北港渓鉄橋
北港渓鉄橋(ほっこうけいてっきょう)、または復興鉄橋(ふっこうてっきょう)は台湾雲林県北港鎮公館里と嘉義県新港郷笨港、板頭厝の境界、北港渓に架かる台湾糖業鉄道北港線(廃線)の鉄道橋。現在は雲林県、嘉義県両政府の文化資産(歴史建築)に指定されている。「復興鉄橋」は戦後の名称。鉄筋コンクリート構造の橋脚76本にH型鋼の橋桁74本が架かるビーム橋、と両端の下路式ガーダー橋2本から構成され、全長は台糖路線のみならず台湾のナローゲージ用としては最長の878.63メートル。また台湾で唯一曲線形となっている[3]。
北港渓鉄橋(復興鉄橋) Xingang Taisugar Fuxing Iron Bridge または Beigang Fuxing Bridge | |
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中華民国 文化資産 | |
登録名称 | (雲林県)北港溪鐵橋 (嘉義県)臺糖嘉北線五分仔鐵道暨北港溪鐵橋 |
その他の呼称 | 復興鉄橋 |
種類 | 橋梁 |
等級 | 雲林県歴史建築 嘉義県歴史建築 |
文化資産登録 公告時期 | (雲林県)2001年10月31日[1] (嘉義県)2001年11月28日[2] |
位置 | 中華民国(台湾) 嘉義県新港郷公園段921号/雲林県北港鎮 |
建設年代 | 明治44年(1911年) |
北港渓鉄橋周辺図 | ||||||||||||||||||||||||
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北港渓鉄橋(廃止) | |
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水害で途切れたままの線路 | |
基本情報 | |
国 | 台湾 |
交差物件 | 北港渓 |
用途 | 鉄道 |
路線名 | 台湾糖業鉄道北港線 |
管理者 | 大日本製糖→台湾糖業公司→雲林県政府文化処/嘉義県政府文化観光局 |
着工 | 1909年 |
開通 | 1911年8月30日 |
閉鎖 | 1998年 |
座標 | 北緯23度34分20.1秒 東経120度18分19.4秒 / 北緯23.572250度 東経120.305389度 |
構造諸元 | |
形式 | 下路式プレートガーダー橋+ビーム橋 |
材料 | 鋼橋 |
全長 | 878.63m |
地図 | |
関連項目 | |
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式 |
沿革
編集糖業鉄道時代
編集- 1909年 - 鈴木商店の北港製糖の専用線として着工[4]。
- 1911年8月30日 - 北港製糖嘉北線開業[5]、同時に全長約220メートルの木造橋として開通[6](p11)。
- 1915年 - 東洋製糖が北港製糖を吸収[7]
- 1917年 - 旅客列車運行開始[7]。
- 1927年 - 大日本製糖が東洋製糖を吸収[7]。
- 1942年 - 台風で鉄橋が流失[7]。
- 1951年 - 戦前の水害で不通になっていた鉄橋を復旧し、「復興鉄橋」となる[7]。
- 1954年 - 225.34メートルとなる[6](p11)。
- 1969年6月 - 東側に約600メートル延伸し、全長約878メートルの現在の姿となる[6](p11)。
- 1982年8月17日 - 旅客営業停止[8]。
- 1998年 - 廃止[6](p11)。
文化資産登録後
編集再生計画
編集鉄橋周辺の河川や河川敷にはレモンフィンバーブ(コイ科。学名:Hypsibarbus pierrei、現地名:高體四鬚鲃)、プレコなどの魚類、アメンボ、コマツモムシ(学名:Anisops ogasawarensis、現地名:小仰泳椿)、ユスリカ、ヒメガムシなどの昆虫類、ヒメアマツバメ、ヘリグロヒキガエルなど30科70属85種生態が確認されている。このため虎尾鎮の虎尾鉄橋から当鉄橋までの北港渓流域約40kmの水質改善計画と並行して段階的に再利用計画が進行している[12]。
