リュウジンオオムカデ

オオムカデ属に属する節足動物の一種

リュウジンオオムカデ(琉神大百足、Scolopendra alcyona)は、2021年に記載されたオオムカデ目オオムカデ科オオムカデ属のムカデ。世界で3例目の半水棲のムカデである。

リュウジンオオムカデ
リュウジンオオムカデ Scolopendra alcyona
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: ムカデ綱(唇脚綱) Chilopoda
: オオムカデ目 Scolopendromorpha
: オオムカデ科 Scolopendridae
: オオムカデ属 Scolopendra
: リュウジンオオムカデ S. alcyona
学名
Scolopendra alcyona
Tsukamoto & Shimano, in Tsukamoto, Hiruta, Eguchi, Liao & Shimano, 2021[1]
和名
リュウジンオオムカデ[1]

発見

編集

沖縄県内では今回の発見以前から大型のムカデ(通称ヤンバルオオムカデ)が現地の噂にのぼっていた。その存在を学術的に確認するため、法政大学教授・島野智之らは研究チームを結成した。

外見的特徴(形態や体色)加え、核ゲノムの2か所の遺伝子領域およびミトコンドリアゲノムの2か所の遺伝子領域の解析からも既知の種とは異なる新種であることが確認され、Scolopendra alcyonaと命名、Zootaxaで発表した。種小名は、美しい青緑色(翡翠色)の体色と川に飛びこむ姿から、カワセミ(翡翠)に姿を変えたというギリシャ神話の人物アルキュオネーにちなんで命名。和名は沖縄の龍神伝説にちなむ[2]

分布

編集

沖縄本島北部、久米島西表島石垣島渡嘉敷島台湾[3][4]

形態

編集

オオムカデ属としては日本及び台湾の最大種である(体長19センチ、体幅2.1センチ)。体表は青緑色[2]。20対の脚を持つ[5]

生態

編集

渓流などに生息する[3]半水棲の種で、身の危険を感じると水中に逃げ込み、じっと身を隠す習性がある。コンジンテナガエビを捕食している目撃例がある[2]。成虫になるまでに5年以上かかると推定されている[3]

人間との関係

編集

2021年6月29日に環境省により種の保存法に基づく緊急指定種に指定された[6]。2024年に国内希少野生動植物種に指定されており、捕獲・殺傷・譲渡などの行為が禁止されている[7]


出典

編集
  1. ^ a b Sho Tsukamoto, Shimpei F. Hiruta, Katsuyuki Eguchi, Jhih-Rong Liao & Satoshi Shimano, 2021. “A new amphibious species of the genus Scolopendra Linnaeus, 1758 (Scolopendromorpha, Scolopendridae) from the Ryukyu Archipelago and Taiwan,” Zootaxa, 4952 (3): 465–494.
  2. ^ a b c 琉球大学 2021.
  3. ^ a b c 琉球新報社 2021.
  4. ^ Tomoki Iwasaki; Koichiro Tonomura (2022). “Occurrence of the amphibious giant centipede Scolopendra alcyona (Scolopendromorpha, Scolopendridae) on Tokashiki Island, Kerama Islands, Japan”. Edaphologia (日本土壌動物学会) (110): 39–40. doi:10.20695/edaphologia.110.0_39. ISSN 2189-8499. 
  5. ^ Mindy Weisberger (2021年4月22日). “Newfound species of amphibious giant centipede named for woman cursed by the gods”. livescience.com. 2023年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月9日閲覧。
  6. ^ 種の保存法に基づく緊急指定種の指定について”. 環境省 (2021年6月29日). 2024年7月1日閲覧。
  7. ^ 国内希少野生動植物種一覧”. 環境省. 2024年7月1日閲覧。

参考文献

編集