ロツキータイガーRocky Tiger[1])は日本競走馬南関東公営競馬の重賞を6勝したほか、第5回ジャパンカップでも2着に入着した[3]

ロツキータイガー
品種 サラブレッド[1]
性別 [1][2]
毛色 黒鹿毛[1]
生誕 1981年5月12日[1][2]
死没 2007年4月2日
ミルジョージ[1][2]
ロツキーハーバ[1][2]
母の父 シーカー[1][2]
生国 日本の旗 日本
北海道新冠郡新冠町
生産者 松浦牧場[1][2]
馬主 児玉孝[1][2]
調教師 泉孝(船橋)[2][注 1]
競走成績
生涯成績 25戦10勝[1]
地方競馬24戦10勝、中央競馬1戦0勝)
獲得賞金 2億54万5000円[1]
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競走馬時代

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デビューから4歳まで

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1983年9月に、船橋競馬場の3歳新馬戦でデビュー。初出走時の馬体重は430kg[3]しかなく、初勝利も3戦目で、結局3歳時は5戦してこの1勝のみという平凡なスタート[3]となったが、4歳の春に桑島孝春が初めて手綱をとった雲取賞大井競馬場)で直線一気の差し切り勝ちを決め、一変する[3]。この年の南関東4歳世代にはキングハイセイコーステートジャガーなど強力なライバルがおり、これらのライバル馬とハイレベルな争いを繰り返した[3]。春は羽田盃3着・東京ダービー2着とキングハイセイコーに敗れたものの、秋の東京王冠賞では三冠を狙ったキングハイセイコーに2馬身半の差を付けて優勝した[4]。この勝利をもって世代チャンピオンを確定させた[3]との見方もあるが、このときキングハイセイコーは、主戦からテン乗りの騎手への急遽乗り替わりやスタートで出遅れるなどの不利があり、また距離が長かったとも指摘されている[4]。吉川彰彦によれば、前記2頭のライバルにもそれぞれ個性や力量はあったが、本馬は決め手やインパクトで前記2頭のライバルを上回っていたと評している[3]。桑島は全25戦中16戦でロツキータイガーに騎乗した。

5歳から引退まで

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明けて5歳になっても勢いは衰えず、報知グランプリカップ金盃ダイオライト記念帝王賞を優勝。前年秋の「いちょう賞」から数えて通算6連勝(重賞は5連勝)を記録した。

その後2戦連続3着の後、当時地方競馬所属馬に対して1頭の招待枠が設けられていたジャパンカップの出走権を争うべく、第22回東京記念に出走する[5]。4歳秋から上昇一途のロツキータイガーと、当時既に5000勝を記録していた佐々木竹見に乗り替わって5戦3勝2着2回のテツノカチドキがジャパンカップの出走権を懸けて激突したこのレースは、後に「名勝負」として語り継がれるレースとなった[5]。レースは逃げるハードスキーをトムカウントが追いかける展開[6]で、テツノカチドキは中団の好位で先頭をマーク[5]、ロツキータイガーは後方からレースを進める[6]。向正面から一気にペースが早まりテツノカチドキが動き出すと、第4コーナーを回るころにはロツキータイガーも伸びてくる[6]。最後の直線では残り200mあたりから内ロツキータイガー、外テツノカチドキの2頭が馬体をピタリと併せてのマッチレース[6]となり、壮絶な叩き合いの末に2頭がゴールへなだれ込む[5]。写真判定の結果アタマ差でロツキータイガーが制し、ジャパンカップの出走権を獲得した[5][注 2]

こうして出走した第5回ジャパンカップには、絶対的本命と目されていたシンボリルドルフが出走していた[7]事もあり単勝人気は15頭中11番人気の低評価だった。馬券的には全く期待されておらず、勝負とは関係ないと思われていたが、陣営や関係者らは真剣にジャパンカップを戦おうとしていた[7]。蹄鉄も通常使用しているものではなく芝用の蹄鉄に打ち替えることも関係者間で検討されたが、結局「普段着の競馬で」との意見で合意、通常使用している蹄鉄を使うことになった[7]東京競馬場で行われた公開追い切りの際はコースに出ず、角馬場でひたすら入念にダクを踏んでいた[3]。桑島はこのときのことについて、後に「カリカリするし、環境だけ覚えてくれればいいと思って…」と語っていたとされる[3]

ジャパンカップのレース本番も、桑島は普段どおりの競馬を徹底した[7]。シンボリルドルフが直線で力強く抜け出し後続馬を引き離していく中、後方からただ1頭猛然と追い込んできたのがロツキータイガーだった[7]。結果1馬身3/4及ばなかった[3]が、地方競馬所属馬ではジャパンカップでの最高着順[注 3]となる2着となり[5]、結局この1戦のみだった芝にも高い適性を見せた。