古笨港戸外考古園区
編集嘉義県内では橋の左岸側終端付近に清朝時代の陶磁器や銅銭が出土し、それらを展示する「古笨港戸外考古園区」が併設され、線路際には営業時にはなかった駅風のオブジェや展望台が設置されている[13]。また鉄橋も将来の遊歩道化に備え欄干が追加設置されている。
北港天空之橋
編集天空之橋(てんくうしきょう、Beigang Sky Bridge[註 1])は2015年6月に雲林県側、北港渓右岸の公館里陸地部分で再建された旧軌道跡の陸橋[14][15]。全長約113メートル。
主に北港渓鉄橋の右岸(西端)から堤防上の生活道路をオーバーパスする義民路のコンクリート製陸橋部分と、旧軌道部分の回廊部分、文化路をオーバーパスし大同路に至る「文化鉄橋」に大別される全長860メートルの空中回廊[16]。文化鉄橋は高さ5.8メートルで台湾で標準的な4.3メートルより高度がある[17]。
打放しコンクリートとガラスフェンスによる開放感溢れるスロープが堤防護岸上に架けられ、終端は軌道式を再現し、東屋も設けたスチール製のスロープが大同路まで続いている[18]。
2016年にはイタリアの建築雑誌the Planが選定するランキングで500件中公共空間部門でトップ20に選出された[19][20]。また、中国の建築賞『WA中国奨』2016年度の佳作に選ばれている[21]。
北港女児橋
編集北港女児橋(ほっこうじょじきょう、繁体字中国語: 北港女兒橋、Beigang Daughter Bridge)は北港渓下流側に新設された自転車・歩行者用の鋼橋[9]。北港渓を母なる川に、橋を少女に見立て[22]、名称は清朝時代の白話小説で曹雪芹が著した「紅楼夢」にある「女儿是水做的骨肉」に因んでいる[15]。路面はガラス張りの覗き穴が施され、川面を見ることができる[23]。北港渓対岸の途切れた鉄橋直上まで迫ることができる。
2012年7月13日に着工[24]。工事中は水害対策として仮設橋を対岸まで先行敷設することで期間中の3度の洪水でも無事故で完成を迎えた[25]。新たな橋桁は1年後の夏に架設を完了し[26]、周辺整備を経て2014年1月27日供用された[27]
今後
編集天空之橋と女児橋は台南市の南瀛天文教育園区プラネタリウムなどで実績のある台湾の建築デザイナー、廖偉立が設計を担当した。女児橋と嘉義県側の現存する軌道跡を物理的に連結し、空中回廊、「野外鉄道博物館」とする構想が進行中[28]。
雲林県政府が推進する「北港復興鐵橋及周邊景觀改善工程」は中華民国不動産協進会主催2015年国家卓越建設奨の最佳環境文化類で金質奨を受賞している[29]。2018年、中央政府が第二期計画に補助金交付を決定した[30]。
北港渓上で途切れた橋 | 古笨港戸外考古園区に隣接する展望台 | 左記展望台から臨む鉄橋 |
鉄橋の嘉義側起点にある標識 | 嘉義県側 |
脚注
編集註釈
編集- ^ 台湾には他地域にも同名の遊歩道があるため、区別のために地名を冠することが多い。
出典
編集- ^ 北港溪鐵橋 文化部文化資産局 国家文化資産網
- ^ 臺糖嘉北線五分仔鐵道暨北港溪鐵橋 文化部文化資産局 国家文化資産網
- ^ 人文資源調查-台糖五分車鐵道歷史2012-11-22,行政院農業委員会水土保持局
- ^ “〈南部〉北港溪鐵橋 地方嘆無修復計畫”. 自由時報. (2010年9月2日)
- ^ 件名:北港製糖會社鐵道嘉義北港間運輸營業開始ノ件. 中央研究院 數位文化中心 台湾総督府報 (1911-08-30).
- ^ a b c d e f 嘉義縣新港臺糖復興鐵橋修復工程施工紀錄工作報告書. 嘉義縣文化局. ISBN 9789860117301 2018年11月10日閲覧。 徐裕健建築師事務所 (2007-11).
