レゴラス (競走馬)
レゴラス[1]は日本で生産された競走馬、種牡馬。重賞出走経験のない条件馬の身で2007年の第52回有馬記念に出走した経験を持つ。
レゴラス | |
---|---|
欧字表記 | Legolas[1] |
品種 | サラブレッド[1] |
性別 | 牡[1] |
毛色 | 黒鹿毛[1] |
生誕 | 2001年4月21日[1] |
父 | サンデーサイレンス[1] |
母 | カーリング[1] |
母の父 | Garde Royale[1] |
生国 | 日本(北海道千歳市)[1] |
生産者 | 社台ファーム[1] |
馬主 | (有)社台レースホース[1] |
調教師 | 加藤征弘(美浦)[1] |
競走成績 | |
生涯成績 | 15戦4勝[1] |
獲得賞金 | 5891万9000円[1] |
概要
編集社台サラブレッドクラブにて総額1億5000万円の価格で一口馬主が募集された[2]。
2004年3月20日、阪神競馬場でデビューするも3着、2戦目を2着としたのち3戦目で初勝利を挙げ[3]、次に出走した500万円以下条件戦も勝って連勝する。しかしその後は屈腱炎のため[4]、約2年半を棒に振った。2006年12月に復帰してからしばらくはダート戦に出走し[4]、2007年6月に3勝目をマークした。着順は安定していたが、騎手の指示に逆らったり[5]、ソラを使う[6](気を抜く)といった気性の悪さがあり[4]、取りこぼしも多かった。
2007年12月、まだ1000万円以下クラスの身でありながら[4]第52回有馬記念に出走した[7]。有馬記念に出走した条件馬はそれまでにもいたが、重賞はおろかオープンクラスへの出走歴もない馬の出走は異例のことであった(後述)。管理調教師の加藤征弘によれば「自己条件(1000万クラス)の緩いペースでは集中力が続かず、オープンのシビアな流れで最後まで集中出来れば」という理由で挑戦に踏み切ったとのこと。15頭立てで行われたレースは雨で渋った馬場で人気馬が崩れて波乱になる展開のなか、勝ったマツリダゴッホからは1秒5離されたものの7着に入り、単勝1番人気のメイショウサムソンなどに先着した[7]。
自己条件に戻ったあと、年明け2008年2月に東京競馬場で行われた立春賞では最後の直線で楽々と先頭に立ったものの、前述の加藤の懸念通り、ゴール手前で後続馬に差し切られ、3着となる[6]。3月中山競馬場の両国特別では後方の位置取りからレースを進めた[8]ところ集中力を持続させ、最終コーナーで馬群の外々を回りながらも一気に後続馬を突き放し、コスモオースティンに4馬身差を付け4勝目を挙げた[9]。その後は安田記念への登録もされたが[10]、最終的には東京優駿当日に行われた1600万円以下クラスのむらさき賞に出走し、両国特別と同じように最後の抜け出しを狙ったが伸びきれず、3着に終わった[11]。この一戦を最後に引退した。
加藤は、後年のキャプテン渡辺との対談でも有馬記念出走について「自信はあった」、7着という着順についても「相当強かったことは間違いない」と振り返っている[12]。
競走成績
編集以下の内容は、netkeiba.com[13]およびJBISサーチ[14]に基づく。
年月日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離(馬場) | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ(人気) | 着順 | タイム (上り3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 (kg) |
勝ち馬/(2着馬) |
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2004. | 3.20阪神 | 3歳新馬 | 芝2000m(良) | 16 | 3 | 6 | 1.5(1人) | 3着 | 2:03.8 (34.5) | 0.4 | 安藤勝己 | 56 | アドマイヤキング | |
4.25 | 東京 | 3歳未勝利 | 芝2300m(良) | 12 | 5 | 6 | 1.3(1人) | 2着 | 2:25.2 (34.4) | 0.1 | 横山典弘 | 56 | ダイイチアトム | |
5.29 | 東京 | 3歳未勝利 | 芝2300m(良) | 17 | 4 | 8 | 1.2(1人) | 1着 | 2:19.1 (36.3) | -0.4 | 横山典弘 | 56 | (ワンダードリーム) | |