ジャパンカップ後は東京大賞典に出走したがスズユウの2着に敗れ、この年は9戦5勝で終えた。明けて6歳時は4戦未勝利に終わり、1987年1月21日に登録を抹消[8]し引退。

競走成績

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出典:ロッキータイガー 全成績 - 日刊競馬新聞社、2015年2月15日閲覧

年月日 競馬場 競走名 距離 馬場 騎手 重量 単勝
人気
着順 タイム タイム差(秒)
または着差
1着馬
(2着馬)
1983. 9.21 船橋 3歳新馬 ダート900m 古市修二 53 2番人気 2着 0:56.9 0.3 トサネバー
10.27 船橋 3歳90万下 ダート900m 不良 古市修二 53 5番人気 3着 0:56.0 1.3 ワイドイーグル
11.11 大井 3歳102万下 ダート1200m 古市修二 53 2番人気 1着 1:14.6 0.8 (ハクツホープ)
11.30 船橋 馬場改修記念 ダート1500m 古市修二 53 5番人気 5着 1:36.6 2.0 ワイドイーグル
12.27 船橋 3歳特別 ダート1600m 古市修二 54 2番人気 2着 1:43.5 0.3 ワイドイーグル
1984. 1.28 船橋 新春千葉盃 ダート1600m 古市修二 54 2番人気 1着 1:41.2 1.3 (グランドオスカー)
2.22 船橋 若潮盃 ダート1600m 古市修二 55 2番人気 2着 1:40.4 クビ ワイドイーグル
3.26 大井 雲取賞 ダート1700m 桑島孝春 54 2番人気 1着 1:49.3 0.2 (アローロマネスク)
5.1 大井 羽田盃 ダート2000m 川島正行 57 3番人気 3着 2:07.7 0.8 キングハイセイコー
6.6 大井 東京ダービー ダート2400m 川島正行 57 4番人気 2着 2:34.8 0.3 キングハイセイコー
10.26 大井 いちょう賞 ダート1800m 桑島孝春 57 2番人気 1着 1:54.4 0.2 (ハードスキー)
11.13 大井 東京王冠賞 ダート2600m 桑島孝春 57 2番人気 1着 2:48.4 0.5 (キングハイセイコー)
1985. 1.23 船橋 報知グランプリカップ ダート1800m 桑島孝春 54 2番人気 1着 1:52.7 0.4 (トムカウント)
2.7 大井 金盃 ダート2000m 桑島孝春 56 1番人気 1着 2:06.3 0.3 (グローリイセンプー)
3.21 船橋 ダイオライト記念 ダート2400m 不良 桑島孝春 57 1番人気 1着 2:30.9 アタマ (カウンテスアツプ)
4.18 大井 帝王賞 ダート2800m 桑島孝春 57 1番人気 1着 3:00.2 0.3 (カウンテスアツプ)
7.3 川崎 報知オールスターカップ ダート2000m 桑島孝春 57 1番人気 3着 2:06.7 0.6 カウンテスアツプ
9.25 船橋 NTV盃 ダート2000m 稍重 桑島孝春 59 1番人気 3着 2:05.5 0.2 ブランドオスカー
10.31 大井 東京記念 ダート2400m 稍重 桑島孝春 59 1番人気 1着 2:33.9 アタマ (テツノカチドキ)
11.24 JRA東京 ジャパンカップ(GI) 芝2400m 桑島孝春 57 11番人気 2着 2:29.1 0.3 シンボリルドルフ
12.28 大井 東京大賞典 ダート3000m 桑島孝春 56 2番人気 2着 3:14.6 0.3 スズユウ
1986. 1.30 船橋 報知グランプリカップ ダート1800m 桑島孝春 60.5 1番人気 6着 1:53.8 1.4 タケミアンサー
3.4 大井 金盃 ダート2000m 桑島孝春 60.5 3番人気 3着 2:07.1 0.4 カウンテスアツプ
4.9 大井 帝王賞 ダート2000m 桑島孝春 56 2番人気 8着 2:07.8 1.9 トムカウント
8.1 大井 関東盃 ダート1600m 桑島孝春 60 3番人気 7着 1:42.2 1.5 ガルダン

種牡馬時代

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引退後は種牡馬となり、タカノアイなど追い込みの個性派や道悪巧者を数頭出した[3]が、目立った活躍馬は出せず1996年に種牡馬も引退。2007年4月2日に老衰のため死亡。

主な産駒

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  • タカノアイ(1988年産、トゥインクルレディー賞2着)[9]
  • ロッキーキャロル(1988年産、サガ・クイーン賞2着)[9]
  • ブシュウサカキ(1990年産、しもつけオークス3着)[9]

血統表

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ロツキータイガー血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ミルリーフ系
[§ 2]

