伊予鉄道モハ5000形電車
伊予鉄道モハ5000形電車(いよてつどうモハ5000がたでんしゃ)は、2017年(平成29年)に登場した伊予鉄道の軌道線用電車である。
伊予鉄道モハ5000形電車 | |
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基本情報 | |
運用者 | 伊予鉄道 |
製造所 | アルナ車両 |
運用開始 | 2017年9月21日[1] |
主要諸元 | |
車両定員 | 60名(座席26名)[2] |
車体長 | 12,500 ミリメートル[2] |
車体幅 | 2,300 ミリメートル[2] |
車体高 | 3,800 ミリメートル[2] |
台車 | 新日鉄住金 |
主電動機 |
東洋電機製造製かご形三相誘導電動機 TDK6250-A1[3] |
端子電圧 | 440 V |
駆動方式 | TD平行カルダン駆動方式 |
制御方式 | IGBT素子VVVFインバータ制御 |
制御装置 | 東芝製2レベルインバータ(型式不明) |
概要
編集2002年(平成14年)登場の2100形に続く超低床型LRVとして[4]、2017年(平成29年)9月に2両(5001・5002)が登場した[1][2][5]。以後2019年1月(5003・5004)[6]、2020年2月(5005・5006)[7]、2021年2月(5007・5008)[8]、2022年2月(5009・5010)、2023年2月(5011・5012)、2024年2月(5013・5014)と毎年度2両ずつが導入されており、2025年までに第16編成までの導入が決まっている[9]。
車体
編集2100形に引き続き、アルナ車両のリトルダンサータイプSが採用されている。これは従来車(高床車)と同様の車軸付き台車を採用するものの、それらを車体の両端に配置することで、可能な限りの低床化を図るもので、台車上となる高床部分には運転台と4人掛け座席および運賃箱が設置されている[10]。
2100形から車体寸法および車内通路幅を拡大し、併せて乗降扉に外吊りのスライドドア(プラグドア)を採用したことなどから[11]、車両定員は2100形の47名(座席20名)から60名(座席26名)に増加した[2]。また、この乗降扉には開閉予告灯を設置し、乗客に対し乗降時の注意を喚起している。
構体は普通鋼製溶接組立方式を基本とし、前頭部および屋根覆い部にFRP製カバーを設置している。
車体デザインは「乗ってみたくなる未来型流線形デザイン」[2]をコンセプトとし、前面には3次元曲面ガラスを用いて丸みを強調している。
車体塗装は同社が2015年(平成27年)に打ち出した「IYOTETSUチャレンジプロジェクト」[12]の一環として、保有する電車・バスに採用の「愛媛らしさ」を表現したオレンジ色[13]を基調とした。
行先表示には、同社の鉄軌道車両としては初となるLEDを採用しており[11]、外国人観光客向けとして英語表記にも対応する[2]。
内装は白と黒のモノトーンで統一されたカラーリングを主とし、座席は従来車と同様の全席ロングシート配置ながら、当形式での改良点として中央部にはスタンションポールを設置している[10]。更にバリアフリー対応として、2100形と同様に車椅子スペースを設け、乗降口床にはスロープを内蔵している。このスロープ部の床面にはセンサーが設けられており、スロープを収納していない場合は、力行操作ができない[10]。また、車椅子スペースには収納座席を設置し、車椅子の利用がない場合は、通常のロングシートとして使用することが可能である[10]。
そのほか、中吊り広告を廃し、新たにデジタルサイネージを導入したこと、および、照明装置にはフラットタイプの面発光LEDを採用[2]したこと、並びに、Wi-Fi機器を搭載しており、無料インターネット接続サービス「えひめFree Wi-Fi」を提供していることが特色である。
5011号以降は車内の電光掲示がフルカラー表示になっている。
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運転台
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車内
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5002のナンバープレートとアルナ車両のプレート
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車体前面(上)と側面(下)の行先表示
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側面の行先表示(松山市駅)
主要機器
編集台車は住友金属工業製のFS-95Aを採用している[10]。この台車は、2100形とほぼ同仕様の、車輪径660mm・軌間1067mmの車軸付きペデスタル式で、これに主電動機として出力60kWの三相かご型誘導電動機を装荷し、TD継手を用い駆動させている[10]。
なお、電装品に関しては、こちらも2100形に引き続き、先に述べた主電動機を含め、主に東洋電機製造製を使用している。
特筆される点として、VVVF制御装置と補助電源装置を一体化し小型化を図ったC-PCU装置(Combined Power Conversion Unit)を設置したこと[10]が挙げられ、これによって捻出された屋上スペースを用いて、2100形では床下に設置されていた空気圧縮機を屋上へと設置し、車内空間の拡張を図っている。
C-PCU装置と並んで屋上に設置される冷房装置は、出力24.5kWの屋上集中式[10]である。