7. 4 | 函館 | 3歳上500万下 | 芝2000m(良) | 12 | 3 | 3 | 1.9(1人) | 1着 | 2:01.0 (36.5) | -0.8 | 安藤勝己 | 54 | (サイレンスブランド) | |
2006.12.23 | 中山 | 3歳上500万下 | ダ1800m(良) | 16 | 6 | 11 | 2.5(1人) | 2着 | 1:54.6 (40.1) | 0.0 | 横山典弘 | 57 | サクラマジェスティ | |
2007. | 1.27京都 | 4歳上500万下 | ダ1800m(良) | 10 | 2 | 2 | 1.6(1人) | 3着 | 1:53.2 (38.3) | 0.6 | 岩田康誠 | 57 | タマモコンチェルト | |
3. 4 | 阪神 | 4歳上500万下 | ダ1800m(良) | 14 | 5 | 8 | 2.2(1人) | 8着 | 1:54.7 (40.0) | 0.9 | 安藤勝己 | 57 | フィールドジュエル | |
6.23 | 函館 | 3歳上500万下 | ダ1700m(良) | 10 | 4 | 4 | 2.5(1人) | 1着 | 1:46.9 (38.0) | -1.0 | 安藤勝己 | 57 | (アルスボヘミアン) | |
7. 7 | 函館 | 津軽海峡特別 | 1000 | ダ1700m(良) | 9 | 8 | 8 | 3.2(2人) | 5着 | 1:46.5 (38.6) | 0.5 | 安藤勝己 | 57 | ナムラジョンブル |
10.28 | 東京 | 精進湖特別 | 1000 | 芝2000m(稍) | 16 | 7 | 13 | 7.6(4人) | 3着 | 2:00.3 (34.5) | 0.2 | 安藤勝己 | 57 | マイネルアナハイム |
11.24 | 東京 | オリエンタル賞 | 1000 | 芝2000m(良) | 13 | 4 | 4 | 4.3(2人) | 5着 | 2:01.1 (34.9) | 0.2 | 安藤勝己 | 56 | エーシンピーシー |
12.23 | 中山 | 有馬記念 | GI | 芝2500m(稍) | 15 | 3 | 5 | 137.6(15人) | 7着 | 2:35.1 (37.0) | 1.5 | 柴田善臣 | 57 | マツリダゴッホ |
2008. | 2.11東京 | 立春賞 | 1000 | 芝1800m(良) | 16 | 3 | 5 | 2.6(1人) | 3着 | 1:47.3 (36.7) | 0.2 | 安藤勝己 | 57 | キタノリューオー |
3. 8 | 中山 | 両国特別 | 1000 | 芝1800m(良) | 16 | 3 | 6 | 3.1(1人) | 1着 | 1:47.7 (34.9) | -0.7 | 藤田伸二 | 57 | (コスモオースティン) |
6. 1 | 東京 | むらさき賞 | 1600 | 芝1800m(良) | 18 | 8 | 17 | 3.5(1人) | 3着 | 1:47.8 (34.1) | 0.1 | 藤田伸二 | 57 | アグネストレジャー |
競走馬引退後
編集競走馬引退後の2009年から母・カーリングの母国フランスで種牡馬となる。本馬を生産した社台ファームがHaras de Lonrayからのオファーを受けたと報じられた[15]。2011年時点ではElevage d'Airyで繋養されている[16]。
条件馬の有馬記念出走小史
編集有馬記念に出走した条件馬は、1984年のグレード制導入前の一例で1972年に出走したソロナオール、グレード制導入後ではレゴラスのほかに1987年のミスターブランディとアサカツービート[17]、1991年に出走したフジヤマケンザン、2018年に出走したオジュウチョウサンがいる。
ソロナオールはいわゆる花の47年組の一頭で、出走当時700万下(のち1500万下→1600万下→3勝クラス)の身であり、セントライト記念、京都新聞杯、菊花賞でいずれも3着としたのち、有馬記念には当時あった推薦委員会の選出にて出走[18]。単勝こそ8番人気ながら、当時ファンの間で「ソロナオールの3着神話」なるものが流れていた影響で複勝は5番人気であった[19]。レースではイシノヒカル、メジロアサマに続く3着に入線した[19]。
