伊藤 卓美(いとうたくみ、1946年1月15日 -  )は、日本版画家

経歴

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母の実家である宮城県登米郡登米町(現・登米市)で、洋画家である伊藤悌三の三男として生まれる。高校2年の時、版画家の馬淵聖が版画で作成した父宛の年賀状と出会い、自身も本格的に版画制作を始める。秋田の版画家勝平得之の影響を受けた民俗芸能をテーマにした作品で、1967年に初の個展を開く。

1979年に日版会版画展に『群鹿』を出品、新人賞を獲得して会友に推挙される。以後日版会賞や文部大臣賞を受賞した。2004年に日版会会長となるが、自作の版画制作を優先すべく2014年に退会した。

2024年に、岩手県花巻市の第34回イーハトーブ賞を受賞した[1]

作風

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宮沢賢治の文学、民俗芸能といった題材を木版画で表現した作品を手がけている。

また、前川千帆武井武雄らの影響を受けて木版画による手造りの限定本・歌留多の制作を手掛けている。2014年からは、「東京に残る“江戸”」の探索をテーマとした「東京江戸百景」を10年計画で制作している。他には、学校等で歌われなくなった童謡・唱歌100曲を「歌留多」にした。

著作

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書籍

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※版元がないものは私家版絵本。

  • 鹿踊りのはじまり』1979年
  • 『尽し尽し』1980年
  • 『賢治絵葉書帳』1982年
  • 『私のきっからぼっこ』1985年
  • 『木版いろは書票集』吾八書房、1986年
  • 『花の書票集』吾八書房、1991年
  • どんぐりと山猫』1997年
  • 『もらってうれしい木版画の年賀状』日貿出版社、2000年
  • 『宮沢賢治の山猫と遊ぶ楽しい木版画教室』日貿出版社、2002年
  • 『どんぐりと山猫』(点字本)2006年

歌留多

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  • 「郷土玩具書票いろは歌留多」1989年
  • 「花の書票いろは歌留多」1993年
  • 「宮沢賢治書票歌留多」1995年
  • 「花かるた」2003年
  • 「宮沢賢治書票歌かるた」2004年
  • 「日本の歌故郷の歌かるた」2010年
  • 「続日本の歌故郷の歌かるた」2013年

切手原画制作

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作品収蔵

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脚注

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  1. ^ 宮沢賢治賞・イーハトーブ賞が決定しました - 花巻市宮沢賢治学会イーハトーブセンター(2024年8月4日)

参考文献

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  • 「かるたで遊ぶ賢治の世界」日本経済新聞1995年9月5日文化欄
  • 伊藤卓美「『遊び』は究極の喜び」『版画芸術』118号、阿部出版、2002年12月、pp.58 - 61
  • 伊藤卓美『宮沢賢治関連木版画作品集』2016年、[要文献特定詳細情報]