ラグビーウェールズ代表

ラグビーユニオン競技のウェールズ代表チーム

ラグビーウェールズ代表 (ラグビーウェールズだいひょう、ウェールズ語: Tîm rygbi'r undeb cenedlaethol Cymru, : Wales national rugby union team) は、ウェールズラグビー協会 (en:Welsh Rugby Union)が組織するラグビーユニオンナショナルチームである。愛称は「レッドドラゴンズ」(Red Dragons)。 エンブレムはスリーフェザーズ(三枚の羽根)。

ラグビーウェールズ代表
ユニオン ウェールズラグビー協会
愛称 レッドドラゴンズ
エンブレム プリンス・オブ・ウェールズの羽根
グラウンド ミレニアム・スタジアム
収容人数 74,500
ヘッドコーチ ニュージーランドの旗 ウォーレン・ガットランド
主将 ダフィド・ジェンキンス
最多キャップ アラン・ウィン・ジョーンズ (155)
最多得点選手 ニール・ジェンキンス (1,049)
最多トライ選手 シェーン・ウィリアムス (58)
ファースト
ジャージ
セカンド
ジャージ
初国際試合
 イングランド 8 – 0 ウェールズ 
(1881/2/19)
最大差勝利試合
 ウェールズ 98 – 0 日本 
(2004/11/26)
最大差敗戦試合
 南アフリカ共和国 96 – 13 ウェールズ 
(1998/6/27)
ラグビーワールドカップ
出場回数 10 (1987年初出場)
最高成績 3位, 1987
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概要

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1881年に初のテストマッチ(対イングランド)を戦った。

シックス・ネイションズの一つであり、ホーム・ネイションズによる合同チームである「ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズ」にも参加している。ホームスタジアムは、首都カーディフにあるミレニアム・スタジアム

1970年代は、ガレス・エドワーズバリー・ジョン英語版フィル・ベネット英語版J・P・R・ウィリアムズ英語版などのスター選手を擁した。エドワーズが主将を務めた時代以降、ウェールズ代表はファイブ・ネイションズ・チャンピオンシップで3回のグランドスラムを含む7度の制覇を果たした。

しかし、ワールドカップ1987での3位獲得以降はワールドカップでプール戦敗退が続き、低迷が続いた。

ワールドカップ1999のウェールズ大会開催を機に再び強化に乗り出し、2005年、2008年にシックス・ネイションズにおいてグランドスラムを達成した。

2022年12月5日、ワールドカップ2023まであと9か月の時点でヘッドコーチのウェイン・ピヴァックが成績不振を理由に解任され、前回ワールドカップ2019まで12年間務めたウォーレン・ガットランドがヘッドコーチに復帰した[1]

2023年1月29日、ウェールズラグビー連盟(WRU)最高経営責任者(CEO)のスティーブ・フィリップスが辞任した。組織内に女性蔑視や性差別、人種差別、同性愛嫌悪があったと告発するテレビ番組がBBCで放送され[2]、批判を浴びていた[3]

2023年2月25日のシックス・ネイションズイングランド戦は、一部所属選手の契約がまとまらず、選手によるストライキ・試合中止が危惧されたが[4][5]、直前に回避された[6]

愛称

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フランスではウェールズ代表は解説者によってしばしば「Diables Rouges」(赤い悪魔)と呼ばれる。その起源は不明だが、この称号は現在慣習化しており、映像メディアで広く使われている。しかし、「赤い悪魔」という愛称はいくつかのスポーツチーム(主にサッカーのマンチェスター・ユナイテッドベルギー代表)に対して使われる。この愛称はイギリスのメディアでは広く使われていないが、時に目にすることもある[7]。英語圏や日本のメディアでは「レッドドラゴンズ」(赤い竜)という語句が使われる[8]

成績

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ラグビーワールドカップ

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シックス・ネイションズ

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2024年3月17日現在

   
イングランド
 
フランス
 
アイルランド
 
イタリア
 
スコットランド
 
ウェールズ
試合数 130 97 132 27 132 132
単独優勝 (カッコ内は同時優勝)
ホーム・ネイションズ 5 (4) N/A 4 (4) N/A 10 (3) 7 (4)
ファイブ・ネイションズ 17 (6) 12 (8) 6 (5) N/A 5 (6) 15 (8)
シックス・ネイションズ 7 6 6 0 0 6
合計 29 (10) 18 (8) 16 (9) 0 (0) 15 (9) 28 (12)
グランドスラム(全勝優勝)
ホーム・ネイションズ 0 N/A 0 N/A 0 2
ファイブ・ネイションズ 11 6 1 N/A 3 6
シックス・ネイションズ 2 4 3 0 0 4
合計 14 10 4 0 3 12
トリプルクラウン英語版(ホーム・ネーションズ(英4か国)中での全勝)
ホーム・ネイションズ 5 N/A 2 N/A 7 6
ファイブ・ネイションズ 16 N/A 4 N/A 3 11
シックス・ネイションズ 5 N/A 7 N/A 0 5
合計 26 N/A 13 N/A 10 22
ウドゥン・スプーン(最下位チーム賞)
ホーム・ネイションズ 7 N/A 10 N/A 5 6
ファイブ・ネイションズ 10 12 15 N/A 15 10
シックス・ネイションズ 0 1 0 17 4 1
合計 17 13 25 18 24 17

