メープル・リーフ・フォーエバー
「メープル・リーフ・フォーエバー」(英:The Maple Leaf Forever)は、アレクサンダー・ミューアが、1867年に作曲したカナダの愛国歌である。この年は連邦結成の年であり、作詞、作曲共にミューアが手がけた。この13年後に書かれた国歌『オー・カナダ』に次ぐ位置の曲であるが、カナダで作曲された愛国的な曲としては、最も人気がある。しかしながら、ミューアの曲はイングランド系カナダ人向けであり、英国系の間で根強い人気がある一方で、フランス系カナダ人の間では評判が良くなかった。
概要
編集歌詞は、モントリオール・カレドニアン協会主催の、愛国的な詩のコンテストにミューアが応募して、2位に輝いた作品である。この歌詞は、ミューアと、友人のジョージ・レスリーが、レスリーズガーデンズ(クイーンストリートの近く、ドン川の東に位置する。レスリー一家が住んでいたのにちなんでこの名がついた)を歩いていた時、レスリーが、自分のコートの袖に落ちたカエデの葉を見て「カエデはカナダの国章だ!このテーマで詩を書けよ」と叫んだためといわれる。ミューアは詩をモントリオールに送った後、この詩にふさわしい曲を探したが徒労に終わり、曲も自分で書くことにした。
1000部が出回ったといわれる初版は、日付も著作権表示もない。作曲者であるミューアが「自分のために」出版したともいわれ、楽譜の売り上げは、ミューアが自腹を切った経費の半分以下だったなどともいわれる。1871年、ピアノ会社のノーダイマー(en:Heintzman & Co.)が著作権料を払ったものの、ミューアは受け取らなかった。『メープル・リーフ・フォーエバー』は、J.F.ハーディーが歌って拍手喝采を集めたといわれるが、一方で、1874年7月24日に、トロント北部の教会の定礎式で、デュファリン伯爵臨席の下、ミューアの指揮により、小学生の合唱で初披露されたともいわれる。
歌詞はミューアが何度か手直しした。カナダ国立図書館所蔵のオリジナルののコーラス第一行'The Maple Leaf, the Maple Leaf, the Maple Leaf for ever!'が'The Maple Leaf, our emblem dear, the Maple Leaf for ever!'と直されている。1894年にも大きく手直しされている。この年の9月8日、トロントの「ジ・エンパイア」紙に、「間違った歌詞で歌われている」というミューア自身の投書が載ったが、これは、ミューアが意図的に仕組んだものらしかった。1894年以前の歌詞が、オリジナルのと同じであるという保証はないし、この「正しい」歌詞というのは、実は新しい歌詞のことだったのである。この新しい歌詞は、それまでの4つの行(スタンザ)ではなく、5つの行からのものへと変化しており、以前の歌詞との共通箇所は少なかった。1894年版の出だしは、'In days of yore, the hero Wolfe Britain's glory did maintain,'となり、その後しばらくは、この歌詞で出版されたものもある。しかし、初版のは'In days of yore, from Britain's shore, Wolfe the dauntless hero came.'で、これがやはりよく知られている。
また、後に、フランス語系住民を視野に入れて出版された分では、歌詞がこうに変えられている。「アザミ(スコットランド)、シャムロック(アイルランド)、そしてバラ(イングランド)が絡み合い」から「ユリ(フランス)、アザミ、シャムロック、バラ」となったのである。実は1862年より前に、フランス語で書かれた歌詞があったにもかかわらず、まだこの歌詞はつけられていなかった。このフランス語の詩'Salut, ô ma belle patrie!'((私の素晴らしい祖国よ!)がミューアの曲につけられたのは1914年のことだった。 現在出回っている楽譜は、ほとんどが変ロ長調で、全体的にどこか安定せず、反復進行(ゼクエンツ)もあり、学校の授業で正しく歌うのは難しいと指摘されたこともある。
1964年にトンプソンから、この曲のメロディに「我らの家、我らの国、我らのカナダ」という、ビクター・カウリーの詩をつけたものが出版された。カウリーは、カナダ作家協会によるメープル・リーフ・ソング・コンテストで優勝している。 [1]
その後、ルーマニア移民のブラディミール・ラディアンにより、新しく歌詞が作られた。ラディアンは元は数学者で、今はソングライター、俳優、詩人である。10年前にカナダに移民した。この曲は知らなかったものの、CBCのラジオ番組「メトロ・モーニング・ショー」で、従来の歌詞が、一部の人々に向けたものであるという理由で、コンテストで新しい詩を応募していることを知った。[2]
バンクーバーオリンピックの閉会式で、マイケル・ブーブレがこの曲を歌った[3]。
歌詞
編集オリジナルの歌詞
編集- In Days of yore,
- From Britain's shore
- Wolfe the dauntless hero came
- And planted firm Britannia's flag
- On Canada's fair domain.
- Here may it wave,
- Our boast, our pride
- And joined in love together,
- The thistle, shamrock, rose entwined,
- The Maple Leaf Forever.
Chorus
- The Maple Leaf
- Our Emblem Dear,
- The Maple Leaf Forever.
- God save our Queen and heaven bless,
- The Maple Leaf Forever.
