大相撲令和3年9月場所(おおずもうれいわさんねん9がつばしょ)は、2021年(令和3年)9月12日から9月26日までの15日間、東京都墨田区国技館(両国国技館)で開催された大相撲本場所である[1]

大相撲令和3年9月場所
基本情報
会場 国技館(両国国技館)
番付発表 2021年8月30日
開催期間 2021年9月12日 - 9月26日(15日間)
各段優勝・三賞
幕内最高優勝 照ノ富士春雄(13勝2敗)
十両優勝 阿炎政虎(13勝2敗)
幕下優勝 深井拓斗(7戦全勝)
三段目優勝 藤青雲龍輝(7戦全勝)
序二段優勝 日翔志忠勝(7戦全勝)
序ノ口優勝 瀬戸の海龍昇(7戦全勝)
殊勲賞 大栄翔勇人(4回目)
敢闘賞 該当者なし
技能賞 妙義龍泰成(6回目)
 < 先場所  翌場所 >
テンプレートを表示

概要

編集

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行に伴い、先場所の7月場所に続いて、人数制限をかけての開催となった。

9月場所に関する時系列
  • 7月21日 - 九月場所の番付編成会議を開催、照ノ富士の横綱昇進、北青鵬朝志雄の新十両昇進などを決定。
  • 7月30日 - 日本相撲協会が理事会を開き、貴源治を懲戒解雇処分とすることを決定[2]
  • 8月30日 - 番付発表。入幕力士は1人に留まり、1999年7月場所以来の少なさになった[3]。西十両9枚目は貴源治の懲戒解雇に伴い空位とされた[4]
  • 9月1日 - 宮城野部屋所属の新十両・北青鵬の新型コロナウイルス感染が判明[5]
  • 9月5日 - 1日の感染判明に伴い、全協会員のPCR検査を実施[6]
  • 9月6日 - 前日の検査の結果、新たに同部屋の幕下力士1名の感染が判明[6]。これに伴い、横綱白鵬を含む、同部屋所属の全力士の秋場所全休を発表[6]
  • 9月15日 -西前頭13枚目・剣翔の休場発表[7]
  • 9月16日 -東前頭筆頭・豊昇龍、東前頭2枚目・北勝富士の休場発表[8] [9]
  • 9月21日 - 西前頭3枚目・琴ノ若が休場を発表[10]
  • 9月23日 - 東小結・髙安が休場を発表[11]

番付・星取表

編集

幕内

編集
東方 番付 西方
備考 成績 力士名 力士名 成績 備考
全休[注 1] 白鵬 横綱 照ノ富士 13勝2敗 新横綱
幕内最高優勝
8勝7敗 正代 大関 貴景勝 8勝7敗 カド番
9勝6敗 御嶽海 関脇 明生 8勝7敗 新関脇
全休[注 2] 朝乃山 関脇
4勝8敗3休 髙安 小結 逸ノ城 8勝7敗 再小結
5勝8敗2休 豊昇龍 前頭1 隆の勝 7勝8敗
2勝3敗10休 北勝富士 前頭2 霧馬山 9勝6敗
9勝6敗 若隆景 前頭3 琴ノ若 3勝6敗6休
6勝9敗 玉鷲 前頭4 大栄翔 10勝5敗 殊勲賞
5勝10敗 千代翔馬 前頭5 宝富士 8勝7敗
7勝8敗 宇良 前頭6 阿武咲 10勝5敗
8勝7敗 志摩ノ海 前頭7 照強 5勝10敗
10勝5敗 隠岐の海 前頭8 翔猿 7勝8敗
7勝8敗 碧山 前頭9 英乃海 7勝8敗
7勝8敗 千代大龍 前頭10 妙義龍 11勝4敗 技能賞
優勝次点
優勝次点 11勝4敗 遠藤 前頭11 琴恵光 8勝7敗
全休[注 1] 石浦 前頭12 栃ノ心 7勝8敗
7勝8敗 前頭13 剣翔 5勝10敗
6勝9敗 魁聖 前頭14 豊山 8勝7敗 再入幕
4勝11敗 一山本 前頭15 千代ノ皇 4勝11敗
8勝7敗 千代丸 前頭16 德勝龍 4勝11敗
9勝6敗 千代の国 前頭17

十両

編集
東方 番付 西方
備考 成績 力士名 力士名 成績 備考
2勝7敗6休 水戸龍 十両1 天空海 9勝6敗
7勝8敗 大奄美 十両2 旭大星 2勝4敗9休
8勝7敗 若元春 十両3 佐田の海 10勝5敗
10勝5敗 松鳳山 十両4 魁勝 8勝7敗
十両優勝 13勝2敗 阿炎 十両5 武将山 8勝7敗
7勝8敗 王鵬 十両6 白鷹山 4勝11敗
9勝6敗 大翔丸 十両7 東白龍 4勝11敗
5勝10敗 東龍 十両8 琴勝峰 9勝6敗
10勝5敗 錦富士 十両9
7勝8敗 矢後 十両10 錦木 10勝5敗
全休[注 1] 炎鵬 十両11 翠富士 8勝7敗
6勝9敗 旭秀鵬 十両12 北青鵬 全休[注 3] 新十両
3勝12敗 貴健斗 十両13 朝志雄 1勝14敗 新十両
再十両 9勝6敗 美ノ海 十両14 大翔鵬 11勝4敗

