ヤーロウM級駆逐艦英語: Yarrow M-class destroyer)は、イギリス海軍駆逐艦の艦級。M級駆逐艦のうち、ヤーロウ社の設計を採用したサブクラスである[1][2]

ヤーロウM級駆逐艦
基本情報
種別 駆逐艦
運用者  イギリス海軍
就役期間 1914年 - 1926年
前級 L級 (ラフォーレイ級)
準同型艦 アドミラルティM級
ホーソンM級
ソーニクロフトM級
次級 R級
要目
常備排水量 883トン (前期型) / 895トン (後期型)
全長 82.1 m (前期型) / 82.7 m (後期型)
最大幅 7.8 m
吃水 2.9 m
ボイラー 水管ボイラー×3缶
主機 蒸気タービン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 23,000馬力
速力 35.0ノット
航続距離 2,650海里 (15kt巡航時)
燃料 重油278トン (後期型228トン)
乗員 79名 (後期型80名)
兵装40口径10.2cm砲×3門
29口径37mm機銃×2門
 39口径40mm機銃×1門に後日換装
・53.3cm連装魚雷発射管×2基
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来歴

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1913-4年度計画では、ウィンストン・チャーチル海軍大臣の意見により、大幅な速力向上を図ったM級駆逐艦の建造が開始された。同年度計画では、海軍本部の設計による基本型(アドミラルティM級)6隻のほか、更なる速力の増大を図って、民間造船所の自由裁量に任せた設計による特型7隻が盛り込まれていた。このうち、ヤーロウ社の設計を採用したのが本級である[1]。また第一次世界大戦の勃発に伴う戦時緊急計画にもとづき、1914-5年度で5隻、1915-6年度で2隻が追加建造された[3]

設計

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基本設計はアドミラルティ型と同様、L級の小改正型とされており、船型も同じ船首楼型であるが、本級ではL/B比10.5の長く軽量の船体を採用した[1]。主機は直結タービン、2軸推進であり、機関出力は23,000馬力とM級のなかで最低だが、優れた船体設計により、例えば「マイノス」は海上公試で36.091ノットをマークした。そして戦時緊急計画に基づく後期型では、艦尾を0.6メートル延長して造波抵抗の低減を図り、「マウンセイ」では39.01ノットを記録したが、これはM級のなかで最高速であった[1]

装備

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兵装はアドミラルティ型と同構成である。

艦砲はL級の装備を踏襲し、40口径10.2cm砲(QF 4インチ砲Mk.IV)を3門搭載した。対空兵器としては29口径37mm機銃(QF 1ポンド・ポンポン砲)が搭載され、39口径40mm機銃(QF 2ポンド・ポンポン砲)に後日換装された。戦時緊急計画に基づく後期型では当初からこの装備となっている[1][4]

水雷兵装もL級の装備を踏襲しており、53.3cm連装魚雷発射管2基を搭載した[1]

同型艦一覧

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  • 前期型
    • ミランダ(HMS Miranda
    • マイノス(HMS Minos
    • マンリィ(HMS Manly
  • 後期型
    • ムーン(HMS Moon
    • モーニング・スター(HMS Morning Star
    • マウンジー(HMS Mounsey
    • マスケティアー(HMS Musketeer
    • ニリッサ(HMS Nerissa
    • リレントリス(HMS Relentless
    • ライヴァル(HMS Rival

参考文献

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  1. ^ a b c d e f 「イギリス駆逐艦史」『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、35頁、ISBN 978-4905551478 
  2. ^ Randal Gray (1984). Robert Gardiner. ed. Conway's All the World's Fighting Ships 1906-1921. Naval Institute Press. pp. 18, 76-77. ISBN 978-0870219078 
  3. ^ 中川務「イギリス駆逐艦建造の歩み」『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、149-155頁、ISBN 978-4905551478 
  4. ^ 高須廣一「兵装 (技術面から見たイギリス駆逐艦の発達)」『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、172-179頁、ISBN 978-4905551478