- At Queenston Heights and Lundy's Lane
- Our brave fathers side by side
- For freedom's home and loved ones dear,
- Firmly stood and nobly died.
- And so their rights which they maintained,
- We swear to yeild them never.
- Our watchword ever more shall be
- The Maple Leaf Forever
(Chorus)
- Our fair Dominion now extends
- From Cape Race to Nootka Sound
- May peace forever be our lot
- And plenty a store abound
- And may those ties of love be ours
- Which discord cannot sever
- And flourish green for freedom's home
- The Maple Leaf Forever
(Chorus) [2]
- いにしえの日、ブリタニアの岸より
- 無敵の英雄ウルフが来て、ブリタニアの旗を、カナダの美しい地に立てた
- ひるがえれ、我らの誇り、我らの自尊心
- 共に愛し合おう、アザミよ、シャムロックよ、バラよ
- カエデの葉よ永遠に
- カエデの葉
- 我らの国章
- カエデの葉よ永遠に
- 我らの(女)王に祝福あれ
- カエデの葉よ永遠に
- クイーンズタウンの高みにもランディの小道にも
- 我らは父祖と共に
- この国に自由をもたらし、親しいものを愛し
- ゆるぎなく経ち、雄々しく世を去った
- 父祖たちがささえた地位は、明け渡さないと誓う
- 我らの合言葉は変わることなく
- カエデの葉よ永遠に
- 我らの美しい地は今も広がりゆく
- ケープ・レースからヌートゥカ・サウンドまで
- 我らの地、多くの宝の上に
- 永遠に平和があるように
- 愛の絆は争いにも断たれることなく
- 緑の木々は自由の地に茂る
- カエデの葉よ永遠に
ラディアンによる歌詞
編集- O, land of blue unending skies,
- Mountains strong and sparkling snow,
- A scent of freedom in the wind,
- O'er the emerald fields below.
- To thee we brought our hopes, our dreams,
- For thee we stand together,
- Our land of peace, where proudly flies,
- The Maple Leaf forever.
Chorus
- Long may it wave, and grace our own,
- Blue skies and stormy weather,
- Within my heart, above my home,
- The Maple Leaf forever!
- From East and West, our heroes came,
- Throught icy fields and frozen bays,
- Who conquered fear, and cold, and hate,
- And their ancient wisdom says:
- Protect the weak, defend your rights,
- And build this land together,
- Above which shine the Northern Lights,
- And the Maple Leaf forever!
(Chorus)
- Sur mers sauvages ou glaciers durs,
- Tant d'heros se sont suivis,
- En conquerant la peur, le froid,
- Et les tempetes de leurs vies.
- Et tant de braves, rouges ou blancs,
- Reposent ici ensemble,
- De noble sang, de tant de neige,
- Est nee la feuille d'erable.
Refrain
- De leurs exploits, de leurs travaux,
- Et leur courage sublime,
- Dans leurs vieux reves reunis,
- Puisons nouvelles racines.
Refrain Reprise
- Sur nos montagnes, dans nos prairies,
- A travers temps et sable,
- Aimons toujours la fleur de lys,
- Toujours, la feuille d'erable.
- Oh, Maple Leaf, around the world,
- You speak as you rise high above,
- Of courage, peace and quiet strength,
- Of the Canada I love.
- Remind us all our union bound,
- By ties we cannot sever,
- Bright flag revered on every ground,
- The Maple Leaf forever!
(Chorus) [2]
- おお、果てない青空よ
- 雄々しい山に舞い散る雪
- 吹く風に自由の香り
- 下に広がる緑の野
- 我らの希望、我らの夢をこの地にもたらす
- この地のために我らは共に立つ
- 我らの平和の地に、誇りをもってひるがえる
- カエデの葉よ永遠に
- 長きにわたりひるがえれ、我らに名誉を与えよ
- 青空も荒れる日も
- 我らの心に、この地の上に
- カエデの葉よ永遠に
- 我らの父祖は、東へ西へと
- 氷の野、氷の海を通りぬけ
- 恐れを、寒さを、憎悪をもうちくだき
- 父祖たちの英知はこう言った
- 弱きを助け、権利を守れ
- そしてこの国を共に建てよう
- 北の日が輝くところ、
- そしてカエデの葉よ永遠に
- 荒れる海も厳しい寒さも
- 多くの父祖たちは乗り越えてきた
- 恐れも冷たさも
- 嵐も打ち破ってきた
- 赤と白の勇士たちは
- ここに共に眠る
- 貴い血と、多くの雪の色
- カエデの葉に生まれ変わる
- 彼らの冒険、彼らの働き、
- 彼らの驚嘆すべき勇気
- 彼らのかつての夢の下、一丸となり
- 新しい根を取りだして行こう
- 山でも平原でも
- 悪天候でも砂漠でも
- 常にユリの花を愛そう
- 常にカエデの葉を愛そう
- カエデの葉が、世界中で
- 高くそびえるほどに
- 我が愛するカナダの勇気、平和、静かなる力が
- 伝わっていく
- 我らが断たれることのない絆で
- 皆一つとなり
- 美しい旗はすべての地で尊敬される、それを思い出そう
- カエデの葉よ永遠に