6月 ISBN 4-04-872752-4
- 角川文庫 1995年11月 ISBN 4-04-142240-X
- 龍馬伝 三部作完全収録 トレンドシェア 2010年6月8日 ISBN 978-4-905090-06-9
戯曲
編集戯曲 幕末純情伝 | |
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作者 | つかこうへい |
国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
ジャンル | 戯曲 |
初出情報 | |
初出 | 単行本 |
刊本情報 | |
出版元 | 白水社 |
出版年月日 | 1989年8月1日 |
総ページ数 | 159 |
初演情報 | |
公演名 | 幕末純情伝 黄金マイクの謎 |
場所 | PARCO劇場 |
初演公開日 | 1989年8月7日 |
ポータル 文学 ポータル 舞台芸術 |
『戯曲 幕末純情伝』と題し1989年8月1日に白水社より刊行、『幕末純情伝 黄金マイクの謎』として同年8月7日にPARCO劇場にてつかこうへい作・演出により初演された[3]。
以降、『熱海殺人事件』『飛龍伝』と並ぶつかの代表作として上演され続けている。
舞台
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年 | タイトル | 演出 | 沖田総司 | 坂本龍馬 | 主催・制作・劇団 | 主な劇場 |
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1989 | 「幕末純情伝 黄金マイクの謎」 | つかこうへい | 平栗あつみ | 西岡徳馬 | パルコ | PARCO劇場 |
1990 | 「幕末純情伝 黄金マイクの謎」 | つかこうへい | 平栗あつみ | 西岡徳馬 | パルコ | PARCO劇場 |
1998 | つかこうへいオールスター顔見世興行 「新幕末純情伝」 |
岡村俊一 | 藤谷美和子 | 筧利夫 | R.U.Pプロデュース | Bunkamura シアターコクーン |
1999 | 「新幕末純情伝 空駆ける龍、再び」 | 岡村俊一 | 藤谷美和子 | 筧利夫 | R.U.Pプロデュース | 銀座セゾン劇場 |
2003 | つかこうへいダブルス2003 「幕末純情伝」 |
杉田成道 | 広末涼子 | 筧利夫 | アール・ユー・ピー | 青山劇場 |
2007 | 劇団OPA Vol.20 「幕末純情伝」[4] |
後藤宏行 | 小野妃香里 | 藤浦功一 | 劇団OPA | 笹塚ファクトリー |
2008 | 「幕末純情伝 龍馬を斬った女」 | つかこうへい | 石原さとみ | 真琴つばさ | 松竹 | 新橋演舞場 |
2011 | パルコ劇場 つかこうへい追悼公演 「新・幕末純情伝」 |
杉田成道 | 鈴木杏 | 馬場徹 | パルコ | PARCO劇場 |
2012 | つかこうへい三回忌特別公演 「新・幕末純情伝」 |
岡村俊一 | 桐谷美玲 | 神尾佑 | アール・ユー・ピー | Bunkamura シアターコクーン |
2014 | つかこうへいダブルス2014 「新・幕末純情伝」 |
岡村俊一 | 河北麻友子 | 神尾佑 | アール・ユー・ピー | シアタートラム |
2015 | 「新・幕末純情伝」[5] | 松本和巳(総合演出) 川本淳市(演出) |
西平風香 | 武田航平 | gmk project | 新国立劇場小劇場 |
2016 | Gフォースプロデュース 「幕末純情伝」[6] |
後藤宏行 | 井内友理恵 | 小野寺博 | Gフォース | Gフォース アトリエ |
つかこうへい七回忌特別公演 「新・幕末純情伝」[7][8] |
岡村俊一 | 松井玲奈 | 石田明 | ネルケプランニング Grick |
天王洲 銀河劇場 紀伊國屋ホール 梅田芸術劇場 | |
2017 | 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 中城城跡特設ステージ | |||||
