住田町地域情報通信基盤施設
住田町地域情報通信基盤施設(すみたちょうちいきじょうほうつうしんきばんしせつ)は、岩手県気仙郡住田町が運営する公営ケーブルテレビ事業施設である。
種類 | 公営 |
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略称 | 住田テレビ |
本社所在地 |
日本 〒029-2396 岩手県気仙郡住田町世田米字川向88-1 |
設立 | 2006年6月[要出典] |
業種 | 有線テレビジョン放送事業 |
事業内容 | テレビ、インターネット、電話 |
代表者 | 住田町長 |
外部リンク | https://www.town.sumita.iwate.jp/docs/2015022600570/ |
特記事項:代表者は住田町長であり、本社(事務所)所在地は住田町役場内である。 |
住田町内全域に光ファイバーケーブルによるネットワークを整備し、デジタルテレビ放送、電話、高速インターネット通信、防災告知サービスなどのインフラストラクチャーを加入者宅に提供している。同ネットワークを用いて町独自の自主放送もおこなっており、ケーブルテレビチャンネルとしての愛称は住田テレビである。
概略
編集概要
編集山地と沢沿いの集落が目立つ中山間地域である住田町はテレビ電波の難視聴地域であり、アナログ放送時代においても住民の実に98パーセントが共同受信施設組合(共聴組合)に加入することで初めてテレビ視聴が可能となっていた[1][2]。2011年(平成23年)7月に予定された地上テレビのデジタル放送への完全移行においても町民の半数以上がデジタル化困難共聴世帯(共聴設備の地上デジタルテレビ放送受信への対応が困難な世帯)に該当することから[1]、その解決策として総務省の地域情報通信基盤整備推進交付金事業(ICT交付金事業)、過疎対策事業債その他を利用して計画・設置された[3][注 1]。
町が町内全域に光ファイバーケーブル2回線を敷設してネットワークを構築し、1回線をデジタルテレビ放送の配信回線とし、もう1回線を電話回線・光ブロードバンドインターネット回線・防災告知放送サービス用(防災告知受信機用)回線とすることで[8]、地上デジタルテレビ放送を視聴可能とし、また同時にインターネット高速通信回線を確保することで他地域また町内における情報格差(デジタル・デバイド)の解消を図る施設である。また、光ファイバー網を携帯電話回線事業者に開放することにより、町内の携帯電話不感地域の縮小にも資している[9]。総事業費は約10億円[3]。
デジタルテレビ放送の信号は遠野市のケーブルテレビ事業者である遠野テレビから供給を受けている[10]。また、住田テレビによる自主放送番組の制作は遠野テレビへ業務委託し[11]、町民ボランティアや町職員が参加する方式をとっている[12]。光インターネット回線とひかり電話についてはNTT東日本からサービスを受けており[9]、公設民営方式(IRU方式)で運営されている[13]。
住田町地域情報通信基盤施設によってテレビを視聴するためには、住田町に申請し、同基盤施設への加入が必要である[14]。アンテナは不要で、デジタルテレビもしくは地上デジタルチューナーが必要である[15]。同基盤施設の設置や管理・運営、放送は、「住田町地域情報通信基盤施設の設置及び管理に関する条例」に基づいておこなわれている[注 2]。
歴史・沿革
編集2007年(平成19年)7月25日に、住田町は北隣する遠野市と地デジ対応連携のため有線テレビジョン放送施設を共用する利用協定を結んだ[8]。遠野市が出資する第三セクターである株式会社遠野テレビから光ファイバーケーブルを住田町内にひき、デジタルテレビ放送番組(信号)の供給を受けるためである[8]。
2007年(平成19年)11月5日に、総務省よりケーブルテレビ放送施設の設置許可を受けた[21]。
2008年(平成20年)4月6日、FTTH方式の町営ケーブルテレビ局として開局し[12]、加入者宅へのテレビ放送を開始した[注 3]。また自主放送チャンネルの愛称を「住田テレビ」として町独自の番組の放送もスタートした[22]。なお、放送法に基づく住田町の放送番組審議会は同年3月17日に発足した[12]。
主な放送チャンネル
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住田テレビ
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その他