ミスターブランディとアサカツービートが出走した有馬記念は、まだ2段階の降級制度が残っていた時代で、当時の1400万下は「4歳1400万円以下・5歳2800万円以下・6歳以上4200万円以下」という条件であった。 ミスターブランディは6歳時に400万下特別2連勝→900万下特別勝利→福島記念で重賞勝利していたものの、有馬記念出走時の収得賞金は3500万円であり、1400万下の条件馬であった。アサカツービートは前走、天皇賞・秋で3着していたものの、収得賞金は3720万円(6歳時)であり、天皇賞・秋も有馬記念も1400万下からの格上挑戦であった。
フジヤマケンザンは900万下の嵯峨野特別を勝ち1500万下の嵐山ステークス2着、菊花賞3着、ジャパンカップ8着を経ての出走で、こちらも推薦委員会の選出によるものであった[20][21]。
これらの馬と異なり、ファン投票第3位を記録し史上初の「ファン投票選出による条件馬の有馬記念出走」を果たしたのがオジュウチョウサンである(オジュウチョウサンの記事にて詳述)[22]。この2018年の有馬記念は他に、当時はレゴラスと同じく1000万円以下クラスの身かつ重賞競走への出走経験がなかったベイビーステップも登録していたが[23]、最終的には出走はしなかった[24]。
なお、春のグランプリである宝塚記念でも、2013年に出走当時最高勝ち鞍がともに1000万下であったローゼンケーニッヒ[25]、タニノエポレット[26]の2頭の条件馬が出走している[27]。
1997年のエリザベス女王杯は未勝利勝ちしかない収得賞金400万円(500万下)のエイシンカチータが出走し、入着(5着)している。古馬GIはおろか、古馬重賞全体で見ても500万下の馬が出走する例はほとんどない。
血統表
編集レゴラスの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | ヘイロー系 |
[§ 2] | ||
父 *サンデーサイレンス Sunday Silence 1986 青鹿毛 アメリカ |
父の父 Halo 1969黒鹿毛 アメリカ |
Hail to Reason 1958 | Turn-to | |
Nothirdchance | ||||
Cosmah 1953 | Cosmic Bomb | |||
Almahmoud | ||||
父の母 Wishing Well 1975鹿毛 アメリカ |
Understanding 1963 | Promised Land | ||
Pretty Ways | ||||
Mountain Flower 1964 | Montparnasse | |||
Edelweiss | ||||
母 *カーリング Carling 1992 鹿毛 |
Garde Royale 1980 青鹿毛 |
Mill Reef | Never Bend | |
Milan Mill | ||||
Royal Way | Sicambre | |||
Right Away | ||||
母の母 Corraleja1982 鹿毛 |
Carvin | * Marino | ||
Coraline | ||||
Darling Dale | Tyrant | |||
Treat F-No.4-p | ||||
母系(F-No.) | カーリング(FR)系(FN:4-p) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | 5代内アウトブリード | [§ 4] | ||
出典 |
父はサンデーサイレンス、母はフランスで走りジャパンカップにも出走経験のあるカーリング。半兄にマイル・中距離路線で息の長い活躍をしたローエングリン、半弟に2014年の京都金杯を制したエキストラエンドがいる[29][3]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “レゴラス”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年11月6日閲覧。
- ^ “過去の募集馬カタログ カーリングの01”. 社台サラブレッドクラブ. 2011年11月12日閲覧。
- ^ a b “ローエングリンの弟、レゴラスが初勝利”. netkeiba.com. ネットドリーマーズ (2004年5月29日). 2011年11月12日閲覧。
- ^ a b c d “【有馬記念】美浦レポート〜レゴラス”. 競馬実況web. 日経ラジオ社 (2007年12月20日). 2011年11月12日閲覧。
- ^ “【精進湖特別】(東京)~マイネルアナハイム逃げ切って3勝目”. 競馬実況web. 日経ラジオ社 (2007年10月28日). 2011年11月12日閲覧。