2018 | つかこうへい生誕70年記念特別公演 「『新・幕末純情伝』FAKE NEWS」[9] |
河毛俊作 | 北原里英 | 味方良介 | エイベックス・エンタテインメント アール・ユー・ピー プラグマックス&エンタテインメント |
紀伊國屋ホール |
2023 | つかこうへい復活祭2023 『新・幕末純情伝』[10] |
岡村俊一 | 菅井友香 | 松大航也 | アール・ユー・ピー | 紀伊國屋ホール 神戸・AiiA 2.5 Theater Kobe |
1989年1 - 2月、つかこうへい演劇復帰作『今日子』において、当日の出演者に春田純一を加えた特別キャストで『幕末純情伝』予告編が披露された[11]。
書誌情報(戯曲)
編集- 戯曲 幕末純情伝 白水社 1989年8月7日 ISBN 4-560-03345-5
- つかこうへい戯曲シナリオ作品集 (4) 白水社 1996年11月15日 ISBN 978-4-560-03489-7
- 新・幕末純情伝 戯曲(ENBU研究所の本) 演劇ぶっく社 1999年7月 ISBN 4-7952-3584-8 ※構成:岡村俊一
- 戯曲&小説 幕末純情伝 トレンドシェア 2008年 ISBN 978-4-905090-00-7
映画
編集幕末純情伝 | |
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監督 | 薬師寺光幸 |
脚本 | 薬師寺光幸 |
原作 | つかこうへい |
製作 | 奥山和由 |
製作総指揮 | 角川春樹 |
出演者 |
渡辺謙 牧瀬里穂 杉本哲太 |
音楽 | 国吉良一 |
主題歌 | BY-SEXUAL |
撮影 | 浜田毅 |
編集 | 荒川鎮雄 |
製作会社 | 角川春樹事務所 |
配給 | 松竹 |
公開 | 1991年7月6日 |
上映時間 | 105分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 8億6000万円[12] |
1991年公開。角川春樹事務所製作、松竹配給。併映は『ぼくらの七日間戦争2』。
牧瀬里穂が沖田総司を演じた。急病により『天と地と』を降板した渡辺謙の復帰第1作でもある(角川春樹が渡辺に「復帰したら、(復帰後に)最初に製作される映画に出演させる」と約束したため)。
キャスト
編集- 坂本龍馬 - 渡辺謙
- 沖田総司 - 牧瀬里穂
- 土方歳三 - 杉本哲太
- 近藤勇 - 伊武雅刀
- 深雪 - 財前直見
- 大久保利通 - 石丸謙二郎
- 松平容保 - 榎木孝明
- 桂小五郎 - 柄本明
- 岩倉具視 - 津川雅彦
- 西郷隆盛 - 桜金造
- お登勢 - 松金よね子
- 岡田以蔵 - 木村一八
- 中村半次郎 - 伊藤敏八
- 井上源三郎 - 角田英介
- 山南敬助 - 貞永敏
- 原田左之助 - 野崎海太郎
- 永倉新八 - 五島拓弥
- 藤堂平助 - 友居達彦
- 笑福亭笑瓶、伊藤克信、武野功雄、井手らっきょ、長江英和、金田明夫、岩城正剛、佐藤恒治、草薙仁、植村喜八郎、ピンクの電話、立原友香 ほか
スタッフ
編集- 監督・脚本:薬師寺光幸
- 原作:つかこうへい
- 製作総指揮:角川春樹
- 製作者:奥山和由
- 音楽:国吉良一
- 音楽プロデューサー:石川光
- 主題歌:「幕末純情伝」「沖田総司はBカップ」/BY-SEXUAL (ポニーキャニオン)
- 「ええじゃないか」振付:ラッキィ池田
- 撮影:浜田毅(T・S・C)
- 照明:長田達也
- 美術:稲垣尚夫
- 編集:荒川鎮雄
- 録音:弦巻裕
- 記録:椎塚二三
- 助監督:杉山泰一、日垣一博、城本俊治、麻生学
- 制作担当:井口喜一
- 音響効果:倉橋静男
- 殺陣:森岡隆見
- 絵草紙(エンドロールイラスト):山内隆
- ドックトレーナー:宮忠臣
- 火薬エフェクト:大平特殊効果
- 現像:IMAGICA
- ロケ協力:佐倉厚生園、マザー牧場、日光江戸村、長崎オランダ村、マリンパーク境ガ浜、坂戸市
- スタジオ:にっかつ撮影所
- プロデュース:霜村裕