赤文字は優勝力士の成績。

優勝争い

編集

新横綱・照ノ富士が初日から8連勝で勝ち越し。それを1敗で平幕の妙義龍、2敗で関脇・御嶽海、平幕・阿武咲隠岐の海遠藤千代の国らが追っていた。

9日目に照ノ富士は大栄翔に敗れ、初金星を献上。同日には妙義龍も敗れたため、星の差は変わらなかった。

12日目に、照ノ富士は関脇・明生に敗れ、2敗目を喫する。同日に妙義龍がに敗れ3敗目となり、2敗の照ノ富士を3敗で阿武咲、隠岐の海、妙義龍、遠藤の平幕4人が追う形となった。

13日目には、照ノ富士が御嶽海を破り2敗をキープした。追う平幕勢は、遠藤が霧馬山を破り3敗をキープ。隠岐の海は小結・逸ノ城に敗れ4敗目となった。妙義龍は過去13戦全敗と合口の悪い大関・貴景勝を土俵際のすくい投げで破り、3敗を守る。阿武咲は大関・正代を破り、こちらも3敗を守った。

14日目には、遠藤は逸ノ城に、阿武咲も明生に敗れ、揃って4敗に後退。一方、妙義龍は正代を会心の相撲で破り、3敗をキープ。照ノ富士は貴景勝を上手投げで破り、2敗を守ったことにより、優勝は2敗の照ノ富士、3敗の妙義龍に絞られた。

千秋楽、妙義龍は勝ち越しをかける関脇・明生に挑むも、肩透かしで敗れ、4敗に後退。この時点で照ノ富士の幕内最高優勝が決まった。照ノ富士は千秋楽結びの一番で正代を破り、13勝2敗で場所を終えた。

備考

編集
  • 照ノ富士は稀勢の里以来、史上9人目の新横綱優勝を果たした。
  • 三賞は、殊勲賞は照ノ富士を破った大栄翔、技能賞は妙義龍が受賞した。
  • その他、千秋楽の勝利を条件に阿武咲が敢闘賞、優勝を条件に妙義龍が殊勲賞に選ばれていたが、共に本割で敗れた為、受賞とはならなかった。
  • 妙義龍の三賞受賞は2013年夏場所以来、49場所ぶりの受賞となった。これは歴代3番目に長い受賞間隔となった。
  • 角番であった貴景勝は初日から3連敗を喫するも、その後白星を並べ、12日目に勝ち越しを決め、角番を脱した。角番の大関が初日から3連敗をしながらも勝ち越したのは史上初のことであった。
  • この場所の13日目に照ノ富士が勝利し、2021年の勝利数が60勝に達したことにより、年間最多勝が確定した。この時点で次点の正代と御嶽海が43勝であったためである。秋場所13日目での受賞確定は2005年の朝青龍、2010年の白鵬に並ぶ史上最速タイ記録であった。また翌日も照ノ富士は勝利したことにより、単独での年間最多勝も確定した。
  • 十両は阿炎が序盤で2敗を喫するも、その後連勝し、14日目に十両優勝を決めた。
  • 白鵬は同部屋の力士が新型コロナウイルスに感染したことにより、濃厚接触者の恐れがありとして全休を余儀なくされていたが、場所後の9月30日に引退した。

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ a b c 新型コロナウイルスに感染した部屋所属力士と濃厚接触した可能性があり、感染拡大防止のため。
  2. ^ 新型コロナウイルス感染予防の協会ガイドライン違反のため出場停止処分
  3. ^ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染のため。

出典

編集
  1. ^ [1]
  2. ^ 貴源治、大麻使用で解雇 名古屋場所中に吸引―相撲協会」『時事ドットコム』2021年7月30日。2021年8月30日閲覧。
  3. ^ 【秋場所新番付】豊山、3場所ぶり返り入幕でただ1人の幕内昇進」『日刊スポーツ』2021年8月30日。2021年8月30日閲覧。
  4. ^ 【秋場所新番付】西十両9枚目が空白に 編成会議後に貴源治が懲戒解雇」『日刊スポーツ』2021年8月30日。2021年8月30日閲覧。
  5. ^ 宮城野部屋の新十両・北青鵬が新型コロナ感染」『スポーツ報知』報知新聞社、2021年9月6日。2021年9月6日閲覧。
  6. ^ a b c 横綱・白鵬ら宮城野部屋の力士は秋場所全休 全協会員の検査でコロナ陽性者が新たに1人判明」『スポーツ報知』報知新聞社、2021年9月6日。2021年9月6日閲覧。
  7. ^ 剣翔が発熱休場 今後PCR検査 芝田山広報部長「蜂窩織炎の可能性も」」『日刊スポーツ』2021年9月15日。2021年9月15日閲覧。
  8. ^ 前頭筆頭の豊昇龍が休場「急性扁桃炎」PCR検査は陰性」『日刊スポーツ』2021年9月16日。2021年9月16日閲覧。
  9. ^ 北勝富士が休場 4日目の照ノ富士戦で右膝内側側副靱帯を損傷」『日刊スポーツ』2021年9月16日。2021年9月16日閲覧。
  10. ^ 琴ノ若が10日目を休場」『スポーツ報知』報知新聞社、2021年9月21日。2021年9月21日閲覧。
  11. ^ 小結高安が右臀部負傷で休場 秋場所12日目、負け越し決定」『東京新聞』東京新聞、2021年9月23日。2021年9月23日閲覧。