ロバート・ベルトラン(英:Robert Beltran、1953年11月19日 - )はアメリカ合衆国の俳優。代表作はテレビシリーズ「スタートレック:ヴォイジャー」。

ロバート・ベルトラン
Robert Beltran
Robert Beltran
本名 ロバート・アダメ・ベルトラン
Robert Adame Beltran
生年月日 (1953-11-19) 1953年11月19日(71歳)
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国カリフォルニア州ベーカーズフィールド
民族 メキシコ系
身長 182cm
職業 俳優
ジャンル 映画、テレビドラマ、舞台
活動期間 1981-現在
著名な家族 ルイ・クルーズ・ベルトラン(ラテンジャズのミュージシャン)
主な作品
テキサスSWAT
ニクソン
スタートレック:ヴォイジャー
テンプレートを表示

姓は「ベルトラン」と表記されるが発音は「ベルトラーン」が近い。

略歴

編集

1953年11月29日にカリフォルニア州ベーカーズフィールドで、10人兄弟の7番目に生まれた。祖先はメキシコからの移民。

高校時代は野球とフットボールに夢中だったが、カリフォルニア州立大学に入って演劇を専攻した。学生時代から積極的に舞台に立つようになったので卒業するまで7年を要した[1]

28歳のとき映画「ズートスーツ」(1981)の端役でデビュー。翌年のホラーコメディ「フライパン殺人」(1982)でメインキャストの1人に選ばれ、さらに「テキサスSWAT」(1983)ではチャック・ノリスの相棒役で共演した。

1995年に始まった「スタートレック:ヴォイジャー」のチャコティ副長役で一躍有名になり、1997年にはこの役でゴールデン・イーグル賞(Nosotros Golden Eagle Awards、目覚ましい活躍を見せたラテン系アーティストに送られる賞)のテレビ最優秀主演男優賞を受賞した[2]

2023年の「スタートレック:ピカード」のシーズン2で再びチャコティ役での出演オファーがあったが、脚本に満足できなかったので辞退した[3]

映画やテレビに出演をしながらも演劇に関しては学生時代から変わらぬ情熱を注いでおり、「ズートスーツ」と「ラティノ」で共演したトニー・プラナらと、イーストLAクラシックシアター(East LA Classic Theater Group)を創設した[4]。アメリカ唯一のラテン系俳優を育成する団体で、ここで共同監督を務めている。

スタートレック:ヴォイジャー

編集

「スタートレック: ヴォイジャー」はベルトランの代表作となったが、出演依頼が来るまで「スタートレック」を知らなかったという。だが第1話(パイロット版)の脚本を読んでチャコティのキャラクターがとても気に入ったのと、以前から敬愛していたジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドと共演できることに魅力を感じ、オーディションを受けることにした[5]。撮影が始まってすぐビュジョルドからケイト・マルグルーに変更されたが、マルグルーが演じるジェーンウェイ艦長はとても良い配役だったとベルトランは回想している。

しかしシリーズを追うごとに彼の不満は募っていった。メキシコ移民を祖先に持つ自分とチャコティを重ね合わせ、異星人の文化やアイデンティティを探求するストーリーを期待したがそれがほとんどなかったこと、チャコティと他のクルーの関係性が希薄なこと、撮影が工場の流れ作業のように単調だったこと[6]、などチャコティの扱いが軽んじられている点を挙げた[7]

中でもシーズン4で新キャラクターのセブン・オブ・ナインが加わってからは、ドラマの方向性が変わると同時に活躍の場はさらに減少する。「メインキャラクターには同等の活躍の場を与えるのが脚本家の仕事なのにそれを怠った」とプロデューサーに抗議し、出演料を増額しなければ番組を降りると申し出た[8]。テレビ俳優にとってレギュラー番組がなくなるのは定職を失うようなものだが、独身だったので不安はなかったという。結果的に彼の要求は受け入れられ全7シーズンに出演した[9]

ドラマの内容に対しても、惑星連邦が大義名分とする『ワープ航法を持たない種族には干渉しないこと』はファシズムだと疑問を投げかけ、「もし飢餓や伝染病などに苦しむ民族がいたら直ちに手を差し伸べるべきだ」と主張している[10]

ただしスタートレックに参加できたのは価値ある経験だったといい、今でもファンや仲間たちへの感謝と称賛の言葉を忘れない。スタートレック関連のイベントにも積極的に参加しているが、時差ボケから立ち直るのに3日ぐらいかかるため海外や遠方のイベントは欠席することが多いという。チャコティ役に選ばれたことを『神はこれまでの生き方への罰を与えられたのだ』とジョークを交えて言っている[11]

お気に入りのエピソードは、ヴァージニア・マドセンと恋に落ちる「姿なき追跡者」(S4・22話)と、ケイト・ヴァーノンと恋に落ちる「偽造された地球」(S3・68話~S4・1話)だそうである[12]

プライベート

編集

私生活については明かしていないが、2011年生まれの娘のマルレーナがいる[13]

兄(長男)のルイ・クルーズ・ベルトランはラテンジャズのアーティストとして活躍している[14]

末弟がダウン症のため全米ダウン症協会を支援している。ロサンゼルスダウン症協会(DSALA)のチャリティイベントを主催したこともあり、U.S.S.ヴォイジャー号のクルーにも協力してもらい4年間で25万ドルの寄付金を集めた[15]

