ワシントンメトロ

ワシントンD.C.の都市交通

ワシントンメトロ(Washington Metro)は、アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.を中心にメリーランド州バージニア州に広がる地下鉄バスを中心とする公共交通ネットワーク。ワシントン首都圏交通局(Washington Metropolitan Area Transit Authority: WMATA)によって所有および運営されている。

ワシントンメトロ
ロゴマーク
基本情報
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
所在地 ワシントンD.C.
種類 地下鉄
開業 1976年3月27日
所有者 ワシントンD.C.
運営者 ワシントン首都圏交通局 (WMATA)
公式サイト wmata.com
詳細情報
総延長距離 129 mi (208 km)
路線数 6
駅数 98
輸送人員 179,693,126人 (2016年)
1日利用者数 612,652人 (2017年5月)[1]
軌間 4 ft 8¼ in (1429 mm)
電化方式 直流750V 第三軌条方式
最高速度 75 mph (121 km/h)
路線図
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1976年開業、当初計画の路線網(83駅・165.5km)は、2001年1月13日に完成した。その後も断続的に拡大し、現在は計6路線、208kmの鉄道路線を運行している。1日平均、約62万人(2017年)が、ワシントンメトロの地下鉄を利用しており、ニューヨーク市地下鉄に次いで、アメリカ国内で2番目に利用者の多い公共交通ネットワークである。

路線一覧

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レッドライン以外の各路線が、ワシントン市内とバージニア州アーリントン郡内で路線と駅を共有し、郊外で分岐するのが、ワシントンメトロの特徴である。詳しくは、駅一覧を参照のこと。

  レッドライン Shady Grove - Glenmont 51.3 km
  ブルーライン Franconia Springfield - Downtown Largo 48.8 km
  オレンジライン Vienna/Fairfax GMU - New Carrollton 42.5 km
  グリーンライン Greenbelt - Branch Ave. 37.0 km
  イエローライン Huntington - Mount Vernon Square 17.2 km
  シルバーライン Ashburn - Downtown Largo 66.1 km

歴史

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1960年代、ワシントンD.C.には、大規模な高速道路計画案が複数存在していたが、それらに対する反対が次第に強くなる中で、代替案として地下鉄網の建設が進められ、高速道路建設資金が地下鉄網の建設資金へまわされることとなった。

地下鉄の建設は、1969年12月9日に始まり、最初の路線であるレッドライン(Farrgut North-Rhode Island Avenue間、7.4km)が、1976年3月27日に開業した。計画当初の路線網(83駅・165.5km)は、2001年1月13日に、グリーンライン、Anacostia-Branch Ave.間の開業をもって完成した。その後も、ワシントンメトロは、地下鉄路線網の拡大に努めており、ブルーラインの延伸やレッドラインのUnion Station~Rhode Island間に新駅の設置(New York Avenue-Florida Avenue-Gallaudet U)が2004年11月20日に行われた。

2004年6月9日には、850,636もの人々がロナルド・レーガン大統領の国葬や遺体が一時安置された連邦議会議事堂に向かうために、ワシントンメトロを利用した。これは開業以来、一日当り最も多い利用者数であった。

2014年7月26日にワシントン中心部と郊外を結ぶ新線シルバーラインが開通し、途中駅より既存のオレンジライン・ブルーラインに乗り入れた[2]

2022年11月、シルバーラインをアッシュバーンまで延伸した。これでワシントン・ダレス国際空港とワシントンD.C.が鉄道で直結した[3]

開業年の一覧
1976年 レッドライン Farrgut North-Rhode Island Avenue
1977年 レッドライン Farrgut North-Dupont Circle
ブルーライン Stadium Armory-National Airport
1978年 レッドライン Rhode Island Ave.-Silver Spring
オレンジライン Stadium Armory-New Carrollton
1979年 オレンジライン Rosslyn-Ballston
1980年 ブルーライン Stadium Armory-Addison Road
レッドライン Dupont Circle-Van Ness
1983年 イエローライン Gallery Place/Chinatown-Huntington
1984年 レッドライン Van Ness-Shady Grove
1986年 オレンジライン Ballston-Vienna/Fairfax
1990年 レッドライン Silver Spring-Wheaton
1991年 グリーンライン U St./Cardozo-Anacostia
ブルーライン King St.-Van Dorn Street
1993年 グリーンライン Fort Totten-Greenbelt
1997年 ブルーライン Van Dorn Street-Franconia Springfield
1998年 レッドライン Wheaton-Glenmont
1999年 グリーンライン U St./Cardozo-Fort Totten
2001年 グリーンライン Anacostia-Branch Ave.
2004年 ブルーライン Addison Road-Downtown Largo
2014年 シルバーライン Wiehle Reston East – Downtown Largo
2022年 シルバーライン Ashburn - Wiehle Reston East

車両

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詳しくは、en:Washington Metro rolling stockを参照。  2013年1月の時点で、1130両の車両が所属している。これまで、車両の大半をアルストム(Alstom)とアンサルド・ブレダ(Ansaldo Breda)が手掛けている。すでに製造年数の古い1000番台の車両がブレダに、2000番台の車両がアルストムによって改造されており、3000番台も、アルストムにより改造された。2013年4月に、旧型の1000系の更新とさらにメトロのサービス向上のため川崎重工業に7000系を528両発注している。さらに4000系の更新についても検討中であり、2014年初頭には交通局の所属は1268両になる見込み。

