受胎告知 (ヴァザーリ)
『受胎告知』(じゅたいこくち、仏: L'Annonciation、英: Annunciation)は、イタリア・マニエリスム期の画家であり、『画家・彫刻家・建築家列伝』の著者でもあるジョルジョ・ヴァザーリが1565年ごろにポプラ板上に油彩で描いた絵画である。ナポレオン戦争中の1813年にフランス軍がイタリアから略奪して以降[1]、パリのルーヴル美術館に所蔵されている[1][2][3]。
フランス語: L'Annonciation 英語: Annunciation | |
作者 | ジョルジョ・ヴァザーリ |
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製作年 | 1565年ごろ |
種類 | ポプラ板上に油彩 |
寸法 | 216 cm × 166 cm (85 in × 65 in) |
所蔵 | ルーヴル美術館、パリ |
作品
編集本来、この絵画は、トスカーナ地方アレッツォのドミニコ会サンタ・マリア・ノヴェッラ教会の三連祭壇画中央パネルとして描かれた[2][3]。聖ドナトスと聖ドミニコを描いた両翼パネルは現在、フィレンツェのカッサ・デル・リスパルミオにある[2]。
絵画の主題は「マタイによる福音書」(1章) と「ルカによる福音書」 (1章26-38) から採られており、聖母マリアに大天使ガブリエルが聖霊の力で神の子であるイエス・キリストを懐妊したところを告げる「受胎告知」を表している[4]
ヴァザーリは受胎告知を聖母の寝室での出来事として描いており[2]、構図的にはより早い時期に制作されたアンドレア・デル・サルトとフランチェスコ・サルヴィアーティの作例を拠りどころとしている[3]。聖霊を表すハトがまばゆい光の中、聖母の方へ飛んでくる。画面の大部分が白と赤の濃淡で表され、とことどころに緑がかったアクセントが加えられている。天使の差し出すユリも白く、それは聖母の純潔を象徴する。聖母と天使のよく練られたポーズは、ヴァザーリのマニエリスム的傾向を示している[2]。
脚注
編集参考文献
編集- ヴァンサン・ポマレッド監修・解説『ルーヴル美術館 収蔵絵画のすべて』、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2011年刊行、ISBN 978-4-7993-1048-9
- 大島力監修『名画で読み解く「聖書」』、世界文化社、2013年 ISBN 978-4-418-13223-2