山川岡児ケ水

鹿児島県指宿市の大字
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山川岡児ケ水(やまがわおかちょがみず[3][4][5])は、鹿児島県指宿市大字。旧薩摩国頴娃郡山川郷岡児ケ水村揖宿郡山川村大字岡児ケ水、揖宿郡山川町大字岡児ケ水。人口は1,202人、世帯数は536世帯(2010年10月1日現在)[6]郵便番号は891-0513である。

山川岡児ケ水
大字
薩摩半島の最南端「長崎鼻
地図北緯31度10分35秒 東経130度35分20秒 / 北緯31.176406度 東経130.588853度 / 31.176406; 130.588853座標: 北緯31度10分35秒 東経130度35分20秒 / 北緯31.176406度 東経130.588853度 / 31.176406; 130.588853
日本の旗 日本
都道府県 鹿児島県の旗 鹿児島県
市町村 指宿市
地域 山川地域
人口情報2010年(平成22年)10月1日現在)
 人口 1,202 人
 世帯数 536 世帯
郵便番号 891-0513 ウィキデータを編集
市外局番 099
ナンバープレート 鹿児島
運輸局住所コード[2] 46508-0190
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岡児ケ水の通称として徳光(とっこう)とも呼ばれており、江戸時代中期頃にサツマイモ琉球から岡児ケ水村に持ち込み、栽培に成功しのちに普及させたとされる前田利右衛門を祭神とする徳光神社が明治時代に創建されて以来の通称であるとされている[4]。徳光神社には「さつまいも発祥の地」の石碑がある[7]

地理

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薩摩半島の最南端に位置しており、指宿市の南西部に位置する。字域の北方には山川大山、東方には山川浜児ケ水、西方には開聞川尻がそれぞれ隣接している。字域の南部は海に面しており、長崎鼻と大隅半島の立目崎を結ぶ線を境界に以北は鹿児島湾、以南は東シナ海に面している。

字域の概ね海岸線に沿って開聞川尻にある川尻港から山川までを結ぶ鹿児島県道242号川尻浦山川線が通り、長崎鼻から開聞を結ぶ鹿児島県道243号長崎鼻公園開聞線がフラワーパーク付近から県道242号に重複して西方向に通っている。

教育施設は、かつては字域の西部に指宿市立徳光小学校があったが2021年(令和3年)3月31日を以て閉校となった。小学校跡地周辺に集落が形成されている。字域の南部にはフラワーパークかごしまや長崎鼻公園があり、鹿児島県の観光名所としても知られる[8]

地名の由来

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民俗学者である柳田國男の著書である「地名の研究」によると「児水」と呼ばれる清水から村の名前を得て、児水を岡(岡児ケ水)と浜(浜児ケ水)の二地区に分けたと記載されている[5]

また、「岡児ケ水」は難読地名であり、平凡社の『日本歴史地名大系』(1998年刊行)には「児ケ水」(ちょがみず)として[9]東京堂出版の『難読地名辞典』(1993年刊行)には「岡児ケ水」(おかちょうがみず)として掲載されている[10]

天然記念物

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自然公園・自然保護地区

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岡児ケ水の区域のうち長崎鼻周辺は国立公園である霧島錦江湾国立公園の区域であり、地上部は第2種特別地域、海上部は普通区域に指定されている[12]

歴史

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町村制施行まで

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岡児ケ水という地名は江戸時代より見え、薩摩国頴娃郡山川郷(外城)のうちであった[4]。村高は「三州御治世要覧」によると410石余、「旧高旧領取調帳」では443石余であったと記載されている[4]。かつては頴娃郷に属していたが、「頴娃郷旧跡帳」の記述によると慶安三年(1650年)に頴娃郷から山川郷に編入されたとされる[13]

また、寛文4年(1664年)の郡村高辻帳には岡児ケ水村が記載されておらず、「列朝制度」や「元禄国絵図」には大山村(現在の山川大山)の一部として記載されている[13]

江戸時代の中期、1705年に岡児ケ水の村人であった前田利右衛門琉球よりサツマイモを持ち帰り、自宅で栽培を行い、栽培に成功した後は種芋や苗を周囲の農民の配給しのちに広く普及した[14]前田利右衛門は明治時代になり、岡児ケ水の村人によって建立された徳光神社の祭神となった[4][13]

長崎鼻には異国船遠見番所である「望哨」が薩摩藩によって設置されており、異国船の監視を行っていた[13]。長崎鼻について江戸時代後期に薩摩藩によって編纂された三国名勝図会には以下のように記述されている。

長崎觜 大山村にあり、此地の尖觜海中に突出すること数町にして、松樹森然たり、故に長崎觜といふ、此地に望哨を置く、遠望によきの所なればなり、
三国名勝図会第二十二巻

町村制施行以後

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岡児ケ水村は頴娃郡の区域内であったが、山川郷のうち岡児ヶ水村、大山村以外の村は揖宿郡に属していたため、1889年(明治22年)2月19日に頴娃郡から揖宿郡に変更する旨が裁可された[15]。同年4月1日町村制施行によりそれまでの山川郷の区域より山川村が設置され、それまでの岡児ケ水村は揖宿郡山川村大字岡児ケ水」となった。1930年(昭和5年)には山川村が町制施行し、山川町の大字となった[4]

