下島 (天草諸島)

天草諸島の島のひとつ
天草下島から転送)

下島(しもしま)は、熊本県天草諸島にあるである。熊本県天草市天草郡苓北町に属する。

下島
所在地 日本の旗 日本熊本県天草市
所在海域 東シナ海
所属諸島 天草諸島
座標 北緯32度26分10.7秒 東経130度5分1.4秒 / 北緯32.436306度 東経130.083722度 / 32.436306; 130.083722座標: 北緯32度26分10.7秒 東経130度5分1.4秒 / 北緯32.436306度 東経130.083722度 / 32.436306; 130.083722
面積 574.01 km²
海岸線長 301.2 km
最高標高 538.4 m
最高峰 天竺
最大都市 熊本県天草市
下島 (天草諸島)の位置(九州内)
下島 (天草諸島)
下島 (天草諸島)の位置(熊本県内)
下島 (天草諸島)
     
プロジェクト 地形
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地理

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西岸は天草灘東シナ海)に、東岸は八代海に、北側は有明海島原湾)および早崎瀬戸と面しており、隣接する主要な島として本渡瀬戸を挟んだ上島と長島海峡を挟んだ長島が存在する[1]面積は約574.01平方キロメートルと熊本県で最大の島であり、日本列島の中では本州など4島を除くと面積第8位である[注釈 1]

半島の北西部には富岡半島があるがこれは陸繋島と考えられている[1]。西海岸は場所により50メートルを超える海食崖になっており、景勝地に妙見浦がある[3]。断崖をなす地層は白亜紀の姫浦層群の砂岩と頁岩の互層からなり、海底で堆積したものが隆起してできたものである[3]

下島南部の牛深地域では、魚貫湾(おにきわん)、須口湾、久玉湾、浅海湾(あさみわん)、深海湾(ふかみわん)など大小の湾が湾入して複雑な海岸線になっている[4]。また、天草灘側には桑島、大島、龍仙島(片島)など、八代海側には築ノ島、法ヶ島、牛島、戸島などの小島が点在する[4]

下島の南部の東側海域は八代海という内湾ながらも北部よりも東シナ海との接続性が比較的に高いため、外洋との海水の交換や岩礁性の海底地形が特徴的である[5]

主な山

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主な河川

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主な水域

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自然

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牛深町の周辺は雲仙天草国立公園に指定されており、東シナ海の海水の影響から高緯度であるがイシサンゴ目等のサンゴの群集やクロメホンダワラ類などのガラモ場の分布として知られている[5]。また、島の北西部の苓北町(旧富岡町)にはイソモクマメタワラヤツマタモクアカモクが見られ、島の南部にある長崎鼻にもアマモ等のガラモ場が存在しており、本島の南西部にある片島、大島、桑島もクシハダミドリイシエンタクミドリイシ等の造礁サンゴに関しては九州西部全体でも特筆すべき分布地である[6]。この他にも、苓北町の富岡半島は県指定の天然記念物であるハマジンチョウの自生地でもある[7]

早崎瀬戸ミナミハンドウイルカの生息地として知られ、スナメリなども付近に分布している[6]。下島自体もウミガメ[注釈 2]の産卵地および採餌海域である[6]。また、西彼杵半島甑島列島はかつての捕鯨の基地であり、野間半島でも2003年まではホエールウォッチングが行われていた[9]など下島も大型鯨類の回遊の途上にあった可能性が高く、実際に牛深市(旧牛深町)の沿岸がヒゲクジラ類[注釈 3]の分布域であった可能性を示唆させる記録が存在する[11][12][13]

