ラテン・グラミーの殿堂

ラテン・グラミーの殿堂(ラテン・グラミーのでんどう、英語: Latin Grammy Hall of Fame)は、ザ・ラテン・レコーディング・アカデミー英語版(LARAS、ラテン・グラミー賞を執り行う組織)によってまとめられ設立された殿堂で、「25年以上前にリリースされた、質的または歴史的に永続的な意義を持つレコーディング作品」を表彰す[1]。受賞するアルバムと楽曲は、音楽学者や歴史家といったレコーディングやアートの専門家からなる審査員団によって選ばれ、ラテン音楽のすべての主要カテゴリーから選出される[2]

ラテン・グラミーの殿堂
主催ザ・ラテン・レコーディング・アカデミー英語版
初回2001
最新回2013
公式サイトwww.latingrammy.com

2001年、17の楽曲・アルバムが対象となり、最初の選出が行われた[3]。その中には、サンタナによるティト・プエンテの『僕のリズムを聞いとくれ』のカバー、ハビエル・ソリス英語版による『サボール・ア・ミ英語版』の演奏、レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサスペイン国立管弦楽団によるホアキン・ロドリーゴの『アランフエス協奏曲』の1948年の演奏などが含まれる[4]

リッチー・ヴァレンスの『ラ・バンバ』とジョアン・ジルベルトの『想いあふれて英語版』といったラテン・グラミー殿堂入り曲は、2000年にグラミーの殿堂入りも果たしている[5]スタン・ゲッツジョアン・ジルベルトによる『ゲッツ/ジルベルト』は、1965年の第7回グラミー賞英語版で年間最優秀アルバム賞英語版を受賞した[6]ドン・アスピアス英語版の 『南京豆売り』とカチャオ英語版の『キューバ・ジャム・セッションズ・イン・ミニチュア英語版/ダウンロード』は、それぞれ2005年と2012年に全米録音資料登録簿に登録された[7]モセダデス英語版の『エレス・トゥ英語版』は、1973年のユーロビジョン・ソング・コンテストで2位となった[8]。ブラジルのミュージシャン、アントニオ・カルロス・ジョビンは、ラテン・グラミー賞の殿堂入りを果たした最多のアーティストであり、その数は4曲である[9]

現時点で、2001年、2007年、2013年の3回のみ殿堂の選出が行われた[9]

歴代受賞者

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受賞年 曲名 アーティスト リリース年 曲の種類 曲の販売方法 特筆すべき点[注 1] Ref.
2001 アディオス・ノニーノ アストル・ピアソラ 1969 フォークミュージック アルバム オランダ王ウィレム=アレクサンダーマクシマ・ソレギエタの結婚式で流された[10] [11]
ラ・バルカ英語版 ルーチョ・ガティカスペイン語版 1960 トロピカル英語版 シングル アメリカレコード協会からゴールドに認定されている[12][13]
ベサメ・ムーチョ ペドロ・バルガス英語版 1941 トロピカル英語版 シングル ビートルズザ・ベンチャーズルイス・ミゲルダイアナ・クラールなど多数のアーティストによってカバーされており、最もカバーされたスペイン語の楽曲の1つとされている[14]
アレグリア・アレグリア カエターノ・ヴェローゾ 1967 ブラジル音楽 アルバム ローリング・ストーン・ブラジル』誌が選出した「ブラジル音楽の偉大なアルバム100」では37位にランク・イン[15]
想いあふれて英語版 ジョアン・ジルベルト 1959 ブラジル音楽 アルバム グラミーの殿堂入り[16]。『ローリング・ストーン・ブラジル』誌が選出した「ブラジル音楽の偉大なアルバム100」では4位にランク・イン[17]
イパネマの娘 (アントニオ・カルロス・ジョビンのアルバム) アントニオ・カルロス・ジョビン 1963 ブラジル音楽 アルバム ローリング・ストーン・ブラジル』誌が選出した「ブラジル音楽の偉大なアルバム100」では58位にランク・イン[18]
アランフエス協奏曲 レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサスペイン国立管弦楽団 1948 クラシック アルバム 1996年の映画『ブラス!』では鉱夫が「アランフエス」が読めなかったため親しみを込めて「オレンジジュース」と呼んでいるシーンがある。ほか、マイルス・デイヴィスのアルバム『スケッチ・オブ・スペイン』に収録されている[19]
デサフィナード ジョアン・ジルベルト 1958 ブラジル音楽 シングル 全英シングルチャートで11位[20]、ビルボードのAdult Contemporary英語版で4位[21]Billboard Hot 100で15位[22]
想いの届く日 カルロス・ガルデル 1935 フォークミュージック シングル 20世紀において最も人気のあった曲の1つであり、史上最高のラテンソングの1つと見なされている[23]
イパネマの娘 アントニオ・カルロス・ジョビン 1963 ブラジル音楽 シングル 時にはエレベーター音楽英語版クリシェとして多く使用されている。ビートルズの『イエスタデイ』に次いで、史上2番目に多く録音されたポップソングであると考えられている[24]
ゲッツ/ジルベルト スタン・ゲッツジョアン・ジルベルト