- ^ a b “【立春賞】(東京9R)~キタノリューオーが差し切る”. 競馬実況web. 日経ラジオ社 (2008年2月11日). 2011年11月12日閲覧。
- ^ a b “過去GI成績 第52回 有馬記念”. 日本中央競馬会. 2011年11月12日閲覧。
- ^ “【両国特別】(中山)~レース後のコメント”. 競馬実況web. 日経ラジオ社 (2008年3月8日). 2011年11月12日閲覧。
- ^ “両国特別、レゴラスが楽々抜け出し快勝”. netkeiba.com. ネットドリーマーズ (2008年3月8日). 2011年11月12日閲覧。
- ^ “安田記念、ウオッカなど21頭が登録”. netkeiba.com. ネットドリーマーズ (2008年5月25日). 2011年11月12日閲覧。
- ^ “【むらさき賞】(東京)~アグネストレジャー差し切る”. 競馬実況web. 日経ラジオ社 (2008年6月1日). 2011年11月12日閲覧。
- ^ “【第2回】強い馬は何かが違う? 加藤征弘 調教師”. キャプテン渡辺のWINNER'S CIRCLE. 一般社団法人 中山馬主協会. 2019年11月13日閲覧。
- ^ “レゴラスの競走成績”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年11月6日閲覧。
- ^ “レゴラス 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年11月6日閲覧。
- ^ “SS産駒のレゴラス、フランスで種牡馬に(スポーツ報知、2008年10月30日)”. 2008年11月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月12日閲覧。
- ^ “LEGOLAS (Jpn)” (英語). Le Cheval Bleu. 2011年11月12日閲覧。 “LEGOLAS stands at Elevage d'Airy”
- ^ “第32回有馬記念 出走表”. 日刊競馬で振り返る名馬. 株式会社日刊競馬新聞社. 2020年9月1日閲覧。
- ^ #杉村 pp. 119-120
- ^ a b #杉村 p. 120
- ^ “フジヤマケンザン 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年11月13日閲覧。
- ^ “【有馬記念】オジュウチョウサン出走決定 障害の絶対王者“最後のハードル”クリア”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2018年12月7日). 2019年11月13日閲覧。
- ^ “【有馬記念ファン投票 最終結果】障害王者オジュウチョウサン、3位で出走確定”. スポーツ報知 競馬. 報知新聞 (2018年12月7日). 2019年11月13日閲覧。
- ^ “花岡貴子「有馬記念にオジュウチョウサン出走権利確保、マカヒキなど出走予定馬たちの動き」”. Yahoo Japan (2018年12月8日). 2019年11月6日閲覧。
- ^ “ベイビ-ステップ 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年11月13日閲覧。
- ^ “ローゼンケーニッヒ 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年11月13日閲覧。
- ^ “タニノエポレット 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年11月13日閲覧。
- ^ “11R 宝塚記念 2013年6月23日(日)3回阪神8日”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年11月13日閲覧。
- ^ a b c “レゴラス 血統情報:5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年11月6日閲覧。
- ^ a b c “レゴラスの5代血統表”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年11月6日閲覧。
参考文献
編集外部リンク
編集- LEGOLAS - Patrick Barbe(エージェント)
- 競走馬成績と情報 netkeiba、スポーツナビ、JBISサーチ、Racing Post