選手

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現在の代表

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ウェールズ代表スコッド[9]

選手 ポジション 誕生日 (年齢) キャップ チーム
エリオット・ディー フッカー (1994-03-07) 1994年3月7日(30歳) 51   ドラゴンズ
デヴィ・レイク フッカー (1999-05-16) 1999年5月16日(25歳) 12   オスプリーズ
エヴァン・ロイド英語版 フッカー (2001-12-28) 2001年12月28日(22歳) 2   カーディフ
サム・パリー英語版 フッカー (1991-12-17) 1991年12月17日(32歳) 7   オスプリーズ
キーロン・アッシラッティラッティ英語版 プロップ (1997-06-30) 1997年6月30日(26歳) 6   カーディフ
レオン・ブラウン プロップ (1996-10-26) 1996年10月26日(27歳) 24   ドラゴンズ
コーリー・ドマコウスキー プロップ (1996-11-09) 1996年11月9日(27歳) 10   カーディフ
アーキー・グリフィン英語版 プロップ (2001-07-24) 2001年7月24日(22歳) 1   バース
ディロン・ルイス プロップ (1996-01-04) 1996年1月4日(28歳) 57   ハーレクインズ
キャムスレー・マティアス英語版 プロップ (1999-07-29) 1999年7月29日(24歳) 2   スカーレッツ
ハリー・オコーナー英語版 プロップ (2000-10-25) 2000年10月25日(23歳) 1   スカーレッツ
ギャレス・トーマス プロップ (1993-08-02) 1993年8月2日(30歳) 30   オスプリーズ
ヘンリー・トーマス プロップ (1991-10-30) 1991年10月30日(32歳) 4   カストル・オランピック
ベン・カーター英語版 ロック (2001-01-23) 2001年1月23日(23歳) 11   ドラゴンズ
コリー・ヒル ロック (1992-02-10) 1992年2月10日(32歳) 32   セコムラガッツ
ダフィド・ジェンキンス ( ) ロック (2002-12-05) 2002年12月5日(21歳) 17   エクセター・チーフス
マシュー・スクリーチ英語版 ロック (1992-10-24) 1992年10月24日(31歳) 1   ドラゴンズ
マッケンジー・マーティン英語版 バックロー (2003-10-26) 2003年10月26日(20歳) 3   カーディフ
ジャック・モーガン バックロー (2000-01-21) 2000年1月21日(24歳) 15   オスプリーズ
テイン・プラムツリー英語版 バックロー (2000-03-09) 2000年3月9日(24歳) 2   スカーレッツ
トミー・レフェル バックロー (1999-04-27) 1999年4月27日(25歳) 18   レスター・タイガース
クリスト・チウンザ バックロー (2002-01-09) 2002年1月9日(22歳) 10   エクセター・チーフス
アーロン・ウェインライト バックロー (1997-09-25) 1997年9月25日(26歳) 48   ドラゴンズ
ギャレス・デーヴィス スクラムハーフ (1990-08-18) 1990年8月18日(33歳) 76   スカーレッツ
キーラン・ハーディ スクラムハーフ (1995-11-30) 1995年11月30日(28歳) 21   スカーレッツ
エイリス・べヴァン英語版 スクラムハーフ (2000-03-10) 2000年3月10日(24歳) 0   カーディフ
サム・コステロウ フライハーフ (2001-10-01) 2001年10月1日(22歳) 12   スカーレッツ
メイソン・グレイディ センター (2002-03-29) 2002年3月29日(22歳) 11   カーディフ
エディー・ジェームス英語版 センター (2002-08-10) 2002年8月10日(21歳) 0   スカーレッツ
ベン・トーマス英語版 センター (1998-11-25) 1998年11月25日(25歳) 32   カーディフ
ニック・トンプキンズ センター (1995-02-16) 1995年2月16日(29歳) 36   サラセンズ
オーウェン・ワトキン センター (1996-10-12) 1996年10月12日(27歳) 38   オスプリーズ
リオ・ダイアー ウイング (1999-12-21) 1999年12月21日(24歳) 19   ドラゴンズ
キーラン・ジャイルズ英語版 ウイング (1997-01-29) 1997年1月29日(27歳) 0   オスプリーズ
ジョシュ・ハーサウェイ英語版 ウイング (2003-10-19) 2003年10月19日(20歳) 0   グロスター
ジャコブ・ビーサム英語版 フルバック (2001-04-18) 2001年4月18日(23歳) 0   カーディフ
リアム・ウィリアムズ フルバック (1991-04-09) 1991年4月9日(33歳) 89   クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
キャメロン・ウィンネット英語版 フルバック (2003-01-07) 2003年1月7日(21歳) 5   カーディフ