ft.アントニオ・カルロス・ジョビンアストラッド・ジルベルト

1963 ブラジル音楽 アルバム ボサノヴァを世界中に広めたアルバムとされ、100万枚以上を売り上げた史上最も売れたジャズ・アルバムの1つ[25]
マンボNo.5 ペレス・プラード 1950 トロピカル英語版 シングル ルー・ベガによるカバー版で知られ、1999年夏にはヨーロッパのほとんどの地域でヒット、1999年後半には、イギリス、北アメリカ、オセアニアで大ヒットした。フランスでは、20週間にわたって楽曲ランキング1位にとどまり、記録を打ち立てた。1999年11月2日に米国のビルボードホット100で3位に達するなどもした[26][27][28]
南京豆売り モイセス・シモン英語版ドン・アスピアス英語版 1930 トロピカル英語版 シングル E.B.マークス英語版社から発売された楽譜は100万枚以上売れ、1943年までに作詞作曲者のモイセス・シモン英語版に10万ドルの印税が支払われた[29][30]
僕のリズムを聞いとくれ サンタナ 1970 ロック シングル Billboard Hot 100で13位、ビルボードのAdult Contemporary英語版で11位、R&Bチャートで32位を記録した[31]。2002年にはグラミーの殿堂入りを果たした[32]
時計 ルーチョ・ガティカスペイン語版 1959 トロピカル英語版 シングル ビルボードのAdult Contemporary英語版で1位[33]
サボール・ア・ミ英語版 ハビエル・ソリス英語版 1960 メキシコの地域音楽英語版 シングル ロス・トレス・アセスやローランド・ラセリー英語版など多くのアーティストによってカバーされ、1960年においてメキシコで最も成功した曲となっている[34]
イッツ・インポッシブル アルマンド・マンサネーロ 1970 トロピカル英語版ボレロ シングル ビルボードのAdult Contemporary英語版で1位[35]Billboard Hot 100で10位[36]
2007 カバージョ・ビエホ英語版 ロベルト・トーレス英語版 1980 トラディショナル・トロピカル英語版 シングル フリオ・イグレシアスなど多くの人物がカバーをし、1987年にはジプシー・キングスの楽曲に取り入れられ『バンボレオ』としてヒットし、フランス、イギリス、アメリカなど多くの国でゴールドディスクに認定された[37] [38]
エリス&トム英語版 エリス・レジーナアントニオ・カルロス・ジョビン 1974 MPB アルバム ローリング・ストーン・ブラジル』誌が選出した「ブラジル音楽の偉大なアルバム100」では11位にランク・イン[39]
コール・エスパニョール英語版 ナット・キング・コール 1958 トラディショナル・ポップ アルバム ブラジルで30万枚、スペインでは50万枚売れ[40]プロムシカエからゴールドを授与[41]
ディテールズ ロベルト・カルロス英語版 1971 ブラジリアン・ロマンティック アルバム 2024年2月時点で公式がYoutubeにアップロードした曲のビデオは5000万回以上再生されている[42]
イラケレ イラケレ 1978 ラテンジャズ アルバム グラミー賞Best Latin Recordingに選ばれた[43]
地中海英語版 ジョアン・マヌエル・セラート英語版 1971 ヌエバ・カンシオンノヴァ・カンソ英語版トローバスパニッシュ・フォーク アルバム ラテノフォカ英語版での評価は星5となっている[44]ロックデラックス公開の「20世紀のスペインのレコード100枚」で3位にランクインしている[45]
ミ・ヴィエジョスペイン語版 ピエロ・デ・ベネディクティス英語版 1969 シンガーソングライター シングル 家族愛をテーマにした楽曲の為、スペイン国内では結婚式などでよく流される[46]
ムチャチャ・オジョス・デ・パペル英語版 アルメンドラ英語版 1969 ロック シングル オールミュージック発表のランキングでは星5評価を受けている[47]
