丸山熊雄
丸山 熊雄(まるやま くまお、1907年6月2日 - 1984年1月4日)は、日本のフランス文学者、翻訳家。学習院大学名誉教授。
人物・来歴
編集旧制福岡高等学校を経て東京帝国大学文学部仏蘭西文学科卒業後、フランスに留学。留学中の友人に岡本太郎がおり、横光利一の通訳などもつとめている。妻の山崎明子もパリ時代に一緒であった。国民精神文化研究所の「思想対策に関する調査」の嘱託員も務めた。
帰国後、ヴォルテールの邦訳紹介を行うかたわら、白秋ゆかりのアルスから悪名高い『戦争文学論』を公刊。これはホメーロスや『ロランの歌』、タッソーの『解放されたエルサレム』などといった戦争をテーマとする叙事詩の中に文学の本質を見ようとするものであるが、一般読者には戦争礼賛、ナチス支持の文脈の中で受け取られたので、戦後しばらくは隠棲に近い生活を余儀なくされることとなった。そこで「翻訳の職人に徹する」ことをこころざし、モーパッサンや「ダルタニャン物語」の翻訳などをおこなう。
その後、鈴木力衛の誘いで学習院大学に迎えられ、東京大学教養学部でも教鞭を取るようになるが、赴任当初は上述の政治的な理由から、反発を感じた学生も多かった。
著書
編集- 『文学戦争』(映画文化研究所、戦争文化叢書 ; 第6輯) 1939
- 『戦争文学論』(アルス) 1940
- 『一九三〇年代のパリと私』(鎌倉書房) 1986.12
共編著
編集翻訳
編集- 『英雄交響曲 チャールス十二世』(ヴォルテール、白水社) 1942
- 『頸飾り』(モーパッサン、太虚堂書房) 1948
- 『モーパッサン選集 第3巻』(モーパッサン、太虚堂書房) 1948
- 『モーパッサン選集 第4巻』(モーパッサン、太虚堂書房) 1948
- 『ロンドリ姉妹 / 従卒』(モオパッサン、三笠文庫) 1952、のち角川文庫
- 『森の中 / 秘伝』(モーパッサン、三笠文庫) 1952
- 『ダルタニヤン物語 三銃士・三部作全集』第1 - 第6(アレクサンドル・デューマ、鈴木力衛,笹森猛正共訳、大日本雄弁会講談社) 1952
- 『脂肪の塊り』(モーパッサン、角川文庫) 1954
- 『初雪』(モーパッサン、角川書店) 1957
- 『ルイ十四世の世紀』第1 - 第4(ヴォルテール、岩波文庫) 1958 - 1983