交通

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空路

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天草飛行場福岡空港熊本空港を結んでいる。

バス路線

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運行はすべて九州産交バス・産交バスが行う。

(1)本渡バスセンターを始発とする路線

  • 本渡⇒宮地岳⇒新合⇒一町田⇒早浦橋⇒久玉⇒牛深港⇒牛深市民病院線(国道266号回り。)
  • 本渡⇒楠浦⇒小宮地⇒宮地浦⇒中田⇒上平線(東海岸路線)
  • 本渡⇒楠浦⇒小宮地⇒宮地浦⇒立⇒下大多尾線
  • 本渡⇒楠浦⇒小宮地⇒碇石⇒新合⇒一町田線
  • 本渡⇒楠浦⇒方原線
  • 本渡⇒仮俣⇒福連木⇒下田温泉⇒国民宿舎⇒高浜線
  • 本渡⇒一の瀬⇒寺領⇒平床⇒鶴野々線
  • 本渡⇒総合庁舎⇒鬼池港⇒二江漁協前⇒通詞線
  • 本渡⇒労働庁舎⇒鬼池港
  • 本渡⇒手野⇒二江⇒坂瀬川⇒富岡港線
  • 本渡⇒上半河内線
  • 本渡⇒総合庁舎⇒一の瀬⇒天草空港線
  • 市街地循環バスのってみゅうかー(北部循環・南部循環)

(2)それ以外を始発とする路線

  • 富岡港⇒都呂々⇒下田温泉⇒国民宿舎⇒高浜線
  • 高浜⇒大江⇒一町田⇒河浦高校線。
  • 河浦病院⇒一町田⇒新合⇒峠⇒上平⇒山の浦⇒牛深港線
  • 桜町BT⇒熊本駅⇒宇土⇒登立⇒松島⇒本渡⇒天草車庫(快速あまくさ号

航路

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道路

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国道

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主要地方道

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一般県道

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その他の道路

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主な施設

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脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b 長谷 義隆『海にうかぶ博物館 天草ジオパーク』22世紀アート、2020年10月20日、12頁
  2. ^ 国立天文台(編) 平成19年 理科年表 p.565 ISBN 4621077635
  3. ^ a b 長谷 義隆『海にうかぶ博物館 天草ジオパーク』22世紀アート、2020年10月20日、14頁
  4. ^ a b 長谷 義隆『海にうかぶ博物館 天草ジオパーク』22世紀アート、2020年10月20日、17頁
  5. ^ a b c 2章 有明海・八代海等の概要」『環境省』、1-6頁、2025年3月3日閲覧 
  6. ^ a b c 沿岸域 15302 天草・八代海南部”. 環境省. 2025年3月3日閲覧。
  7. ^ ハマジンチョウ群落”. 熊本県総合博物館ネットワーク・ポータルサイト. 2025年3月5日閲覧。
  8. ^ ウミガメ保護ハンドブック」『環境省』、日本ウミガメ協議会, 環境省自然環境局、2006年3月、6-9頁、2025年3月3日閲覧 
  9. ^ 中村潤平, 藤田彩乃, 佐々木章 (2025-01-31). “薩摩半島南西部の野間岬沖における鯨類目視調査により確認されたカツオクジラとハシナガイルカ”. Nature of Kagoshima (鹿児島県自然環境保全協会) 51: 237-239. https://journal.kagoshima-nature.org/archives/NK_051/051-051.pdf 2025年2月24日閲覧。. 
  10. ^ 亀田和彦, 片岡千賀之「明治期における長崎県の捕鯨業 : 網取り式からノルウェー式へ」『長崎大學水産學部研究報告』第93号、長崎大学水産学部、2012年3月、79-106頁、CRID 1050282813716442624ISSN 0547-1427 
  11. ^ 戸田雄介, 甲能直樹, 鍔本武久「長崎県の島原市海岸で発見されたセミクジラの鼓室胞」『愛媛大学理学部紀要』第26号、愛媛大学、2024年2月29日、1-7頁、2025年1月7日閲覧 
  12. ^ 山田格: “熊本県天草市でセミクジラ迷入”. 国立科学博物館. 海棲哺乳類情報データベース. 2015年10月2日閲覧。
  13. ^ 山下義満「聞き書き「鯨」-天草地方・牛深の事例として-」『日本海セトロジー研究』第9巻、日本海セトロジー研究会 (現 日本セトロジー研究会)、1999年、59-60頁、doi:10.5181/ncetology.9.0_59 

関連項目

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外部リンク

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