国家核安全保障局

アメリカ合衆国エネルギー省に属している機関

国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration、略称NNSA)は、アメリカ合衆国エネルギー省(United States Department of Energy、略称DOE)に属している、による核エネルギーの使用を通して国家の安全を発展させることを目的とし、有事の際に備えた米国内の核兵器の安全性・信頼性・機能性を計画・製造・テストなどを通して、維持・発展させている2000年に設立された組織である。長官(administrator)は、エネルギー省の核安全保障担当次官が兼務する。日本語では「国家核安全保障庁」と訳されることもある[2][3][4]

国家核安全保障局
組織の概要
設立年月日2000[1]
人員at least 1,500 (2006)
年間予算$91億 (2006)
行政官
  • Tom D'Agostino(Administrator)
  • William Ostendorff(Deputy Administrator)
上位組織エネルギー省
ウェブサイトwww.nnsa.energy.gov

概要

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NNSAは国家安全に関連する4つの任務を担当している。

  • アメリカ海軍(United States Navy、略称U.S.Navy)の安全のための、海軍に大きな利益をもたらす原子力推進プラントの提供と、そのプラントの信頼できる動作性の確立。
  • 国際的な核の安全性と核拡散防止
  • 大量破壊兵器による全世界における危険を減らす
  • 米国の先進科学技術支援

NNSAには米国政府へ核兵器を製造・維持している約3万7000人の個人情報データベースが保存されている。 またNNSAには安全輸送局(Office of Secure Transportation、略称OST)とよばれる下部組織もあり、OSTが政府関連の輸送物(主に核関連)を運ぶシステムの安全性と確実性の確保・発展が仕事なのに対し、DOEやNNSAはそのようなときの輸送物が核関連の物質の場合、その物質の輸送量を「戦略性」や「重要性」を考慮し指示を与えることを仕事としている。船舶での輸送は特別装備を施された船で、周囲を武装した特殊部隊と核専門家チームである核緊急支援隊に護衛されながら輸送される。NNSAでは臨界核実験が過去に27回行われている[5]

2025年 職員の解雇と再雇用

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2025年1月、アメリカ合衆国大統領に返り咲いたドナルド・トランプは、イーロン・マスクが率いる政府効率化省(DOGE)に連邦政府の再編や縮小を指示[6]。同年2月13日には、国家核安全保障管理局(NNSA)にも縮小の指示が及び、職員1,800人のうち核兵器管理官を含む約300人が直ちに解雇された。解雇されたのは主に1〜2年の試用期間中の職員で、その理由は「低業績」とされていた。しかし、連邦政府は直後に職員の重要性に気づき解雇を撤回。復職を進めたものの、多くの職員と連絡が取れない状況が続いた[7]

組織

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  • 国防核不拡散局(Office of Defense Nuclear Nonproliferation)
  • 国防プログラム局(Office of Defense Programs)
    • 核備蓄管理プログラム(SSP:Stockpile Stewardship Program)
      • 先端シミュレーション・コンピューティング・プログラム(Advanced Simulation and Computing Program)
    • 安全輸送局(Office of Secure Transportation)
  • 船舶用炉局(Naval Reactors Propulsion Program)
  • 緊急事態対策局(Office of Emergency Operations)

脚注

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  1. ^ NNSA Act (Title XXXII of the National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2000, Public Law 106-65)
  2. ^ 米国国家核安全保障庁長官、核保障措置に関する会議に参加 駐日アメリカ合衆国大使館
  3. ^ 第2回次世代保障措置に関する国際会議の開催について 文部科学省
  4. ^ 米国エネルギー省(DOE)組織図 高度情報科学技術研究機構
  5. ^ “4回目の臨界前核実験=「安全確保のため」と説明”. 時事通信. (2012年12月7日). http://www.jiji.com/jc/zc?k=201212/2012120700393 2012年12月31日閲覧。 
  6. ^ 米政府職員の大量解雇開始 最大20万人、政府縮小へ 突然の通知で30分以内に退去命令も”. 産経新聞 (2024年2月15日). 2025年2月18日閲覧。
  7. ^ 米政府、核関連の連邦職員も解雇 すぐ再雇用に動くが連絡とりにくく”. BBC NEWS (2025年2月17日). 2025年2月18日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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