レイト・デ・ルナ ロス・パンチョス 1960 ポップ シングル 2024年5月時点で、Youtubeに無断転載された本曲の動画は500万回以上視聴されている[48]
エル・レイ英語版 ホセ・アルフレド・ヒメネス英語版 1971 ランチェーラ シングル クリスティーナ・アギレラはエル・レイ(訳:王様)に敬意をこめて、ラ・レイナ英語版(訳:女王)をリリースした[49][50][51]
シェンブラ英語版 ウィリー・コロン英語版ルーベン・ブラデス 1978 サルサ アルバム 世界中で300万枚以上売れ、その刺激的で社会的な歌詞と型破りなサウンドでサルサブームに火をつけた[52][53]。世界一売れたサルサのレコード[54][55]
ソン・デ・ラ・ロマ英語版 トリオ・マタモロス英語版 1928 トラディショナル・トロピカル英語版 シングル キューバ音楽の中で著名な作品。しかし、歌詞を巡って幾つかの論争が起きている[56]
2013 アモール・エテルノ英語版 ロシオ・ドゥルカル英語版 1984 ポップ アルバム 最優秀メキシカン/メキシコ系アメリカン・アルバム賞英語版受賞[57] [58]
アメリカ、アメリカ英語版 ニノ・ブラボー英語版 1973 ポップ シングル 1973年プロムシカエのシングルチャートで1位を獲得[59]
ラ・バンバ リッチー・ヴァレンス 1959 ロック シングル ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」で英語ではない曲で唯一ランクイン、354位であった[60][61]ロバート・クリストガウの「クリストガウ・レコードガイド英語版」にも収録された[62]
キューバ・ジャム・セッションズ・イン・ミニチュア英語版/ダウンロード カチャオ英語版 1957 ジャズ アルバム アルバムは100万枚以上を売り上げ、「ラテン音楽の金字塔」となった[63]
コモ・フエ英語版 ベニー・モレー英語版 1953 トロピカル英語版 シングル ホセ・ホセ英語版によってカバーされている[64]
ドゥルセ・パトリア ホルヘ・ネグレテ英語版 1950 メキシコの地域音楽英語版 アルバム ホルヘ・ネグレテは俳優としての活躍でも有名であった[65]。2024年5月時点で、Youtubeの公式チャンネルに投稿されているMVは15万回以上視聴されている[66]
エレス・トゥ英語版 モセダデス英語版 1973 フォークミュージック シングル 2015年、ビルボードが選んだ史上最高のラテンソング50で47位にランクイン[67]ユーロビジョン・ソング・コンテスト1973で2位[68]
人生よありがとう ビオレータ・パラ 1966 フォークミュージック シングル メルセデス・ソーサのカバーによって一躍有名となった[69]
ジョベム・グアルダ ロベルト・カルロス英語版 1965 ポップ アルバム 2024年1月時点で、Youtube上にアップされたアルバムの無断転載動画は100万回以上再生されている[70]
マシュ・ケ・ナダ セルジオ・メンデス&ブラジル'66 1966 ブラジル音楽 シングル ローリング・ストーン・ブラジル』誌が選出した「ブラジル音楽の偉大なアルバム100」では5位にランク・イン[71]
ポルケ・ヨ・テ・アモ サンドロ・デ・アメリカ英語版 1968 ポップ シングル フアン・ガブリエル英語版ロシオ・ドゥルカル英語版らによってカバーされている[72]
アマデオ・ロルダン劇場 - リサイタル イラケレ 1974 ジャズ アルバム オールミュージック発表のランキングでは星4.5評価を受けている[73]

脚注

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注釈

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  1. ^ ここでは殿堂に指定された曲の実績などについて記す。

出典

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