※所属、 キャップ数(Cap)は2024年6月8日現在

ワールドラグビー男子ランキング

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ワールドラグビーが発表するデータにもとづく。

2019年8月19日付および翌週26日付の2週にわたり、1位となった。それまでの1位だったニュージーランドが不調でポイントを下げ、2位のウェールズが2019年8月17日イングランドに勝利したことによる。ニュージーランドは、前週まで509週連続1位だった[10]

2023年2月25日、ホームゲームでイングランドに10-20で敗戦[11]。それまでの9位から10位に下落した。10位となるのは2013年2月4日以来のこと。


ワールドラグビー男子ランキング
上位30チーム(2024年6月10日時点)[12]
順位 変動* チーム ポイント
1     南アフリカ共和国 094.54
2     アイルランド 090.69
3     ニュージーランド 089.80
4     フランス 087.92
5     イングランド 085.75
6     スコットランド 082.82
7     アルゼンチン 080.68
8     イタリア 079.41
9     オーストラリア 077.48
10     ウェールズ 077.26
11     フィジー 076.38
12     日本 074.27
13     ジョージア 074.02
14     サモア 072.23
15     トンガ 071.57
16     ポルトガル 070.28
17     ウルグアイ 067.94
18     アメリカ合衆国 067.39
19     スペイン 064.37
20     ルーマニア 061.66
21     カナダ 060.90
22     ナミビア 060.56
23     チリ 060.49
24     香港 059.80
25     ロシア 058.06
26     スイス 057.44
27     オランダ 057.29
28     ベルギー 055.89
29     ブラジル 055.37
30  1   ジンバブエ 052.43
*前週からの変動
ウェールズのランキングの推移

生のグラフデータを参照/編集してください.

出典: ワールドラグビー[12]
推移グラフの最終更新: 2024年6月10日


その他の記録

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北九州市との関わり

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ラグビーワールドカップ2019の出場に際しては、主に西日本各地を転々として事前キャンプを行ったが、その中でキャンプ地の一つ・北九州市との関係を強くしていった。

北九州市では大会本番の試合は無かったが、サッカークラブ・ギラヴァンツ北九州のホームスタジアムである北九州スタジアム(ミクニワールドスタジアム北九州)でキャンプを行った。そして一般公開された2019年9月16日には、スタジアムに詰めかけた多くの市民がウェールズの“国歌”である「カロン・ラン」を原語で歌って迎えた。またその他の場面でも北九州市は全市規模でウェールズを応援する態勢を敷いた。

大会後、ウェールズラグビー協会は福岡県の新聞に北九州市への謝意を示す全面広告を出稿。一方北九州市もこれに応え現地の新聞に答礼広告を出稿した。

そして2020年2月22日、ウェールズラグビー協会と北九州市との間で「ラグビーワールドカップ2019のレガシーの一環としてのウェールズラグビー協会と北九州市との友好・協力関係に関する覚書」が締結された[14]

脚注

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  1. ^ ラグビーW杯前年にウェールズ代表の指揮官交代。ピヴァック解任、ガットランドが復帰。(ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン))”. Yahoo!ニュース. 2023年2月27日閲覧。
  2. ^ “Wales rugby: Former women's boss says colleague made rape jibe” (英語). BBC News. (2023年1月22日). https://www.bbc.com/news/uk-wales-64333230 2023年2月27日閲覧。 
  3. ^ ウェールズラグビー連盟CEOが辞任、組織内で差別との告発”. www.afpbb.com. 2023年2月27日閲覧。
  4. ^ ウェールズラグビー、選手がストライキ突入の可能性”. www.afpbb.com. 2023年2月27日閲覧。
  5. ^ ウェールズラグビーのスト危機、指揮官はイングランド戦開催に自信(AFP=時事)”. Yahoo!ニュース. 2023年2月27日閲覧。
  6. ^ ウェールズラグビーのスト回避、イングランド戦開催へ:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2023年2月27日閲覧。
  7. ^ WALES TOUR of SOUTH AFRICA 1964”. 2019年11月1日閲覧。
  8. ^ Rugby World Cup limited. “クラシックマッチ:ウェールズ対南アフリカ”. 2019年11月1日閲覧。
  9. ^ Wales men’s squad named for 2024 summer fixtures - Welsh Rugby Union . Welsh Rugby Union(2024年6月6日). 2024年6月8日閲覧。
  10. ^ 世界ランキングでウェールズが初の1位! 約10年間、509週連続トップだったNZは2位へ - ラグビーリパブリック” (2019年8月19日). 2022年12月12日閲覧。
  11. ^ worldrugby.org. “ワールドラグビー”. www.world.rugby. 2023年2月27日閲覧。
  12. ^ a b Men's World Rankings”. ワールドラグビー. 2024年6月10日閲覧。
  13. ^ ◇サントリーが偉大な歴史を作った◇  - 大野晃のラグビー通信 第20号 2001年6月4日付
  14. ^ ウェールズラグビー協会との覚書(レガシー協定)の締結について』(PDF)(プレスリリース)北九州市市民文化スポーツ局、2020年2月13日https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/000871041.pdf2023年9月30日閲覧 

関連項目

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外部リンク

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