北陸おでかけパス
北陸おでかけパス(ほくりくおでかけパス)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が発売していた前売り制の特別企画乗車券である。当項では北陸新幹線等の利用者向けに、着地型周遊乗車券として発売していた北陸周遊乗車券(ほくりくしゅうゆうじょうしゃけん)についても述べる。
概要
編集北陸おでかけパス
編集北陸おでかけパスは、土曜日・日曜日・祝日の1日に限り(年末年始は1月1日のみ)、JR西日本管内のうち主に金沢支社管内の北陸地方3県を中心とするエリア内の、普通列車および快速列車の普通車自由席に自由に乗降することができる。また北陸新幹線開業に伴い、それまで自由周遊区間となっていた北陸本線の金沢駅 - 谷浜駅間が並行在来線として沿線3県の第三セクター鉄道へ移管されたが、IRいしかわ鉄道線とあいの風とやま鉄道線の全線、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの市振駅 - 谷浜駅間の3区間すべてが、移管後も引き続き周遊区間に設定されている[1][2]。さらに、2016年(平成28年)4月2日利用分より、日本海ひすいラインの谷浜駅 - 直江津駅間も周遊区間に追加されることになった[注 1]。
発売価格はおとな2,580円、こども1,030円[注 2]。 前売り制となっており、利用日の1か月前から3日前までに購入する必要がある[注 3]。
北陸周遊乗車券
編集北陸周遊乗車券は、2015年(平成27年)3月14日の北陸新幹線・長野駅 - 金沢駅間延伸開業にあたり、東日本旅客鉄道(JR東日本)管内の東京駅 - 上越妙高駅間の各駅から、JR西日本管内の糸魚川駅 - 金沢駅間の各駅まで「新幹線eチケットサービス」[注 4]を利用する乗客と[3]、首都圏および京阪神圏から北陸方面への旅行商品のうち、往復の行程にJR線を含む商品を利用する乗客[4][5]向けのサービスの一環として、北陸おでかけパスと同一のフリー区間内を曜日に関わらず連続2日間利用できる企画乗車券である。
発売価格はおとな2,580円、こども1,030円で、「新幹線eチケットサービス」利用の場合は新幹線乗車当日か翌日に、糸魚川駅以西の新幹線5駅で当該乗車券の購入完了画面、もしくは利用履歴などを提示した場合に発売される。旅行商品利用の場合は発売対象となる旅行商品と同時にセットで購入する必要がある。
利用方法
編集利用方法は北陸おでかけパス、北陸周遊乗車券とも概ね同一である。
自由周遊区間
編集自由周遊区間(フリーエリア)となる路線は、西側から順に下記のとおりである。
- 北陸本線(長浜駅 - 金沢駅間[注 8])
- 小浜線(敦賀駅 - 青郷駅間)
- 越美北線(越前花堂駅 - 九頭竜湖駅間の全線)
- IRいしかわ鉄道線(金沢駅 - 倶利伽羅駅間の全線)
- 七尾線(津幡駅 - 和倉温泉駅間[注 9])
- あいの風とやま鉄道線(倶利伽羅駅 - 市振駅間の全線)
- 城端線(高岡駅 - 城端駅間の全線)
- 氷見線(高岡駅 - 氷見駅間の全線)
- 高山本線(富山駅 - 猪谷駅間)
- えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン(市振駅 - 直江津駅間の全線[注 10])
- 大糸線(糸魚川駅 - 中土駅間)
過去の周遊区間
編集利用できない列車
編集いずれも運賃としては無効となり、別途乗車券などの購入が必要。
- 北陸新幹線
- のと鉄道「のと里山里海号」
- えちごトキめき鉄道「えちごトキめきリゾート雪月花」
- あいの風とやま鉄道「一万三千尺物語」(2019年度より設定)
発売箇所・期間
編集発売は利用日の1か月前から3日前までの間となっている。また、「e5489」では2019年4月1日以降の利用分から、利用日3日前の23時30分までに予約をすれば利用日当日の受け取りができるように変更されている[8][9]。
※北陸周遊乗車券については、前掲のとおり「新幹線eチケットサービス」利用の場合は、糸魚川駅・黒部宇奈月温泉駅・富山駅・新高岡駅・金沢駅のみどりの窓口で、新幹線乗車当日か翌日にJR東日本管内から対象となる乗車券類を利用した旨を証明する、画面プリントや購入履歴などを提示した場合に限り発売される。旅行商品利用の場合はJTB、日本旅行、近畿日本ツーリストなどの主な旅行会社等で、発売対象となる商品と同時にセットで購入する必要がある。
過去の主な利用特典
編集北陸おでかけパスは、乗車券本券のほか案内書とアンケート用紙が添付されている。なお、以下の利用者向けの特典は2019年時点ですべて廃止されている。
- 駅ビル等、駅内の商業施設
- 福井駅「プリズム福井」(現・くるふ福井駅)、金沢駅「金沢百番街」、富山駅「マリエとやま」・「とやマルシェ」館内の指定店
- 駅ビル来館時、指定されたサービスカウンターでおでかけパスを提示すると、館内で割引や景品進呈などのサービスを実施している対象店舗が記載されたリーフレットが進呈される。