  • 車両番号1000-1299(300両、1976年から2014年)
Rohr Industries英語版製造
  • 車両番号2000-2075(76両、1982年製)
ブレダ(Breda Construzioni Ferroviarie)製造
  • 車両番号3000-3289(290両、1987年製)
ブレダ製造
  • 車両番号4000-4099(100両、1991年から2017年)
ブレダ/アンサルド・ブレダ製造
  • 車両番号5000-5191(192両、2001年から2017年)
CAF(Construcciones y Auxiliar de Ferrocarriles)製造
  • 車両番号6000-6183(184両、2005年製)
アルストム製造
  • 車両番号7000-7747(528両、2014年製[4]、2013年製造予定[5]
川崎重工業製造
  • 車両番号8000-(2024年以降、最大800両)
日立製造[6]

駅一覧

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  • レッドライン
Shady Grove ~ Rockville ~ Twinbrook ~ White Flint ~ Grosvenor - Strathmore ~ Medical Center ~ Bethesda ~ Friendship Heights ~ Tenleytown-AU ~ Van Ness-UDC ~ Cleveland Park ~ Woodlley Park-Zoo/Adams Morgan ~ Dupont Circle ~ Farrgut North ~ Metro Center ~ Gallery Place/Chinatown ~ Judiciary Square ~ Union Station ~ New York Avenue-Florida Avenue-Gallaudet U ~ Rhode Island Avenue ~ Brookland-CUA ~ Fort Totten ~ Takoma ~ Silver Spring ~ Forest Glen ~ Wheaton ~ Glenmont
  • ブルーラインKing Street ~ Pentagon:イエローラインと路線を共有)(Rosslyn ~ Stadium-Armory:オレンジラインと路線を共有)
Franconia-Springfield ~ Van Dorn Street ~ King Street ~ Braddock Road ~ Ronald Reagan Washington National Airport ~ Crystal City ~ Pentagon City ~ Pentagon ~ Arilington Cemetery ~ Rosslyn ~ Foggy Bottom-GWU ~ Farrgut West ~ McPherson Square ~ Metro Center ~ Federal Triangle ~ Smithsonian ~ L'Enfant Plaza ~ Federal Center SW ~ Capitol South ~ Eastern Market ~ Potmac Avenue ~ Stadium-Armory ~ Benning Road ~ Capitol Heights ~ Addison Road ~ Morgan Boulvard ~ Downtown Largo
  • オレンジラインRosslyn ~ Stadium-Armory:ブルーラインと路線を共有)
Vienna/Fairfax-GMU ~ Durn Loring-Merrifield ~ West Falls Church-UTA ~ East Falls Church ~ Ballston-MU,Virginia Square-GMU ~ Clarendon ~ Court House ~ Rosslyn ~ Foggy Bottom-GWU ~ Farrgut West ~ McPherson Square ~ Metro Center ~ Federal Triangle ~ Smithsonian ~ L'Enfant Plaza ~ Federal Center SW ~ Capitol South ~ Eastern Market ~ Potmac Avenue ~ Stadium-Armory ~ Minnesota Avenue ~ Deanwood ~ Cheverly ~ Landover ~ New Carrollton
  • グリーンラインL'Enfant Plaza ~ Mt.Vernon Square:イエローラインと路線を共有)
Branch Avenue ~ Suitland ~ Naylor Road ~ Southern Avenue ~ Congress Heights ~ Anacostia ~ Navy Yard ~ Waterfront-SEU ~ L'Enfant Plaza ~ Archieves-Navy Memorial ~ Gallery Place/Chinatown ~ Mt.Vernon Square ~ Shaw-Howard U ~ U Street/African-Amer Civil War Memorial/Cardozo ~ Columbia Heights ~ Georgia Avenue-Petworth ~ Fort Totten ~ West Hyattsville ~ Prince Gerogia's Plaza ~ College Park-U of Md ~ Greenbelt
  • イエローラインKing Street ~ Pentagon:ブルーラインと路線を共有)(L'Enfant Plaza ~ Mt.Vernon Square :グリーンラインと路線を共有)
Huntington ~ Elisehower Avenue ~ King Street ~ Braddock Road ~ Ronald Reagan Washington National Airport ~ Crystal City ~ Pentagon City ~ Pentagon ~ L'Enfant Plaza ~ Archieves-Navy Memorial ~ Gallery Place/Chinatown ~ Mt.Vernon Square
  • シルバーライン(共有区間は省略)
McLean ~ Tysons East ~ Greensboro ~ Spring Hill ~ Wiehle–Reston East ~ Reston Town Center ~ Herendon ~ Innovation Center ~ Dulles International Airport ~ Loudoun Gateway ~ Ashburn

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ Metrorail Average Weekday Passenger Boardings 2017”. WMATA. 2018年1月24日閲覧。
  2. ^ ワシントンの地下鉄で新線開通 空港直結は18年に 日本経済新聞 2014年7月27日
  3. ^ ワシントンメトロ、ダレス国際空港への延伸区間は11月後半までに開業か! 2022年11月17日
  4. ^ “川重、米ワシントンの地下鉄100両を受注 納期は5年後”. MSN産経ニュース. https://web.archive.org/web/20130520192008/http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130516/biz13051613350017-n1.htm 2013年7月26日閲覧。 
  5. ^ 吉田勝 (2010年5月28日). “川崎重工、ワシントン首都圏交通局から地下鉄車両810億円分を受注”. Tech-On!. https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2802M_Y0A520C1000000/ 2013年7月26日閲覧。 
  6. ^ 日立、中国退け「ワシントン地下鉄」受注の裏側 新工場を建設し、川崎重工業の牙城に食い込む”. 東洋経済オンライン (2021年4月5日). 2023年9月19日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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