主な出演

編集

映画

編集
製作年 邦題
原題
役名 備考
1981 ズートスーツ
Zoot Suit
ローライダー
1982 フライパン殺人
Eating Raoul
ラウル・メンドーサ
1983 テキサスSWAT
Lone Wolf McQuade
ケイヨ
1984 魔性の女
CALENDAR GIRL MURDERS
ムーニー
ナイト・オブ・ザ・コメット
Night of the Comet
チャールズ・マーリー
1985 ラティノ
Latino
エディ・ゲレロ
1990 レッド・テキサス
El Diablo
エル・ディアブロ テレビ映画
クラック・ダウン/狼たちの追跡
Crackdown
ユアン・デルガド
1991 バグジー
Bugsy
アレハンドロ
セックスと殺しとサルサ
Kiss Me a Killer
トニー・モンテロ
1992 刑事ジョン・ケイン/影なき殺人者
Shadowhunter
フランク
シビル・シェパードの女探偵ウェザース
Stomy Weathers
ジオ テレビ映画
1994 緊急病棟
State of Emergency
ラウル・ヘルナンデス テレビ映画
1995 ニクソン
Nixon
フランク・スタージェス
2005 マンティコア -湾岸の怪物-
Manticore
バクスター軍曹 テレビ映画
2007 ファントム・ファイヤー
Fire Serpent
クーク テレビ映画
破壊神
Cry of the Winged Serpent
ユアン テレビ映画
2009 カジノをぶっつぶせ! -僕と彼女のド田舎生活-
Talking Chances
ジョセフ・ベア
2018 マジック・ランタン
Magic Lantern
エド

テレビドラマ

編集
製作年 邦題
原題
役名 備考
1985 驚異のスーパー・バイク ストリートホーク
Street Hawk
マーティ・ウォルシュ 1エピソード
1987 プライベート・アイ
Private Eye
ミゲール 1エピソード
1989 特捜刑事マイアミ・バイス
Miami Vice
アメンデス S5の1エピソード(最終話)
1993
1994
ジェシカおばさんの事件簿
Murder, She Wrote
ガルシア神父 2エピソード
1994 モデル・エージェンシー/女たちの闘い
Models Inc.
ルイス・ソト 1エピソード
新スーパーマン
Lois & Clark: The New Adventures of Superman
フェンテス・マーフィー 1エピソード
1995-2001 スタートレック: ヴォイジャー
Star Trek: Voyager
チャコティ レギュラー
2003 CSI: マイアミ
CSI: Miami
オヘダ裁判官 1エピソード
2007 ミディアム3 霊能者アリソン・デュボア
Medium
アルマンド
2009-2010 ビッグ・ラブ
Big Love
ジェリー・フルート 11エピソード
2012 ヤング・ジャスティス
Young Justice
モーリス・ボダウェイ 声の出演1エピソード
2017 Star Trek: Renegades Cordero 1エピソード
Regades Cordero 2エピソード
2022-2024 Star Trek: Prodigy チャコティ艦長 声の出演

脚注

編集
  1. ^ College of Arts and Humanities” (英語). cah.fresnostate.edu. 2023年8月15日閲覧。
  2. ^ College of Arts and Humanities” (英語). cah.fresnostate.edu. 2023年8月15日閲覧。
  3. ^ Pascale, Anthony. “Exclusive: Robert Beltran Turned Down ‘Star Trek: Picard’ Role Picking Up On Seven/Chakotay Romance” (英語). TrekMovie.com. 2023年8月15日閲覧。
  4. ^ College of Arts and Humanities” (英語). cah.fresnostate.edu. 2023年8月15日閲覧。
  5. ^ Pascale, Anthony. “Interview: Robert Beltran on Geneviève Bujold, ‘Star Trek: Discovery,’ and Silly Space Nazis” (英語). TrekMovie.com. 2023年8月15日閲覧。
  6. ^ Wharton, David (2012年7月26日). “Star Trek's Robert Beltran On His Voyager Regrets” (英語). GIANT FREAKIN ROBOT. 2023年8月8日閲覧。
  7. ^ Staff, TrekNews net (2012年7月22日). “Robert Beltran Talks Voyager: "If People Can’t Take the Truth, That’s Fine with Me"” (英語). TREKNEWS.NET | Your daily dose of Star Trek news and opinion. 2023年8月8日閲覧。
  8. ^ Staff, TrekNews net (2012年7月22日). “Robert Beltran Talks Voyager: "If People Can’t Take the Truth, That’s Fine with Me"” (英語). TREKNEWS.NET | Your daily dose of Star Trek news and opinion. 2023年8月15日閲覧。
  9. ^ Staff, TrekNews net (2012年7月22日). “Robert Beltran Talks Voyager: "If People Can’t Take the Truth, That’s Fine with Me"” (英語). TREKNEWS.NET | Your daily dose of Star Trek news and opinion. 2023年8月15日閲覧。
  10. ^ Star Trek's Robert Beltran: The Prime Directive is 'fascist crap'” (英語). CNET. 2023年8月15日閲覧。
  11. ^ Covello, Christopher (2022年8月26日). “Whatever Happened to Robert Beltran, Chakotay From 'Star Trek: Voyager'?” (英語). Ned Hardy. 2023年8月15日閲覧。
  12. ^ Star Trek's Robert Beltran: The Prime Directive is 'fascist crap'” (英語). CNET. 2023年8月10日閲覧。
  13. ^ Is Robert Beltran After All Married and Has A Wife? Keeping Away Family From Still Booming Career or Doesn't Have One?” (英語). LIVERAMPUP (2017年8月2日). 2023年8月15日閲覧。
  14. ^ Beltran, Louie Cruz. “Louie Cruz Beltran” (英語). Louie Cruz Beltran. 2023年8月15日閲覧。
  15. ^ Catching Up With Robert Beltran, Part 2” (英語). www.startrek.com (2012年7月21日). 2023年8月15日閲覧。

外部リンク

編集