三縄 一郎みなわ いちろう[1]1918年大正7年〉[1]2月14日[要出典] - 2017年平成29年〉12月16日[要出典])は、日本映画音響効果技師東京都[1]文京区本郷真砂町[要出典]出身。

日本映画における効果音の基礎を築いた人物とされる[1]

経歴

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歌手を目指し東洋音楽学校(現・東京音楽大学)で声楽を学んだ。新協劇団の女優であった姉の手伝いで[要出典]陰歌を手伝ったことをきっかけに、舞台音効の道へ進む[1]ミリオンレコード社へ入社するも[要出典]日中戦争の激化で同社が解散となり、自身も召集を受ける[1]

中国から帰国後の1942年(昭和17年)、東宝に入社し効果係となる[2][1]。半年ほど助手を務めたが、再び召集を受け、戦後から映画の音響効果を本格的に携わるようになる[1]。当時の映画は効果音が少なかったが、三縄は他人がやらないようなことをやりたいと考え、独自に台本にない効果音を当てていたところ、黒澤明に気に入られ黒澤映画で重用されるようになる[1]。時代劇での人が斬られる音や特撮映画での建物の破壊音などを創作していった[1]。怪獣映画では怪獣の鳴き声や足音なども手掛けた[2][1]。音響効果は複数名で作業を行っているが、クレジットでは代表して整音の下永尚だけ記載されているものが多い[1]

1957年(昭和32年)9月に下永、宮崎正信と共に東宝ダビングを設立。1971年(昭和46年)4月、東宝から独立し東宝効果集団を結成する[2][1]。1987年(昭和62年)に機能を東宝録音センターに吸収する形で解散する。1992年(平成4年)に引退。

2017年12月16日、死亡。[要出典]

映画

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公開年月日 作品名 制作(配給) 監督
1946年10月29日 わが青春に悔なし[1] 東宝 黒澤明
1947年7月1日 素晴らしき日曜日
1947年8月5日 銀嶺の果て 谷口千吉
1948年4月27日 酔いどれ天使 黒澤明
1952年10月9日 生きる
1953年10月21日 太平洋の鷲 本多猪四郎
1954年2月10日 さらばラバウル
1954年4月26日 七人の侍 黒澤明
1954年11月3日 ゴジラ[1] 本多猪四郎
1955年4月24日 ゴジラの逆襲[1] 小田基義
1955年8月14日 獣人雪男 本多猪四郎
1955年11月22日 生きものの記録 黒澤明
1956年12月26日 空の大怪獣 ラドン 本多猪四郎
1957年1月15日 蜘蛛巣城 黒澤明
1957年9月17日 どん底
1957年12月28日 地球防衛軍[1] 本多猪四郎
1958年10月14日 大怪獣バラン
1958年12月28日 隠し砦の三悪人 黒澤明
1959年12月26日 宇宙大戦争[1] 本多猪四郎
1960年4月26日 ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐 松林宗恵
1960年9月15日 悪い奴ほどよく眠る 東宝
黒澤プロダクション
(東宝)
黒澤明
1961年4月25日 用心棒
1962年1月1日 椿三十郎
1962年8月11日 キングコング対ゴジラ[1] 東宝 本多猪四郎
1963年3月1日 天国と地獄 東宝
黒澤プロダクション
(東宝)
黒澤明
1963年8月11日 マタンゴ[1] 東宝 本多猪四郎
1965年4月3日 赤ひげ 東宝
黒澤プロダクション
(東宝)
黒澤明
1970年10月31日 どですかでん 東宝
四騎の会
(東宝)
1971年7月17日 激動の昭和史 沖縄決戦 東宝
(東宝)
岡本喜八
1972年3月12日 地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン 東宝
東宝映像(製作協力)
(東宝)
福田純
1972年8月12日 海軍特別年少兵 東宝 今井正
1973年3月3日 放課後 森谷司郎
1973年3月17日 ゴジラ対メガロ 東宝映像
(東宝)
福田純
1973年9月1日 狼の紋章 東宝映画
東宝映像
(東宝)
松本正志
1973年12月29日 日本沈没 森谷司郎
1974年3月21日 ゴジラ対メカゴジラ 東宝映像
(東宝)
福田純
1974年7月20日 血を吸う薔薇 山本迪夫
1974年8月3日 ノストラダムスの大予言 東宝映画
東宝映像
(東宝)
舛田利雄
ルパン三世 念力珍作戦 国際放映
(東宝)
坪島孝
1974年12月28日 エスパイ 東宝映像
(東宝)
福田純
1975年3月15日 メカゴジラの逆襲 本多猪四郎
1975年7月12日 東京湾炎上 東宝映画
東宝映像
(東宝)
石田勝心
1975年11月1日 はつ恋 東宝映画
(東宝)
小谷承靖
1976年6月19日 続・人間革命 東宝映像
シナノ企画
(東宝)
舛田利雄
1976年10月2日 大空のサムライ 東宝映画
(東宝)
丸山誠治
1977年4月2日 悪魔の手毬唄 市川崑
1977年7月30日 HOUSE ハウス 東宝映像
(東宝)
大林宣彦
1977年8月27日 獄門島 東宝映画
(東宝)
市川崑
1977年10月29日 姿三四郎 岡本喜八
1977年12月17日 惑星大戦争 福田純
1978年2月11日 女王蜂 市川崑
1978年8月12日 火の鳥 火の鳥プロダクション
(東宝)
1978年11月23日 ブルークリスマス 東宝映画
(東宝)
岡本喜八
1978年12月16日 ピンク・レディーの活動大写真 東宝
T&Cミュージック
小谷承靖
1979年5月26日 病院坂の首縊りの家 東宝映画
(東宝)
市川崑
1980年4月26日 影武者 東宝映画
黒澤プロダクション
(東宝)
黒澤明
1980年8月30日 地震列島 東宝映画
(東宝)
大森健次郎
1981年8月8日 連合艦隊 松林宗恵
1981年11月7日 駅 STATION 降旗康男
1982年12月16日 ひめゆりの塔 芸苑社
(東宝)
神山征二郎
1984年8月11日 零戦燃ゆ 東宝映画
(東宝)
舛田利雄
1984年12月15日 ゴジラ 橋本幸治
1985年 グリニッチ・フィルム
ヘラルド・エース
(東宝)
黒澤明
1990年 黒澤プロダクション
(東宝)
1991年 八月の狂詩曲 黒澤プロダクション
フィーチャーフィルムエンタープライズII
松竹
1993年 まあだだよ 大映
電通
黒澤プロダクション
(東宝)

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 初代ゴジラ研究読本 2014, pp. 170–173, 取材 早川優、友井健人「スタッフインタビュー 三縄一郎」
  2. ^ a b c ゴジラ大百科 1992, p. 131, 構成 早川優「ゴジラ映画を100倍楽しむ100のカタログ 31 東宝効果集団と怪獣たちの声の秘密」

参考文献

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  • 『ENCYCLOPEDIA OF GODZILLA ゴジラ大百科 新モスラ編』監修 田中友幸、責任編集 川北紘一Gakken〈Gakken MOOK〉、1992年12月10日。 
  • 井上英之『検証・ゴジラ誕生―昭和29年・東宝撮影所』朝日ソノラマ、1994年。ISBN 4257033940 
  • 『別冊映画秘宝 初代ゴジラ研究読本』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2014年8月24日。ISBN 978-4-8003-0452-0 

外部リンク

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