2006年平成18年)1月1日に山川町が指宿市及び開聞町と新設合併し、新制の指宿市となった。大字名はそれまでの大字名に自治体の名称を冠したものに改称することとなり、大字岡児ケ水は指宿市の大字「山川岡児ケ水」となった[16][17]

施設

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指宿市立徳光小学校(2021年閉校)

公共

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  • 区営徳光温泉[5]

教育

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  • 指宿市立徳光小学校(2021年3月31日閉校[18]
  • 慈光保育園

郵便局

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  • 徳光郵便局

寺社

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産業

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農業

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主に畑作を中心とした農業地域であり[8]、岡児ケ水の通称である徳光の名前を冠した「徳光スイカ」が生産されている[23]。山川産のスイカは江戸時代に薩摩藩によって製作された地誌である「三国名勝図会」には美味であると記載されている[24]

観光

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海上から見た長崎鼻と奥に見える開聞岳

小・中学校の学区

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市立小・中学校に通う場合、学区(校区)は以下の通りとなる[26]

大字 地区 小学校 中学校
山川岡児ケ水 全域 指宿市立山川小学校 指宿市立山川中学校

交通

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道路

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県道

鉄道

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字域内には鉄道は通過していない。最寄り駅は字域の北方に隣接する山川大山に所在している指宿枕崎線西大山駅である。

著名な出身者

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脚注

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  1. ^ 日本 町字マスター データセット”. デジタル庁 (2022年3月31日). 2022年4月29日閲覧。
  2. ^ 自動車登録関係コード検索システム”. 国土交通省. 2021年4月26日閲覧。
  3. ^ 鹿児島県指宿市山川岡児ケ水(やまがわおかちょがみず)とは”. コトバンク. 2018年1月31日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 角川日本地名大辞典編纂委員会 1983, p. 165.
  5. ^ a b c d 永野雄一, 常深さゆり & 廣庭直之 2013.
  6. ^ 2.男女別人口及び世帯数 - 町丁・字等(CSVファイル)( 平成22年国勢調査 小地域集計 46鹿児島県) - 総務省統計局 2012年7月25日閲覧。
  7. ^ サツマイモ発祥の地 - 鹿児島県、2018年1月31日閲覧。
  8. ^ a b 角川日本地名大辞典編纂委員会 1983, p. 854.
  9. ^ 芳即正 & 五味克夫 1998, p. 993.
  10. ^ 山口恵一郎 & 楠原佑介 1993.
  11. ^ a b 鹿児島県のソテツ自生地”. 鹿児島県. 2018年1月31日閲覧。
  12. ^ 錦江湾地区(霧島錦江湾国立公園区域図)”. 環境省. 2020年6月27日閲覧。
  13. ^ a b c d e 芳即正 & 五味克夫 1998, p. 211.
  14. ^ 『47都道府県郷土をつくった偉人事典』(監修:上田孝俊) 97頁
  15. ^ 鹿児島県 1943, p. 587.
  16. ^ 平成18年鹿児島県告示第1号(字の名称の変更、  原文
  17. ^ 新市の住居表示 - 指宿市 2013年9月6日閲覧。
  18. ^ 公立学校(幼・小・中・義務教育学校)の設置廃止一覧”. 鹿児島県教育委員会 (2021年3月30日). 2021年4月26日閲覧。
  19. ^ a b 徳光神社 - 鹿児島県神社庁、2018年1月31日閲覧。
  20. ^ 徳光神社 - 鹿児島県観光サイト、2018年1月31日
  21. ^ 龍宮神社 - 鹿児島県観光サイト、2018年1月31日
  22. ^ 龍宮神社~いぶすき観光ネット - 指宿市観光協会(指宿市)、2018年1月31日閲覧。
  23. ^ 幻の「徳光スイカ」初出荷 - JAいぶすき、2018年1月31日閲覧。
  24. ^ 徳光スイカ”. 指宿市考古博物館. 2018年1月31日閲覧。
  25. ^ いぶすき観光ネット - 指宿市観光協会(指宿市)、2018年1月31日閲覧。
  26. ^ 指宿市小学校及び中学校の通学区域に関する規則 - 指宿市 2013年9月6日閲覧。

参考文献

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  • 鹿児島県『鹿児島県史 第四巻』鹿児島県、1943年。 NDLJP:1239981
  • 芳即正五味克夫『日本歴史地名体系 47 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。ISBN 4-582-49047-6 
  • 角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』角川書店、1983年。ISBN 978-4040014609 
  • 永野雄一、常深さゆり、廣庭直之「373ワイド 岡児ケ水新聞」『南日本新聞』2013年1月22日、15面。
  • 山口恵一郎楠原佑介『難読地名辞典』(第10版)東京堂出版、1993年。ISBN 4-490-10096-5 

関連項目

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