- プロデューサー補:貝原正行、由里敬三
「幕末純情伝製作委員会」:松竹、東急エージェンシー、日本衛星放送、ニッポン放送出版、パイオニアLDC、IMAGICA、江崎グリコ、北斗塾、角川書店
製作
編集1990年12月19日、東京會舘で製作発表があり[13]、角川春樹事務所作品、松竹配給、監督・薬師寺光幸、出演・ 牧瀬里穂と発表された[13]。1990年末にも1991年松竹ラインアップとして黒澤明監督の『八月の狂詩曲』一本立ての後、1991年7月6日より『ぼくらの七日間戦争2』との二本立てで、監督・薬師寺光幸、出演・渡辺謙、牧瀬里穂と公表された[14]。モノクロ画面から始まり、黒船が岬を通過する4分過ぎからカラーになる。カラーを印象付けるため、菜の花畑の黄色が使われている。
キャッチコピー
編集沖田総司を演じた牧瀬里穂は当時CMなどで人気がピークであったが[2]、封切時のキャッチコピーは、今日ではNGと見られる「沖田総司はBカップ。」と牧瀬がBカップである事実を白日の下にさらすプロモーションが行われた[2]。このキャッチコピーは、映画の内容など吹き飛ばすもので[2]、中学生男子は皆前屈みだったとされる[2]。後にリリースされたDVDでは当然ながらこのキャッチコピーは抹消されている[2]。
脚注
編集- ^ a b 幕末純情伝 – 松竹
- ^ a b c d e f 「僕たちの大好きな角川映画70s~90s!クロニクル コメディ! 「沖田総司はBカップ。」幕末純情伝」『映画秘宝』2009年12月号、洋泉社、54頁。
- ^ “幕末純情伝”. PARCO STAGE. パルコ. 2018年11月19日閲覧。
- ^ “劇団OPA 幕末純情伝のページ”. 2007年7月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月3日閲覧。
- ^ “新・幕末純情伝 - gmk project”. gmk project公式サイト 2021年1月3日閲覧。
- ^ “Gフォース公式サイト”. 2016年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月3日閲覧。
- ^ “つかこうへい七回忌特別公演「新・幕末純情伝」主演に松井玲奈”. ステージナタリー (2016年3月1日). 2016年3月1日閲覧。
- ^ “松井玲奈主演「新・幕末純情伝」、2017年1月に沖縄&愛知で再演”. ステージナタリー. (2016年10月16日) 2016年10月17日閲覧。
- ^ “元NGT48の北原里英、沖田総司役でつかこうへい舞台に出演”. 音楽ナタリー (ナターシャ). (2018年4月24日) 2018年4月24日閲覧。
- ^ “元櫻坂46菅井友香、グループ卒業後初舞台で主演 広末涼子・桐谷美玲に続く“歴史的ヒロイン”に<新・幕末純情伝>”. モデルプレス (ネットネイティブ). (2022年11月26日) 2022年11月26日閲覧。
- ^ 一志治夫. “1994年「つかこうへい」という世界 第4回:変わり続ける台詞〈1〉”. G2. 講談社. 2013年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月23日閲覧。
- ^ 中川右介「資料編 角川映画作品データ 1976-1993」『角川映画 1976‐1986 日本を変えた10年』角川マガジンズ、2014年、285頁。ISBN 4-04-731905-8。
- ^ a b 「映画界重要日誌」『映画年鑑 1992年版(映画産業団体連合会協賛)』1991年12月1日発行、時事映画通信社、9頁。
- ^ 「21世紀に向けてー松竹新体制スタート特別インタビュー 松竹(株)製作担当兼渉外室兼戦線担当取締役 奥山和由 (聞き手)映画評論家 品田雄吉 『組織論と映画という生きものは、どこかで歯車が噛み合わないもの。自分の生理を信じて野蛮に高揚させていくっきゃない!』(インタビュー日、1991年12月20日、構成・松崎輝夫(『映画時報))。」『映画時報』1991年1月号、映画時報社、13頁。