宇宙船(うちゅうせん、spaceship)は、宇宙機のなかで、とくにの乗ることを想定しているものを言う[1]有人宇宙機(ゆうじんうちゅうき)とも。

宇宙船ソユーズ
ジェミニ6号
アポロ13号の機械船
スペースシャトルオービタ(チャレンジャー、1983年)
アニメなどに現れることのあるイメージ

定義

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ニッポニカ百科事典の解説によると、宇宙機のなかでとくに人の乗ることを想定しているものを宇宙船と呼ぶ、ということである[1]。大気圏外で使用される人工物は宇宙機 (spacecraft) と総称し、その中で人を乗せるものを特に宇宙船 (spaceship) と呼ぶ、と使い分けられている。なお、UFOは、未確認の飛行物体のことであり、宇宙船であるかどうかは問わない。

広辞苑』の第5版では「宇宙空間の飛行用に作られた容器」とし「宇宙機」という言葉は掲載していない。現在の第6版では「宇宙船」を「宇宙空間用に作られた飛行体」としており、ニッポニカの「宇宙機」のかなりの部分を含む定義になっている[注釈 1]

このように、人によっては「宇宙船」という言葉のほうを総称のように用いている場合もあり、指し示す範囲が異なるので混線も見られる。[注釈 2]

ここでは、宇宙機を総称として扱い、人を乗せることを想定した宇宙機(有人宇宙機)を宇宙船と呼ぶ、という解釈で解説を行う。

なお、宇宙船の試験飛行に使用されるもの、それを後で改造して無人飛行を可能にしたものもしばしば宇宙船と呼ばれている[注釈 3]

分類

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運用による種類

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カプセル型宇宙船
使い捨てを前提とする宇宙船。アポロ司令・機械船ソユーズなどに代表される。スペースシャトルの登場でいったんは廃れたものの、コストなどの点から再評価されている。アメリカはシャトルの後継としてカプセル型のオリオンを採用した。
宇宙往還機スペースシャトル
地上と軌道上とを繰り返し往復する宇宙船、ないしローンチ・ヴィークルブースターを合わせたシステム全体。システムの全体または一部の再使用を前提としており、宇宙船はふつう翼を備える。再使用型宇宙往還機 (RLV)、再使用型宇宙輸送システムなどとも呼ばれる。スペースシャトルが代表的。狭義には、スペースプレーンは含まない[2]。ブースターを用いない単段式宇宙輸送機 (SSTO) も研究されているが、技術的な面で課題が大きい。

代表的な宇宙船

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カプセル型

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往還機

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1963年8月22日には、アメリカの実験機 X-15が、ジョー・ウォーカー飛行士によって高度107.960kmに到達した。この記録をもって、X-15を宇宙船に含めるべきとの意見もある[要出典]。(国際航空連盟 (FAI) による定義では、高度100km以上が宇宙とされる)。

ボイラープレート

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ボイラープレートとは、原義ではボイラー[注釈 4]に貼る銘板のことで、そこから転じて、「テンプレート」と呼ばれるようなものの大規模なものを指す英単語である。

宇宙開発では機能しない宇宙船またはシステムで本来のペイロードと同一の重量や、外形寸法を模した(似せた)宇宙船といったものを指してそう呼んでいる。これを用いた試験の結果を本来打ち上げる宇宙船や人工衛星の開発に反映させる。その他、非常時の脱出装置の試験にも用いられる。

宇宙船の開発には多く用いられ、1960年代初頭のNASAでは、多くのボイラープレートが打ち上げられた。ビッグ・ジョー1号や地上試験や大気圏内での飛行試験で使用されたスペースシャトル・エンタープライズ等も含まれる。

NASAのコンステレーション計画でも同様にアレスIロケットの初期の試験でオリオン宇宙船のボイラープレートが使用される予定だった。

脚注

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注釈

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  1. ^ そもそも船という言葉に「箱型の容器」という意味がある。
  2. ^ あくまで個別事例ではあるが、小惑星探査機はやぶさが「宇宙船」と呼ばれることがある。これははやぶさPM川口淳一郎が積極的に宇宙船と呼んでいたためであり、人類未踏の地に乗り出す長距離飛行を大航海時代の船になぞらえたのだという。JAXAメールマガジン第27号
  3. ^ マーキュリー計画のA-5まで、ジェミニ計画2号まで、アポロ計画6号までなどでは、有人飛行のために設計された機体が試験のために無人で飛ばされた。これは宇宙船と呼ばれている。 国際宇宙ステーション (ISS) への無人補給船であるロシアのプログレス補給船ESAATV、日本のHTVも、しばしば宇宙船と呼ばれる。これらは、有人宇宙船に匹敵する大きさで、与圧室を備え、ISSにドッキング中は人間が中で活動することもできる。特にプログレスは、そもそも有人宇宙機であるソユーズを改造して無人化して使用している。また、ATVも有人化構想があるなど、有人宇宙船と共通の設計が多い。
  4. ^ 人類が初めて産業的に扱った、本格的な加圧される器具で初期には事故も多かったため、履歴の明示など製造者責任のような考え方につながる源のひとつである。

出典

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関連項目

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外部リンク

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