ブレーキは多段階制御方式の電気指令式ブレーキに加え、空気ブレーキを併用する電空協調制御を採用[10]し、常用7段、非常、保安ブレーキを有している。また、デッドマン機能も付いている[10]。
運用
編集2017年9月21日より営業運転を開始した[1][2][5]。運用は、主に3系統、5系統と朝、晩の出庫入庫時の古町延長運転のみだったが、2020年3月31日に2系統環状線で営業運転を始めた。初運用は5001。また同年4月2日に1系統環状線で営業運転を始めた。初運用は5006。現在は本町線以外の全線で運転をしている。
5001の運用開始日=2017/9/21
5002の運用開始日=2017/9/22
バリエーション
編集製造時期により、以下のような差異がみられる[14]。
- 5001-5004号
- 運転台直後の窓の開口方式が内折れ式
- 運賃箱が従来型
- 5005-5014号
- 運転台直後の窓の開口方式がスライド式
- 運賃箱が新型
また、案内装置類について以下の差異が存在する[14]。
各車状況
編集車号 | 竣工 | 塗装 | 備考 |
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5001 | 2017年 | 標準色 | |
5002 | 標準色+ファミリーマートラッピング | ||
5003 | 2018年 | 標準色+BEMACラッピング | |
5004 | 標準色+伊予銀行ラッピング | ||
5005 | 2020年 | 標準色+NTTドコモラッピング[15] | |
5006 | 標準色+SOLATOラッピング[16] | ||
5007 | 2021年 | 標準色+四電工ラッピング | |
5008 | 標準色+三浦工業(Miura)ラッピング | ||
5009 | 2022年 | 標準色+みきゃんアプリラッピング | |
5010 | 標準色 | ||
5011 | 2023年 | 標準色 |
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5012 | 標準色 | ||
5013 | 2024年 | 標準色+宇和島運輸フェリーラッピング |
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5014 | 標準色 |
車両の写真
編集-
5001号
-
5002号
-
5012号
脚注
編集- ^ a b c “新型LRT車両が営業運転を開始しました!”. 伊予鉄道 (2017年9月22日). 2017年9月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “新型LRT車両 営業運転開始!(9/21)”. 伊予鉄道. 2017年9月22日閲覧。
- ^ 「伊予鉄道株式会社モハ5000形車両用電機品」『東洋電機技報』第137号、2018年、 オリジナルの2023年4月25日時点におけるアーカイブ。
- ^ 『市内電車に新型LRT車両(次世代型路面電車)を導入! 〜乗ってみたくなる未来型流線形車両〜』(PDF)(プレスリリース)伊予鉄道、2017年1月25日。オリジナルの2019年1月30日時点におけるアーカイブ 。2021年1月29日閲覧。
- ^ a b 「伊予鉄の新型LRT 営業運転開始」『』愛媛新聞オンライン、2017年9月22日。
- ^ 『新型LRT車両を2両追加導入!』(PDF)(プレスリリース)伊予鉄道、2018年12月25日。オリジナルの2021年1月29日時点におけるアーカイブ 。2021年1月29日閲覧。
- ^ 『新型LRT車両(低床式)5000形が6両に! 〜新たに2両追加導入!〜』(PDF)(プレスリリース)伊予鉄道、2020年3月5日。オリジナルの2021年1月29日時点におけるアーカイブ 。2021年1月29日閲覧。
- ^ 『新型LRT車両(低床式)5000形が8両に! 〜新たに2両追加導入!〜』(PDF)(プレスリリース)伊予鉄道、2021年1月29日。オリジナルの2021年1月29日時点におけるアーカイブ 。2021年1月29日閲覧。
- ^ “2020年度 移動等円滑化取組計画書” (PDF). 伊予鉄道. 2020年8月27日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 日本鉄道運転協会『運転協会誌』2017年12月号 pp37-39
- ^ a b 「伊予鉄道市内電車 新型車両が営業運転開始 (愛媛県)」『南海放送』NNN、2017年9月21日。オリジナルの2017年9月22日時点におけるアーカイブ。
- ^ 『IYOTETSUチャレンジプロジェクト』伊予鉄道株式会社、2015年5月 。2023年1月24日閲覧。
- ^ 「伊予鉄道5000形、市内電車の新型車両は「未来型流線形デザイン」9月導入へ」『マイナビニュース』2017年1月25日。
- ^ a b c d e f g h i “【教えて!大西先生】伊予鉄道 市内電車5000形の特徴を徹底解説!”. 伊予鉄公式YouTube. 2024年11月4日閲覧。
- ^ 伊予鉄総合企画 [@iyotetsuplannin] (2020年11月11日). "NTTドコモさんのラッピング電車が運行開始♪". X(旧Twitter)より2021年1月31日閲覧。
- ^ “松山市内線電車『新型LRT車両』への広告掲出について”. 太陽石油(SOLATO). 2020年9月22日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 伊予鉄道株式会社モハ5000形車両用電機品 - ウェイバックマシン(2023年4月25日アーカイブ分) - 東洋電機製造