- ^ a b c d e 諸羅文化誌 《城市物語》篇 北港車頭. 嘉義市政府文化局. pp. 58-59. ISBN 9789860400762 林金龍 (2014-05-01).
- ^ 嘉義新港板頭村交趾剪粘藝術村3”. 嘉義県新港郷公所 (2011年6月19日). 2018年11月10日閲覧。 “
- ^ a b “「空中鐵橋」拍歐美風隨性照 舊鐵道重生北港新地標”. ETToday. (2017年2月22日)
- ^ 北港溪舊鐵橋--歷史建築”. 2018年11月3日閲覧。 嘉義市私立大同高級商業職業學校 (2005年9月11日). “
- ^ “〈中部〉一座橋墩苦撐 復興鐵橋扭曲、變形”. 自由時報. (2008年8月10日)
- ^ 皓宇工程顧問股份有限公司 (2009年). “北港溪水岸整建及景觀改善計畫(復興鐵路橋至虎尾溪縱貫鐵路橋)測量成果報告書” (PDF). 経済部水利署第五河川局. 2018年11月3日閲覧。
- ^ 古笨港的生活歷史-古笨港戶外考古園區”. 嘉義市私立大同高級商業職業學校 (2011年6月19日). 2018年11月3日閲覧。 “
- ^ “雲林と嘉義結ぶ日本統治時代建造の橋、修復へ 地域の観光発展に期待/台湾”. フォーカス台湾. (2017年9月19日)
- ^ a b “廖偉立-北港復興鐵橋”. 欣傳媒. (2015年6月30日)
- ^ “北港天空之橋 重回早年運蔗之旅”. 中国時報. (2016年5月3日)
- ^ “北港鐵橋及週邊工程 串聯北港觀光亮點”. 雲林県政府. (2013年7月29日)
- ^ 建築師雜誌社. “天空之橋—糖鐵綠廊”. 2018年11月3日閲覧。
- ^ “催票!北港天空之橋 搶進世界建築前20強”. TVBS. (2016年5月5日)
- ^ PUBLIC SPACE Public spaces, piazzas, streets, town centres, religious buildings PROGETTI. The plan. (2016-05)
- ^ “2016 WA中国建筑奖揭晓”. 雅昌艺术网. (2017年4月1日)
- ^ “【島嶼拼圖】藝術傑作 北港女兒橋”. 人間福報. (2018年7月25日)
- ^ “吸睛!北港女兒橋 宛如機械巨龍躍出河面”. TVBS. (2014年10月19日)
- ^ “北港復興鐵橋重生 空中綠廊富觀光潛力”. 大紀元. (2012年7月13日)
- ^ 北港女兒橋(復興鐵橋) - ウェイバックマシン(2015年5月21日アーカイブ分) 遠大興鋼鐵工程有限公司
- ^ “日本時代の鉄橋改善工事、年末にも終了 新スポットに/台湾雲林”. フォーカス台湾. (2013年7月26日)
- ^ “雲林北港女兒橋啟用”. 雲林県政府. (2014年1月26日)
- ^ “北港復興鐵橋活化 打造雲林的高空公園”. 自由時報. (2017年9月15日)
- ^ 中華民國不動產協進會 (2018年7月18日). “「國家卓越建設獎」歷年得獎名單(2006-2018)” (PDF). p. 41. 2018年11月10日閲覧。
- ^ “中央核定加值景點特色 草嶺步道及北港舊鐵道景觀改善”. 風傳媒. (2018年6月25日)
関連項目
編集外部リンク
編集映像外部リンク | |
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北港-女兒橋空拍 - 遠大興鋼鐵工程/YouTube |
映像外部リンク | |
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20160519空拍【雲林縣北港,天空之橋、女兒橋。】 - 天際線空中視野影像創作。Skyline Vision Studio./YouTube |
- 中華民国文化部、地方政府
- 北港溪鐵橋 中華民国文化部
- 北港溪鐵橋 雲林県政府文化処
- 歴史建築新港台糖復興鉄橋 嘉義県文化観光局
- 他