今村夏子
今村 夏子(いまむら なつこ、1980年2月20日[2] - )は、日本の小説家。広島県広島市安佐南区生まれ[3]。大阪市在住[4]。
今村 夏子 (いまむら なつこ) | |
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誕生 |
1980年2月20日(44歳) 広島県広島市安佐南区[1] |
言語 | 日本語 |
教育 | 学士 |
活動期間 | 2010年 - |
ジャンル | 小説 |
代表作 |
『こちらあみ子』(2011年) 『星の子』(2017年) 『むらさきのスカートの女』(2019年) |
主な受賞歴 |
太宰治賞(2010年) 三島由紀夫賞(2011年) 河合隼雄物語賞(2017年) 野間文芸新人賞(2017年) 芥川龍之介賞(2019年) 咲くやこの花賞(2019年) |
デビュー作 | 「あたらしい娘」(2010年) |
経歴
編集広島県内の高校を経て大阪市内の大学を卒業[5]。その後は清掃のアルバイトなどを転転とした[5]。29歳の時、職場で「あした休んでください」といわれ、帰宅途中に突然、小説を書こうと思いつく[5]。そうして書き上げた「あたらしい娘」が2010年、第26回太宰治賞を受賞した[5][6]。同作を改題した「こちらあみ子」と新作中篇「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』(筑摩書房)で、2011年に第24回三島由紀夫賞受賞[7][8]。広島の実家近くで2014年に起きた広島土砂災害では、泥水が実家の周囲に押し寄せ、祖母の墓が流された[5]。「こちらあみ子」には、子どもの頃の郷里の思い出も散りばめ、広島弁もさりげなく登場する[5]。2014年刊の『こちらあみ子』ちくま文庫版に新作「チズさん」が併録されたが、それ以外に作品の発表はなく、半引退状態となっていた[9]。
2016年、西崎憲に声をかけられ、西崎が編集長をつとめる新創刊文芸誌『たべるのがおそい』(書肆侃侃房)で2年ぶりとなる新作「あひる」を発表し、第155回芥川龍之介賞候補に挙がった[10]。同作を収録した短篇集『あひる』で、第5回河合隼雄物語賞受賞[11]。2017年、『星の子』で第157回芥川賞候補[3]、第39回野間文芸新人賞受賞[12]。2019年、『むらさきのスカートの女』で第161回芥川賞を受賞[13]。笙野頼子、鹿島田真希、本谷有希子、村田沙耶香に続いて5人目の純文学新人賞三冠[注 1]作家となる。2019年度咲くやこの花賞受賞[14]。
2013年に結婚し、大阪市内で夫と娘と3人暮らし[10]。庄野潤三の長女(1947年生れ)は同姓同名の別人。岡山市出身の小川洋子を「神様みたいな人」と敬愛し、「ずっとあんなふうに書いていけたらすてき」と話している[5]。
2020年2月、広島市民賞を受賞[15]。
作品リスト
編集単行本
編集- 『こちらあみ子』(2011年1月 筑摩書房 / 2014年6月 ちくま文庫 解説:町田康、穂村弘)
- 「こちらあみ子」 - 『太宰治賞2010』掲載時「あたらしい娘」から改題
- 「ピクニック」 - 書き下ろし
- 「チズさん」(文庫版のみ) - 書き下ろし
- 『あひる』(2016年11月 書肆侃侃房 / 2019年1月 角川文庫 解説:西崎憲)
- 「あひる」 - 文学ムック『たべるのがおそい』vol.1
- 「おばあちゃんの家」 - 書き下ろし
- 「森の兄妹」 - 書き下ろし
- 『星の子』(2017年6月 朝日新聞出版 / 2019年12月 朝日文庫)※ 2020年に芦田愛菜主演で映画化[18]。
- 『父と私の桜尾通り商店街』(2019年2月 角川書店 / 2022年1月 角川文庫 解説:瀧井朝世)
- 「白いセーター」 - 文学ムック『たべるのがおそい』vol.3
- 「ルルちゃん」 - 『文芸カドカワ』2017年12月号
- 「ひょうたんの精」 - 『文芸カドカワ』2017年10月号
- 「せとのママの誕生日」 - 『早稲田文学』増刊女性号
- 「冬の夜」(文庫版のみ) - 『文芸カドカワ』2017年8月号
- 「モグラハウスの扉」 - 書き下ろし
- 「父と私の桜尾通り商店街」 - 『文芸カドカワ』2016年9月号
- 『むらさきのスカートの女』(2019年6月 朝日新聞出版 / 2022年6月 朝日文庫 解説:ルーシー・ノース[19])
- 「むらさきのスカートの女」 - 『小説トリッパー』2019年春号
- 芥川賞受賞記念エッセイ(文庫版のみ)
- 『木になった亜沙』(2020年4月 文藝春秋 / 2023年4月 文春文庫 解説:村田沙耶香)
- 「木になった亜沙」 - 『文學界』2017年10月号
- 「的になった七未」 - 『文學界』2020年1月号
- 「ある夜の思い出」 - 文学ムック『たべるのがおそい』vol.5
- ボーナスエッセイ(文庫版のみ)
- 「バイキング」 - 『文學界』2016年9月号
- 「日記とエッセイ」 - 『文學界』2021年2月号
- 「日記」 - 『新潮』2021年3月号
- 『とんこつQ&A』(2022年7月 講談社)
- 「とんこつQ&A」 - 『群像』2020年7月号