*ミルジョージ
Mill George
1975 鹿毛
父の父
Mill Reef
1968 鹿毛
Never Bend Nasrullah
Lalun
Milan Mill Princequillo
Virginia Water
父の母
Miss Charisma
1967 鹿毛
Ragusa Ribot
Fantan
*マタティナ
Matatina
Grey Sovereign
Zanzara

ロツキーハーバ
1974 鹿毛
*シーカー
Sicar
1964 黒鹿毛
Sicambre Prince Bio
Sif
Arbela Pharis
Arbele
母の母
スズナル
1966 鹿毛
*タリヤートス
Tulyartos
Tulyar
Certosa
クインフオツクス *リンボー
フジフオツクス F-No.3-d
母系(F-No.) 3号族(FN:3-d) [§ 3]
5代内の近親交配 Nasrullah4×5=9.38% Prince Rose5×5=6.25%〈父内〉 [§ 4]
出典
  1. ^ [10]
  2. ^ [11]
  3. ^ [10]
  4. ^ [10][11]


父ミルジョージは米国で4戦2勝[12]。現役時はこれといった競走成績を残せなかったが、種牡馬として輸入された日本で確固たる地位を築いた。産駒は中央・地方、芝・ダートを問わず活躍し、中央競馬ではオサイチジョージ(第31回宝塚記念)やエイシンサニー(第51回優駿牝馬)・リンデンリリー(第16回エリザベス女王杯)といったGI優勝馬などを含め、1980年代後半から1990年代前半にかけて活躍馬を次々に輩出。地方競馬でものちに中央へ移籍し天皇賞(春)を勝ったイナリワンのほか、ロジータミルコウジなどの活躍馬を送り出し、地方競馬のリーディングサイアーも5度獲得(1985年[13]・1987年[14]・1988年[15]・1989年[16]・1995年[17])。2007年には顕著な種牡馬成績が評価され、NARグランプリ特別表彰馬に選出されている[18]

母ロッキーハーバは地方競馬で11戦3勝[19]

注釈

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  1. ^ JBISサーチでは、安達小八(名古屋)と記載されている[1]
  2. ^ 斤量がロツキータイガーが59kgに対し、テツノカチドキは60.5kgであった。
  3. ^ ジャパンカップで2着を記録した地方競馬所属馬は、ロツキータイガーとコスモバルク(2004年)のみ。

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 馬情報(ロツキータイガー) - JBISサーチ、2015年2月15日閲覧
  2. ^ a b c d e f g h 馬登録情報(ロツキータイガー) - 地方競馬全国協会、2015年2月15日閲覧
  3. ^ a b c d e f g h i j k 日刊競馬で振り返る名馬(第5回ジャパンカップ:ロツキータイガー) - 日刊競馬新聞社、2015年2月15日閲覧
  4. ^ a b 『優駿』1985年1月号、日本中央競馬会、158頁
  5. ^ a b c d e f TCKコラム(不屈の闘志、尽きることのない挑戦 テツノカチドキ:第22回東京記念編) - 特別区競馬組合、2015年2月15日閲覧
  6. ^ a b c d 重賞名馬ストーリー(Vol.14 世界を懸けた名勝負 テツノカチドキ-東京記念-) - 特別区競馬組合、2015年2月16日閲覧
  7. ^ a b c d e 【名馬列伝】“皇帝”ルドルフが海外馬をねじ伏せた/85年ジャパンC - Uma-Jin.net、2015年2月15日閲覧
  8. ^ 出走履歴(ロツキータイガー) - 地方競馬全国協会、2015年2月15日閲覧
  9. ^ a b c 種牡馬情報:種牡馬成績(ロツキータイガー) - JBISサーチ、2015年2月15日閲覧
  10. ^ a b c ロツキータイガー 血統情報:5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年9月7日閲覧。
  11. ^ a b ロッキータイガーの5代血統表”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年9月7日閲覧。
  12. ^ 馬情報(ミルジョージ) - JBISサーチ、2015年2月16日閲覧
  13. ^ 年度別サイアーランキング(1985年度・サラ・地方) - JBISサーチ、2015年2月16日閲覧
  14. ^ 年度別サイアーランキング(1987年度・サラ・地方) - JBISサーチ、2015年2月16日閲覧
  15. ^ 年度別サイアーランキング(1988年度・サラ・地方) - JBISサーチ、2015年2月16日閲覧
  16. ^ 年度別サイアーランキング(1989年度・サラ・地方) - JBISサーチ、2015年2月16日閲覧
  17. ^ 年度別サイアーランキング(1995年度・サラ・地方) - JBISサーチ、2015年2月16日閲覧
  18. ^ NARグランプリ2007(受賞者・受賞馬一覧) - 地方競馬全国協会、2015年2月16日閲覧
  19. ^ 馬情報(ロツキーハーバ) - JBISサーチ、2015年2月16日閲覧

外部リンク

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