ワイルド・サイドを歩け

ワイルド・サイドを歩け」(原題: Walk on the Wild Side)はルー・リードが1972年に発表した楽曲。リードの代表作の一つ。数多くのライブ・バージョンがある。

「ワイルド・サイドを歩け」
ルー・リードシングル
初出アルバム『トランスフォーマー
B面 パーフェクト・デイ(両A面)
リリース
規格 7インチ・シングル
録音 ロンドン、トライデント・スタジオ(1972年8月)
ジャンル ロック
時間
レーベル RCAレコード
作詞・作曲 ルー・リード
プロデュース デヴィッド・ボウイミック・ロンソン
チャート最高順位
ルー・リード シングル 年表
ウォーク・アンド・トーク・イット
(1972年)
ワイルド・サイドを歩け
(1972年)
サテライト・オブ・ラヴ
(1973年)
ミュージックビデオ
「Walk on the Wild Side」 - YouTube
テンプレートを表示

概要

編集
 
アンディ・ウォーホルとファクトリー(The Factory)に集う彼の仲間たち

アンディ・ウォーホルがニューヨークに構えたスタジオ「ファクトリー(The Factory)」に集うアーティストたちは一つの集団を形成するようになり、彼らは「スーパースターズ」と呼ばれた[3]。ルー・リードはその中からトランスジェンダーやゲイの役者たちに焦点を当て、モデルとし、本作品を書き上げた。モデルとされたのはホリー・ウッドローン[4]、キャンディ・ダーリング[注 1]ジョー・ダレッサンドロ、ジョー・キャンベル、ジャッキー・カーティスらである。

またリードは、ネルソン・オルグレンが1956年に著した小説『A Walk on the Wild Side[注 2]を足がかりにして曲を書いたことをはっきりと認めている[6]

特徴的なベース・ラインは、ダブル・ベースにエレクトリック・ベース(フェンダー・ジャズベース使用)を重ねたものである。ともにハービー・フラワーズが演奏した。バッキング・ボーカルはイギリスの女性ボーカル・トリオ、サンダーサイズ(Thunderthighs)が担当した。エンディングのバリトン・サックスのソロは、ロニー・ロス。ロスは、デヴィッド・ボウイが少年時代にサックスを習ったジャズ・ミュージシャンで[7]ビートルズの「サボイ・トラッフル」でバリトン・サックスを吹いたことで知られる。

1972年11月8日発売のセカンド・アルバム『トランスフォーマー』に収録され、同年11月24日、イギリスで「パーフェクト・デイ」と両A面扱いでシングルカットされた[1]。本国アメリカでのシングルは1973年2月に発売された[2]

1973年4月28日付のビルボード・Hot 100の16位を記録した[8]。同年5月12日付の全英シングルチャートの10位を記録した[9]

演奏者

編集

別バージョン

編集
1972年12月26日、ニューヨークのヘムステッド・シアターにて録音。
1973年12月21日、ニューヨークのアカデミー・オブ・ミュージックにて録音。
1978年5月17日 - 21日、ニューヨークのボトムラインにて録音。
1983年9月、ヴェローナローマにて録音。

カバー・バージョン

編集
  • パティ・プラヴォ - 1973年のアルバム『Pazza idea』に収録。イタリア語詞。タイトルは「I giardini di Kensington」。
  • ラッセ・モルテンソン - 1973年のシングル。フィンランド語詞。タイトルは「Miltä meno maistuu」。
  • ピーター・ノース - 1975年のアルバム『Saxomania』に収録。
  • ハービー・マン - 1979年のアルバム『Yellow Fever』に収録[13]
  • パヴェル・ボベック - 1980年のシングル。チェコ語詞。タイトルは「Zkus se životu dál smát」。
  • ジェントリー・モルゼン - 1985年のシングル。
  • エディ・ブリケル&ニュー・ボヘミアンズ - 1988年の12インチ・シングル「ホワット・アイ・アム」に収録。
  • ヘクトル - 1990年のアルバム『Yhtenä iltana...』に収録。フィンランド語詞。タイトルは「Seisovaa ilmaa」。
  • ヴァネッサ・パラディ - 1990年のアルバム『Variations sur le meme t'aime』に収録。
  • ザ・スキッズ - 1991年のアルバム『BBC Radio 1 Live in Concert』に収録。
  • アルベルト・プラ - 1995年のアルバム『Supone Fonollosa』に収録。スペイン語詞。タイトルは「El lado más bestia de la vida」。
  • スザンヌ・ヴェガ - 2020年のライブ・アルバム『An Evening of New York Songs and Stories』に収録[14]
  • マーキー・マーク&ザ・ファンキー・バンチ-1991年のアルバム『Music for the People』に収録。タイトルは「Wildeside」。

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ キャンディ・ダーリングと、友人のトランスジェンダーの Taffy Tits Terrifik(クライド・メルツァー)は、ローリング・ストーンズの1967年のアルバム『サタニック・マジェスティーズ』に登場する。二人はアルバム2曲目の「魔王のお城」で「Candy and Taffy, hope you both are well」と歌われた。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド3枚目のアルバム(1969年)に収録された「キャンディ・セッズ」もダーリングに言及した曲である[5]。2021年5月、セイント・ヴィンセントが「Candy Darling」という曲を発表している(アルバム『Daddy's Home』収録)。
  2. ^ オルグレンの『A Walk on the Wild Side』は1975年、三谷貞一郎の翻訳により晶文社から出版された。邦題は『荒野を歩め』。

出典

編集
  1. ^ a b 45cat - Lou Reed - Walk On The Wild Side / Perfect Day - RCA Victor - UK - RCA 2303
  2. ^ a b 45cat - Lou Reed - Walk On The Wild Side / Perfect Day - RCA Victor - USA - 74-0887
  3. ^ David Denby (6 May 1996). New York Magazine, Vol. 29, No. 18, "Her Revolution". New York Media, LLC. p. 83. https://books.google.com/books?id=ROECAAAAMBAJ&pg=PA82 2017年3月23日閲覧。. 
  4. ^ Simpson, Dave (12 December 2008). “Bet you think this song is about you”. The Guardian. https://www.theguardian.com/music/2008/dec/13/people-inspired-pop-songs-muses 4 April 2015閲覧。 
  5. ^ DeCurtis, Anthony (2017). Lou Reed: A Life. New York: Little Brown. p. 121. ISBN 978-0-316-37654-9 
  6. ^ Classic Albums: Lou Reed: Transformer』より。2001年、BBCその他で放映。
  7. ^ Walk On The Wild Side by Lou Reed Songfacts
  8. ^ Music: Top 100 Songs | Billboard Hot 100 Chart | THE WEEK OF APRIL 28, 1973
  9. ^ LOU REED | full Official Chart History | Official Charts Company
  10. ^ Transformer (CD booklet). Lou Reed. RCA Records. 1972.
  11. ^ Walk on the Wild Side (Lou Reed Live)”. Lou Reed (2015年1月1日). 2023年6月8日閲覧。
  12. ^ Walk on the Wild Side (Live: Take No Prisoners)”. Lou Reed (2015年10月6日). 2023年6月8日閲覧。
  13. ^ Herbie Mann - Yellow Fever (1979, SP, Vinyl) | Discogs
  14. ^ Suzanne Vega - Walk On The Wild Side (Official Video)”. Suzanne Vega (2020年4月7日). 2020年9月16日閲覧。