児童自立支援施設
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児童自立支援施設(じどうじりつしえんしせつ)は、犯罪などの不良行為をしたりするおそれがある児童や、家庭環境等から生活指導を要する児童を入所または通所させ、必要な指導を行って自立を支援する児童福祉施設である。退所後の児童に対しても必要な相談や援助を行う。根拠法は児童福祉法44条である。
非行少年や保護者のいない少年を保護、教育して更生する施設は、明治初期の1870年代末頃から民間篤志家によって各地に設けられたが、1900年に感化法が制定されて道府県に感化院(かんかいん)の設置が義務づけられた[1]。感化院は教育的保護を目的とし、触法少年の矯正施設である矯正院(のちの少年院)と異なる[2]。感化院はその後、1933年制定の少年教護法の下で「少年教護院」(しょうねんきょうごいん)、1947年制定の現行の児童福祉法の下で「教護院」(きょうごいん)の名称であったが、1998年4月に上記名称となる[3]。
入所経路の多くは児童相談所の措置(児童福祉法27条1項3号)だが、家庭裁判所で審判の結果、保護処分として児童自立支援施設に送致される場合がある(少年法24条1項2号)。
所在
編集児童福祉法及び児童福祉法施行令で、国と都道府県、政令指定都市はそれぞれ児童自立支援施設を設置する。施設の詳細は「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(厚生労働省令)で定める。1997年に児童福祉法が改正され、施設外の学校から教師を招いて学校と同じ教育が導入される[4]。
全国で58か所、国立2施設、都道府県立50施設、市立4施設、私立2施設がある。都道府県立は北海道、東京都、大阪府が2施設、他は1施設ずつ設置する。政令指定都市は神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市の4自治体が設置し、大阪府堺市が設置を準備する。
国立と私立の施設は男女別で、都道府県と市立は北海道を除き男女共用である。施設内の居室はすべての施設で男女別である。
日本初の感化院は、池上雪枝が1883年(明治16年)に大阪の自宅に設立した「池上感化院」である[5]。
- 国立(こども家庭庁所管)
- 都道府県立
- 北海道立向陽学院(北海道北広島市) - 女子
- 北海道立大沼学園(北海道亀田郡七飯町) - 男子
- 青森県立子ども自立センターみらい(青森県青森市)
- 岩手県立杜陵学園(岩手県盛岡市)
- 宮城県さわらび学園(宮城県仙台市太白区)
- 秋田県千秋学園(秋田県秋田市)
- 山形県立朝日学園(山形県西村山郡大江町)
- 福島県福島学園(福島県須賀川市)
- 茨城県立茨城学園(茨城県那珂市)
- 栃木県那須学園(栃木県矢板市)
- 群馬県立ぐんま学園(群馬県前橋市)
- 埼玉県立埼玉学園(埼玉県上尾市)
- 千葉県生実学校(千葉県千葉市中央区)
- 東京都立誠明学園(東京都青梅市)
- 東京都立萩山実務学校(東京都東村山市)
- 神奈川県立おおいそ学園(神奈川県中郡大磯町)
- 新潟県新潟学園(新潟県新潟市西区)
- 富山県立富山学園(富山県富山市)
- 石川県立児童生活指導センター(石川県河北郡内灘町)
- 福井県和敬学園(福井県福井市)
- 山梨県立甲陽学園(山梨県甲府市)
- 長野県波田学院(長野県松本市)
- 岐阜県立わかあゆ学園(岐阜県揖斐郡大野町)
- 静岡県立三方原学園(静岡県浜松市中央区)
- 愛知県愛知学園(愛知県春日井市)
- 三重県立国児学園(三重県津市)
- 滋賀県立淡海学園(滋賀県甲賀市)
- 京都府立淇陽学校(京都府南丹市)
- 大阪府立修徳学院(大阪府柏原市)
- 大阪府立ライフサポートセンター(大阪府堺市南区)
- 兵庫県立明石学園(兵庫県明石市)
- 奈良県立精華学院(奈良県奈良市)
- 和歌山県立仙渓学園(和歌山県紀の川市)
- 鳥取県立喜多原学園(鳥取県米子市)
- 島根県立わかたけ学園(島根県松江市)
- 岡山県立成徳学校(岡山県岡山市中区)
- 広島県立広島学園(広島県東広島市)
- 山口県立育成学校(山口県山口市)
- 徳島県立徳島学院(徳島県鳴門市)
- 香川県立斯道学園(香川県高松市)
- 愛媛県立えひめ学園(愛媛県新居浜市)
- 高知県立希望が丘学園(高知県南国市)
- 福岡県立福岡学園(福岡県那珂川市)
- 佐賀県立虹の松原学園(佐賀県唐津市)
- 長崎県立開成学園(長崎県長崎市)
- 熊本県立清水が丘学園(熊本県熊本市北区)
- 大分県立二豊学園(大分県大分市)
- 宮崎県立みやざき学園(宮崎県都城市)
- 鹿児島県立若駒学園(鹿児島県霧島市)
- 沖縄県立若夏学院(沖縄県那覇市)
- 市立
- 私立
脚注
編集- ^ 『官報』第5004号、明治33年3月10日、pp.154-155.NDLJP:2948297/2
- ^ 感化院(読み)かんかいんコトバンク
- ^ 児童福祉法等の一部を改正する法律(平成9年6月11日法律第74号) - 国立国会図書館 日本法令索引
- ^ Takada, Shunsuke (2018). “The relationship between education and child welfare in Japanese children’s self-reliance support facilities”. Contemporary Japan 30(1): 60-77. doi:10.1080/18692729.2018.1423727.
- ^ 文部省社会教育局 編『家庭教育指導叢書 第9輯』文部省社会教育局、1942年3月30日、79頁。NDLJP:1450748/45。
関連項目
編集外部リンク
編集- 全国児童自立支援施設協議会
- 社会的養護 - こども家庭庁