編集- 放送機器や光ファイバーケーブルの更新や移設工事にともなってテレビ放送の停波やひかり電話、防災告知放送、インターネット接続、一部地域で携帯電話の停止が発生することがある[27]。
脚注
編集注釈
編集- ^ 辺地共聴[4][5]におけるデジタル化困難共聴世帯への対応が課題となった岩手県内の地上デジタル放送への対応については、総務省東北総合通信局を事務局として岩手県地上デジタル放送推進会議が設置され、「岩手県域における地上デジタルテレビ放送推進のための行動計画」の第1次(2009年3月31日)[6]、および第2次(2010年3月31日)[7]が策定された。
- ^ 同条例および同条例施行規則は、住田町公式ウェブサイトの「地域情報通信基盤施設について」ページの「関連条例」セクションでpdf提供されている[16]。また、住田町例規集[17]には関連法令として、「住田町地域情報通信基盤施設の設置及び管理に関する条例」(平成19年8月30日条例第14号)[18]、「住田町地域情報通信基盤施設の設置及び管理に関する条例施行規則」(平成19年8月30日規則第15号)[19]、「住田町地域情報通信基盤施設整備基金条例」(平成20年3月10日条例第6号)[20]が収められ、インターネット公開されている。
- ^ ケーブルテレビとして放送を開始した2008年4月時点では、岩手県の地上デジタル放送6チャンネル、BSデジタル放送10チャンネル、地上アナログ放送7チャンネル(住田テレビを含む)、BSアナログ放送3チャンネルを受信できた[12]。
出典
編集- ^ a b 堀尾昌史 2008, p. 2, 「住田町が抱える情報化の課題」.
- ^ 住田町議会事務局: “住田町議会 令和4年9月定例会(9月6日:一般質問)” (pdf). 住田町公式ウェブサイト. 住田町. p. 48 (2022年9月6日). 2023年5月27日閲覧。 “◆町長(神田謙一君): (..) 本町では、平成19年〔2007年〕当時、町内全域の98 %がテレビ難視聴地域であり、30ほどのテレビ組合が共同アンテナを設置して、テレビ等の視聴に対応しておりました。また、平成23年〔2011年〕7月に完全移行する地デジ化への対応については、大きな課題でありました。そのような状況において、本町では、国からの交付金等を活用して、地域情報通信基盤施設を整備したものであります。” ※議事録pdf配布元は「住田町議会 会議録:令和4年度|議会事務局」ページ。
- ^ a b 堀尾昌史 2008, p. 6, 「施設概要・事業費」.
- ^ 東北総合通信局. “辺地共聴施設整備事業|東北総合通信局”. 総務省ウェブサイト. 総務省. 2023年5月27日閲覧。 “全国に約18,400施設、約164万世帯が利用していると推計される辺地共聴施設のデジタル化を行うための改修を行うに当たり、受信点の新設・改修等を行う等住民の負担が著しく過重となる場合に、辺地共聴施設を整備する市町村等に対して国がその整備費用の一部を補助する。”
- ^ 東北総合通信局. “共聴施設整備事業|東北総合通信局”. 総務省ウェブサイト. 総務省. 2023年5月27日閲覧。 “辺地共聴施設の改修等の支援/ これまで山間部等においてデジタルテレビ放送を受信するために共聴施設を改修、新設又はケーブルテレビに移行する者に対して国がその整備費用の一部を補助。これを継続するとともに、300 mを越える伝送路設備に対する支援を拡充。”
- ^ “岩手県地上デジタル放送推進会議 : 岩手県域における地上デジタルテレビ放送推進のための行動計画〔第1次〕|デジタル放送推進のための行動計画等|地上デジタルテレビ放送について”. 総務省東北総合通信局ウェブサイト. 総務省 (2009年3月31日). 2009年7月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月27日閲覧。
- ^ “岩手県地上デジタル放送推進会議 : 岩手県域における地上デジタルテレビ放送推進のための行動計画〔第2次〕|デジタル放送推進のための行動計画等|地上デジタルテレビ放送について”. 総務省東北総合通信局ウェブサイト. 総務省 (2010年3月31日). 2013年3月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月27日閲覧。
- ^ a b c 「住田町・遠野市、「地デジ」対応に連携 有線テレビ放送施設共用で協定」『Web東海新報』東海新報社、2007年7月27日、7面。オリジナルの2007年7月30日時点におけるアーカイブ。2023年5月6日閲覧。
- ^ a b 堀尾昌史 2008, p. 5, 「施設概要図」.