- 特急バス「永平寺ライナー」(福井駅東口 - 永平寺門前間・往復 おとな1,440円、こども720円)の運賃割引
- 福井駅東口の同社窓口でおでかけパスを提示すると、往復乗車券をおとな1,200円、こども600円の割引価格で購入できる。また片道乗車券(おとな720円、こども360円)もおとな600円、こども300円で購入できる。ただし割引は窓口での乗車前購入時のみ有効で、車内精算の場合は対象外となる。
- 「一日フリーきっぷ」(おとな800円、こども400円)の割引
- 車内でおでかけパスを提示すると、おとな500円、こども250円の割引価格で購入できる。
- JR金沢駅レンタサイクル
- 利用料金の割引
備考・注意事項
編集- 前掲のとおり、北陸おでかけパスは利用日の1か月前から3日前までの前売り制となっており、利用日2日前以降は発売されない。北陸周遊乗車券のうち「新幹線eチケットサービス」利用の場合は、対象となる乗車券類の購入履歴等が提示されない場合は発売されない。旅行商品利用の場合は、該当する商品と同時のセット購入が条件となっており、単体では発売されない。
- 購入後の利用日の変更はできない。有効期間内(利用日当日を含む)であれば未使用の場合に限り、発売箇所で払い戻しが可能で、手数料220円を差し引いた額が返金される。
- 使用開始後は乗り越し、方向変更、経路変更などの区間変更の取扱いは対象外で、別途乗車扱いとして乗り越し・変更分の運賃が必要となる。また使用開始後に災害等による列車の遅延や運休等が発生し、旅行を取りやめる場合でも、払い戻しや変更などは原則として認められない。乗車券を紛失した場合でも、再発行の取り扱いは行わない。
- 北陸おでかけパスは2006年4月のフリーエリア拡大に伴い、エリア外の琵琶湖線と湖西線の一部の駅でも発売されている。ただし、エリア外から乗車する場合は、琵琶湖線からは長浜駅まで、湖西線からは近江塩津駅までの運賃が別途必要となる。また、北陸周遊乗車券を黒部宇奈月温泉駅から利用する場合も、エリア内各駅へ接続する交通機関(富山地方鉄道本線、路線バス等)の運賃等が別途必要となる。
- 2017年度の発売分からは本券が小型化され、自動改札にも対応した仕様となっている。
発売終了に関して
編集JR西日本は2023年(令和5年)2月2日に「特別企画乗車券の発売および見直しについて」を発表し、企画乗車券の発売見直しが行われた[10]。この発表で北陸おでかけパスと北陸周遊乗車券を含む一部の企画乗車券は発売終了となった[11]。北陸おでかけパスと北陸周遊乗車券の発売終了日と利用期間の終了日は下記のとおり。
- 北陸おでかけパス
- 北陸周遊乗車券
後継商品
編集2022年(令和4年)11月18日から「北陸おでかけtabiwaパス」を発売している[注 13]。同企画乗車券の発売に併せて、北陸3県の各エリアを対象とした企画乗車券の発売も行われている[12]。詳細は下記のとおりであるが、ここでは県ごとに分類する。なお、自由乗降区間や観光施設の優待サービスに関する情報は省略する。
また、2024年(令和6年)には、同年1月に発生した能登半島地震によって影響を受けた北陸地区への送客・地域消費拡大の取り組みとして、利用条件緩和・特別価格での販売が実施されている[13]。
- 共通事項
脚注
編集注釈
編集- ^ 谷浜駅 - 直江津駅間については、JR時代は東日本旅客鉄道(JR東日本)との社境にあたるため、自由周遊区間から除外されていた。えちごトキめき鉄道への移管直後の2015年度もその名残で、当該区間は自由周遊区間から除外されていた。
- ^ 2015年3月8日利用分まではおとな2,060円、こども510円、2009年度までは基本的に大人2,000円、子ども1,000円の価格で発売されていたが、はじめて設定された2003年秋から3か月間はおとな1,500円、こども750円の特別価格で発売され、その後も2006年の夏休み期間など、何度か特別価格で発売されている。また2005年4月に福井駅が高架化され、プリズム福井が開業した際は、平日も含めた連続10日間が利用日として設定されたこともある。
- ^ 2005年度発売分までの購入期限は利用日の7日前であった。
- ^ 2020年(令和2年)3月13日までは「えきねっとトクだ値」もしくは「モバイルSuica特急券」
- ^ 2020年10月現在、「あいの風ライナー」は平日のみの運行で北陸おでかけパスが利用できる土曜・日曜・休日には運行していない。
- ^ 2020年10月現在、フリーエリア内の普通列車で適用される列車はない。
- ^ 2015年3月8日利用分までは在来線の特急列車の乗車についても無効で、乗車券と特急券が別途必要となっていた。なお、2015年3月14日のダイヤ改正時点では定期列車としての設定はないが、個室や寝台は利用できない。
- ^ 2006年4月以前のフリー区間は新疋田駅 - 谷浜駅間であった。
- ^ 七尾線の七尾駅 - 和倉温泉駅間の普通列車は全て「のと鉄道」が運行しているが、同区間内であれば乗車できる。
