ヴォロスチ (行政区画)
ヴォロスチ(ロシア語: волость、リトアニア語: valsčius)は歴史的な行政区画の1種である。リトアニア大公国では15世紀初めまで、ロシアでは20世紀初めまで、村落領域を指す際に用いられた。
ロシアのヴォロスチ
編集語源は「権威・政権(власть / ヴラスチ)、国土、管区」などを意味する古東スラヴ語のволодѣтиである。キエフ・ルーシ等の諸公国においては、ヴォロスチは都市をも含む、広範囲の領域を指す言葉として用いられていた。すなわち、この時期のヴォロスチは公(クニャージ)の領地を意味した[1]。
14世紀からは都市に従属する農村地帯を指す語となった。16世紀、イヴァン雷帝期のヴォロスチは、セロ、デレヴニャ等の村落の上位組織であり[2]、ウエズドの下位組織となっていた[3]。この形態のヴォロスチは「郷」と訳される[1][2][4]。また、15-17世紀の間にスタンという行政区画への改組が多く行われた[5]。
ヴォロスチはソビエト連邦期の1923 - 1929年の行政改革で廃止され[6]、ヴォロスチやウエズドはラヨンへと改組された。
脚注
編集- ^ a b 東郷正延ほか編 『研究社露和辞典(携帯版)』 研究社、1988年、P244
- ^ a b 田中陽兒ほか編 『世界歴史大系 ロシア史1 - 9~17世紀-』 山川出版社、1995年、P271
- ^ Уезд // Энциклопедический словарь Брокгауза и Ефрона : в 86 т. (82 т. и 4 доп.). — СПб., 1890—1907.
- ^ 上野俊彦「行政区分」川端香男里ほか編『新版ロシアを知る事典』平凡社、2004年。
- ^ Готье Ю. В. Замосковный край в XVII веке. — М., 1906. — С. 184.
- ^ 和久利誓一ほか編 『岩波ロシア語辞典』 岩波書店、1992年、P195