- ^ “会社概要”. 遠野テレビ. 株式会社遠野テレビ (2021年). 2023年5月6日閲覧。 “〔沿革〕2008年4月 住田テレビへ配信を開始。”
- ^ 「新春インタビュー/2017挑む!!気仙人(4) 住田テレビ担当キャスター・及川成子さん(26)」『Web東海新報』東海新報社、2017年1月20日、1面。2023年5月6日閲覧。
- ^ a b c d e f “広報すみた 平成20年3月号 (No. 582) - 町政”. 住田町公式ウェブサイト. 住田町. pp. 4-5 (2008年3月). 2011年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月27日閲覧。 ※pp. 4-5「光ファイバによる地域情報化基盤整備事業 『住田テレビ 5チャンネル』4月6日(日) 開局」(pdf)参照。
- ^ “地域情報通信基盤整備推進交付金事業に係る事後評価 (平成24年度末)” (pdf). 住田町公式ウェブサイト. 住田町. p. 2 (2012年3月). 2023年5月27日閲覧。 ※pdf配布元は「地域情報通信基盤施設について」ページ。
- ^ “住田テレビについて”. 住田町公式ウェブサイト. 住田町 (2019年8月19日). 2023年5月6日閲覧。
- ^ “広報すみた 平成22年7月号 (No. 610)”. 住田町公式ウェブサイト. 住田町. p. 4 (2010年7月). 2010年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月27日閲覧。 “本町の場合は、アンテナを設置する必要は無く、住田町情報基盤施設に加入し、デジタルテレビかデジタルチューナーを設置することで簡単に地上デジタル放送を見ることができます。” ※p. 4「地デジの準備はお済みですか?」(pdf)参照。
- ^ “地域情報通信基盤施設について”. 住田町公式ウェブサイト. 住田町 (2022年9月22日). 2023年5月6日閲覧。
- ^ “住田町例規集 : Top”. 住田町例規集. 住田町 (2023年1月26日). 2023年5月27日閲覧。
- ^ “住田町地域情報通信基盤施設の設置及び管理に関する条例(平成19年8月30日条例第14号)”. 住田町例規集. 住田町 (2007年8月30日). 2023年5月27日閲覧。
- ^ “住田町地域情報通信基盤施設の設置及び管理に関する条例施行規則(平成19年8月30日規則第15号)”. 住田町例規集. 住田町 (2007年8月30日). 2023年5月27日閲覧。
- ^ “住田町地域情報通信基盤施設整備基金条例(平成20年3月10日条例第6号)”. 住田町例規集. 住田町 (2008年3月10日). 2023年5月27日閲覧。
- ^ 東北総合通信局 (2007年11月5日). “[報道資料] 岩手県住田町における有線テレビジョン放送施設の設置を許可 : 光ファイバケーブルによりケーブルテレビサービスを展開(平成19年11月5日)”. 総務省ウェブサイト. 総務省. 2011年2月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月6日閲覧。
- ^ a b 住田町議会事務局: “住田町議会 令和4年9月定例会(9月6日:一般質問)” (pdf). 住田町公式ウェブサイト. 住田町. pp. 47-50, 51-58 (2022年9月6日). 2023年5月27日閲覧。 “◆町長(神田謙一君): (..) 本町では、自らが有線テレビジョン放送事業者となり、平成20年度から遠野テレビと連携して、地上デジタル放送、BSデジタル放送、自主放送を提供してまいりました。特にも自主放送については住田テレビを開局し、地域情報番組である、すみたホットライン、静止画告知放送、町政番組や企画番組、議会放送など、住民の皆様に提供してきたところであります。/ 町では、町の情報を発信する責任があり、その中で「広報すみた」やホームページ、SNSはもとより、住田テレビにおいても、町の話題などを発信してきたところであり、ネット社会が普及している現代ですが、高齢化が進む本町においては、高齢者の多くが紙媒体やテレビの視聴が主な情報源であると認識をしております。” ※議事録pdf配布元は「住田町議会 会議録:令和4年度|議会事務局」ページ。