- ^ 前掲の通り、移管直後の2015年度までJR時代と同様に谷浜駅 - 直江津駅間は周遊区間に含まれていなかった。
- ^ 2020年2月22日に富山地方鉄道へ吸収合併。
- ^ 越美北線は2004年(平成16年)の福井豪雨で被災し一部区間が運休となったが、復旧の間の代行バスについても利用可能となっていた。
- ^ 2022年11月18日(※利用期間は同年12月1日) - 2023年3月23日は「北陸おでかけパス」と併売[12]。敦賀 - 長浜間が自由周遊区間(フリーエリア)から除外された[12]。
出典
編集- ^ 『北陸エリア「トクトクきっぷ」 4商品の発売について』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2015年1月29日。オリジナルの2021年9月19日時点におけるアーカイブ 。2019年2月7日閲覧。
- ^ a b “JR西日本「北陸おでかけパス」、新幹線並行三セクも利用可能に”. Response.. イード (2015年1月30日). 2019年5月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月2日閲覧。
- ^ “「北陸周遊乗車券」発売のお知らせ” (PDF). えきねっと. 東日本旅客鉄道 (2020年3月6日). 2021年2月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月4日閲覧。
- ^ “北陸新幹線開業にあわせた周遊観光の取り組みについて”. 西日本旅客鉄道 (2015年1月28日). 2016年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年7月18日閲覧。
- ^ 『その他の北陸周遊商品』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2015年1月28日。オリジナルの2022年10月9日時点におけるアーカイブ 。2015年7月18日閲覧。
- ^ “よくある質問(えちごトキめき鉄道)”. えちごトキめき鉄道. 2023年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月4日閲覧。
- ^ a b c d 『北陸エリア「トクトクきっぷ」4商品の発売について』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2015年9月8日。オリジナルの2019年8月31日時点におけるアーカイブ 。2019年2月7日閲覧。
- ^ 『「e5489」できっぷの購入・変更がますます便利に!』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2019年2月22日。オリジナルの2021年12月3日時点におけるアーカイブ 。2023年8月4日閲覧。
- ^ “JR西日本「e5489」4/1乗車分から北陸のお得なきっぷの取扱い開始へ”. マイナビニュース. マイナビ (2019年2月22日). 2019年5月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月2日閲覧。
- ^ “特別企画乗車券の発売および見直しについて” (PDF). News Release. 西日本旅客鉄道 (2023年2月2日). 2023年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月4日閲覧。 “(「5.発売を終了するきっぷ」を参照)”
- ^ a b c 『特別企画乗車券の発売および見直しについて』の「5.発売を終了するきっぷ」を参照。
- ^ a b c d e f g “北陸・せとうち観光ナビ「tabiwa by WESTER」北陸エリアでの 「tabiwa 周遊パス」・「tabiwa チケット」の発売について” (PDF). 西日本旅客鉄道 (2022年11月14日). 2023年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月4日閲覧。 “(※2022年度発売時の資料)”
- ^ “能登半島地震を踏まえた北陸を応援する取り組みについて” (PDF). 西日本旅客鉄道 (2024年2月14日). 2024年2月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月14日閲覧。
- ^ “チケット 北陸エリア”. 観光ナビ「tabiwa by WESTER」. 西日本旅客鉄道. 2023年8月4日閲覧。
- ^ “クーポン 北陸エリア”. 観光ナビ「tabiwa by WESTER」. 西日本旅客鉄道. 2023年8月4日閲覧。
外部リンク
編集- 北陸おでかけパス(西日本旅客鉄道) - ウェイバックマシン(2023年3月15日アーカイブ分)
- 「tabiwa by WESTER」周遊パス 北陸エリア - 西日本旅客鉄道