- 「嘘の道」 - 『群像』2020年10月号
- 「良夫婦」 - 『群像』2021年7月号
- 「冷たい大根の煮物」 - 『群像』2021年12月号
アンソロジー収録
編集- 「あひる」 - 『文学2017』(2017年4月 講談社)
- 初出:『たべるのがおそい』vol.1
- 「父と私の桜尾通り商店街」 - 『短篇ベストコレクション 現代の小説 2017』(2017年6月 徳間文庫)
- 初出:『文芸カドカワ』2016年9月号
- 『パンデミック日記』(2021年6月 新潮社)
- 初出:『新潮』2021年3月号「創る人52人の「2020コロナ禍」日記リレー」
単行本未収録
編集- 小説
- 「ティラミス」 - 『ちくま』2022年6月号
- 「三影電機工業株式会社社員寮しらかば」 - 『群像』2024年5月号
- 「貯金箱」 - 『新潮』2024年5月号
- 「トラの顔」 - 『文藝』2024年秋季号
- 「七月三十一日晴れ」『新潮』2024年10月号
- エッセイ
- 「思い出ステーション」 - 『小説すばる』2011年3月号
- 「サクランボの家」 - 『群像』2022年9月号
脚注
編集注釈
編集- ^ 芥川賞・三島賞・野間文芸新人賞の3賞。
出典
編集- ^ 小柳暁子 (2019年7月23日). "デビュー後、沈黙した芥川賞受賞作家・今村夏子に再び筆を執らせた一言とは?". AERA dot. 2022年12月14日閲覧。
- ^ "第157回芥川龍之介賞候補作が発表:今村夏子「星の子」など4作". ほんのひきだし. 2017年6月20日. 2022年12月14日閲覧。
- ^ a b “芥川賞候補に広島出身の今村さん”. 中国新聞アルファ. 中国新聞 (2017年6月20日). 2017年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月19日閲覧。
- ^ “芥川賞に今村夏子さん「むらさきのスカートの女」”. デイリースポーツ (2019年7月18日). 2019年7月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g “芥川賞候補になった今村夏子さん『あひる』転機の作品に手応え”. 中国新聞 (中国新聞): p. 15. (2016年7月26日)
- ^ “第26回太宰治賞受賞作が決定いたしました”. 筑摩書房 (2010年5月10日). 2022年12月2日閲覧。
- ^ 筑摩書房 こちらあみ子 / 今村 夏子 著
- ^ “三島由紀夫賞:今村夏子「こちらあみ子」太宰賞と2冠 山本周五郎賞は窪美澄「ふがいない僕は空を見た」”. まんたんウェブ (株式会社MANTAN). (2011年5月17日) 2022年12月2日閲覧。
- ^ 佐々木敦 [@sasakiatsushi] (2014年6月13日). "『こちらあみ子』がちくま文庫に入った。今村夏子はこの小説で太宰治賞を貰ってデビューし、三島由紀夫賞も貰って、そしてそのまま(おそらく意識的に)作家を休業というか半引退状態となり、現在に至る。彼女は紛れもない天才だ。それは読めばわかる。イノセンスとヴァルネラビリティ。". X(旧Twitter)より2022年12月2日閲覧。
- ^ a b 小柳暁子 (2019年7月23日). “デビュー後、沈黙した芥川賞受賞作家・今村夏子に再び筆を執らせた一言とは?”. AERA dot. (アエラドット). 朝日新聞社. 2020年11月26日閲覧。
- ^ “第5回河合隼雄賞が決定 物語賞に今村夏子『あひる』 学芸賞に釈徹宗『落語に花咲く仏教 宗教と芸能は共振する』”. Book Bang (2017年5月25日). 2022年12月2日閲覧。
- ^ “『星の子』(今村夏子著)が第39回野間文芸新人賞を受賞!”. 朝日新聞出版. 2018年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月2日閲覧。
- ^ “第161回芥川賞 今村夏子さん『むらさきのスカートの女』が受賞”. 文春オンライン. 文藝春秋 (2019年7月17日). 2022年12月2日閲覧。
- ^ “これまでの受賞者”. 咲くやこの花賞. 大阪市. 2022年12月2日閲覧。
- ^ “広島市民賞に芥川賞作家の今村夏子さんら”. 産経ニュース. 産経デジタル (2020年3月2日). 2020年11月26日閲覧。
- ^ “尾野真千子 初共演となった井浦新の撮影現場での姿勢を絶賛「いいお手本」”. デイリースポーツ online (2022年7月8日). 2022年7月8日閲覧。
- ^ 映画『こちらあみ子』公式ホームページ
- ^ “芦田愛菜、5年ぶりの実写映画主演 『星の子』で大森立嗣監督とタッグ”. クランクイン!. (2019年12月2日) 2019年12月23日閲覧。
- ^ 【今村夏子著『むらさきのスカートの女』文庫解説】英語版翻訳者のルーシー・ノース氏が考える国境を超える魅力
- ^ “私の背中を押してくれた小説 芥川賞に決まった今村夏子さん”. 産経新聞. (2019年8月17日) 2024年4月8日閲覧。