原田奈翁雄
経歴
編集東京府生まれ。皇国少年として戦時下を送る。1952年明治大学を卒業、筑摩書房入社。『展望』『人間として』『終末から』編集長などを務める。べ平連の活動にも積極的に参加する。1978年の同社倒産の責任をとって退社。当時の役職は取締役編集局次長。原田の薫陶を受けた編集者に柏原成光、松田哲夫がいる。
1980年に山代巴、林竹二、上野英信らの後押しを受けて径書房を創業。発刊1冊目は筑摩書房創業者・古田晃の回想文集『そのひと ある出版者の肖像』(臼井吉見編)。山代巴『囚われの女たち』(全10巻)『山代巴文庫』(全8巻)、上野英信『上野英信集』(全5巻)、林竹二『問いつづけて』『教育の根底にあるもの』、桑原史成『水俣 終わりなき30年 原点から転生へ』、『長崎市長への7300通の手紙』(径書房編集部編。その後、内容を一部改訂して増補版として刊行)、『『ちびくろサンボ』絶版を考える』(径書房編集部編)、石牟礼道子『十六夜橋』(第三回紫式部文学賞受賞)、松下竜一『あぶらげと恋文』、赤木かん子『こちら本の探偵です』、吉岡紗千子『ロックよ、静かに流れよ』、小栗康平『哀切と痛切』などを発刊。1990年には、優れた出版活動を行っている出版社に贈られる第6回梓会出版文化賞を受賞している。
1995年に径書房を退社。1999年に季刊誌『ひとりから』を創刊、2015年に第58号をもって終刊。妻は弁護士の金住典子。2024年7月6日、老衰のため死去。