交響曲第35番 (モーツァルト)
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの作品 ニ長調 K. 385 は、1782年にハフナー家のために作曲されたセレナードであり、同時期に交響曲へと編曲された楽曲である。旧全集では『交響曲第35番』の通し番号が与えられており、交響曲第35番 ニ長調 K. 385「ハフナー」として知られている。
音楽・音声外部リンク | |
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Mozart: Symphony N°35 "Haffner" / OCNE / N. Krauze - ニコラス・クラウゼ指揮新ヨーロッパ室内管弦楽団による演奏。新ヨーロッパ室内管弦楽団公式YouTube。 |
解説
編集本作は通称「ハフナー」(Haffner)と言う。ザルツブルクの元市長の息子であり、モーツァルト自身にとっても幼なじみであったジークムント・ハフナーⅡ世(1756年 - 1787年)の姓に由来する。
モーツァルトがハフナー家のために作曲した楽曲は2つあり、ともにセレナードである。1曲目は1776年に作曲されたセレナード第7番K.250(K6.248b)で、今では『ハフナー・セレナード』と呼ばれ親しまれている。2曲目のセレナードはその6年後の1782年7月末に作曲された。ハフナー家が貴族になったことへの祝賀用のセレナードであったが、オリジナル・フォームのセレナードはメヌエット1曲が散逸している。行進曲(K6. 385a)は2曲目のセレナードのための行進曲であるとされている。
モーツァルトは1783年3月23日の予約演奏会のために旧作であるハフナー家への第2セレナードを交響曲に編曲した。編曲に際して行進曲と2つあったメヌエットのうちのひとつ(散逸した方)を削除し、楽器編成に第1と第4楽章にフルートとクラリネットを加えている。モーツァルトは自作のセレナードを交響曲に編曲することは多く、第1、第4、第5、第7『ハフナー・セレナード』、第9番『ポスト・ホルン』の各セレナードを交響曲に編曲している。本作もこうした一連の編曲交響曲のひとつである。
この曲以降の6つの交響曲(第1楽章の序奏部以外はミヒャエル・ハイドン作である第37番ト長調 K. 444(425a)を除く)は「モーツァルトの6大交響曲」と呼ばれ、モーツァルト交響曲のなかでも特に人気が高い。
アントン・ライヒャは、『ピアノのための36のフーガ』作品36の第7曲で、本曲第1楽章の第1主題を素材として用いている。
曲の構成
編集木管 | 金管 | 打 | 弦 | ||||
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フルート | 2 | ホルン | 2 | ティンパニ | ● | 第1ヴァイオリン | ● |
オーボエ | 2 | トランペット | 2 | 他 | 第2ヴァイオリン | ● | |
クラリネット | 2 | 他 | ヴィオラ | ● | |||
ファゴット | 2 | チェロ | ● | ||||
他 | コントラバス | ● |
- 第1楽章 アレグロ・コン・スピリート
- ニ長調、4分の4拍子(旧全集では2分の2拍子)、副主題を欠く変則的なソナタ形式。
- いきなり2オクターブも音が跳躍する冒頭のテーマは非常に印象的。その後、行進曲風のリズムが続く。ソナタ形式では、通常で主題が2つあるが、この楽章では第2主題がはっきりと出てこない、これはフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの交響曲にもよく見られる形式で、展開部は転調を重ね陰影に富んだ形に作られている。当時のソナタ形式では珍しく提示部、展開部・再現部とも繰り返しの指示はない。
- 第2楽章 アンダンテ
- 第3楽章 メヌエット
- 第4楽章 プレスト