- ^ “広報すみた 令和4年12月号 (No. 759) - 町政”. 住田町公式ウェブサイト. 住田町. p. 13 (2022年12月). 2023年5月31日閲覧。 ※p. 13「年末年始は特別放送プログラムの住田テレビをお楽しみください」(pdf)参照。
- ^ “東海精密工業株式会社 岩手事業所”. じょぶなびケセン. 大船渡商工会議所, 陸前高田商工会, 住田町商工会. 2023年5月31日閲覧。 “そのほかのSNSはこちら/ TSK〔東海精密工業〕住田テレビCM動画/ 岩手人材PR動画”
- ^ “#11 大大、大収穫祭”. 気仙ファン (2011年10月30日). 2023年5月31日閲覧。 “そのあと、最近新装した住田テレビのスタジオを見学。説明をしてくださったスタッフの方に、3月11日のことなど、いくつか質問。”
- ^ 岩手県立住田高等学校 (2022年10月24日). “住田高校 まちあるき4”. 岩手県立住田高等学校|note. note. 2023年5月31日閲覧。
- ^ 企画財政課企画係: “放送機器更改工事及び光ケーブル移設工事に伴う通信サービス停止のお知らせ”. 住田町公式ウェブサイト. 住田町 (2019年1月29日). 2019年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月27日閲覧。
参考文献
編集- 堀尾昌史(岩手県住田町町づくり推進課) (2008年11月26日). “岩手県住田町における地域情報化の取り組み 〜平成19年度総務省地域情報通信基盤整備推進交付金事業〜|Internet Week 2008 : H7 成功事例にみる地域情報化の核づくり : 3) 東北地方における光ブロードバンド化政策推進の現状 東北地方における事例紹介 / 町村への光ブロードバンド導入実例”. 日本ネットワークインフォメーションセンター (JONIC). 2023年5月6日閲覧。 ※報告個別pdfあり。
- 東北総合通信局 (2007年11月5日). “[報道資料]岩手県住田町における有線テレビジョン放送施設の設置を許可 : 光ファイバケーブルによりケーブルテレビサービスを展開”. 総務省ウェブサイト. 総務省. 2011年2月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月6日閲覧。
- 「光ファイバによる地域情報化基盤整備事業 『住田テレビ 5チャンネル』4月6日(日) 開局」『広報すみた(平成20年3月号)』第582巻、住田町、2008年3月、4-5頁、 オリジナルの2011年5月18日時点におけるアーカイブ、2023年5月27日閲覧。
関連項目
編集- ケーブルテレビ
- 難視聴地域 - 共同受信施設(共聴施設)
- 日本の地上デジタルテレビ放送 - 2003年(平成15年)12月に導入開始、2011年(平成23年)7月にアナログ放送から完全移行。
- 2011年問題 (日本のテレビジョン放送)
- ブロードバンドインターネット接続
- フレッツ(FLET'S) - NTT東日本およびNTT西日本の提供するインターネット回線サービス
- 遠野テレビ - 遠野市が出資する第三セクターのケーブルテレビ事業者
外部リンク
編集- 住田町 - 住田町公式ウェブサイト