メルセデス・ベンツ・M282エンジン
M282は、メルセデス・ベンツの直列4気筒ガソリンエンジンの系列であり、M270系列の後継である。
超小型、軽量、優れた動・静剛性が特長である[1]。 ターボチャージャーは、電子制御ウェストゲートを搭載しており、フレキシブルな過給圧制御により、低負荷域においても、最適な過給圧を設定することができる。 デルタ形シリンダーヘッドは、その名のとおり、シリンダー ヘッドが三角柱を横に寝かした形状となっている。通常のシリンダーヘッドに比べると、装着時の高さがある一方、幅や重さは遥かに小さくすることが可能となる。さらに、インテークマニホールドとエグゾーストマニホールドを半一体型として、コンパクト化を可能にした。
メルセデス・ベンツグループは、最大圧力250barの高圧インジェクションポンプを、省スペースで配置する技術に対して、特許を取得している。多孔式インジェクションノズルを燃焼室の中央に置き、バルブに燃料ジェットを当てずに燃料を噴射するものである。 この高圧縮比4気筒エンジンは、吸気ダクトにヘルムホルツ共鳴器を採用、触媒コンバーターには遮音シールを施したほか、カバーにもノイズ低減の役目を持たせるなど、ノイズの低減に注力がなされている。
同じく、直列4気筒ガソリンエンジンの系列である、M260やM264に倣うかたちで、ベルトを介してクランクシャフトと接続され、スターターとジェネレーターを兼ねるモーター、「BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)」と「48V電気システム」が新たに搭載された[2]。これは、回生ブレーキ等により発電した電気を、約1kWhのリチウムイオン電池に蓄電することで、振動の少ないエンジン始動、滑らかで力強い加速、素早いギアシフトなどの必要に応じて、動力補助を行うものである。加えて、ウォーターポンプが電動化されたことで、冷却能力を必要に応じて、最適に調整することが可能となった。
2018年10月、Aクラス(W177)から、順次導入された[3]。
2023年9月、CLA(C118)から、BSGと48V電気システムを備えた、マイルドハイブリッド仕様(BSG搭載モデル)が導入された。
バリエーション
編集エンジン型式 | 総排気量 cc |
ボア×ストローク mm |
最高出力 kW(PS)/rpm |
最大トルク Nm(kgm)/rpm |
搭載モデル | 販売期間 |
---|---|---|---|---|---|---|
M282 | 1,331 | 72.2×81.3 | 100 (136)/ 5,500 |
200 (20.4)/ 1,460~4,000 |
A 180 (W177) | 2018年10月-2023年11月 |
A 180 スタイル (W177) | 2018年10月-2021年9月 | |||||
A 180 セダン (V177) | 2019年7月-2023年11月 | |||||
A 180 セダン スタイル (V177) | 2019年7月-2021年9月 | |||||
B 180 (W247) | 2019年6月-2023年10月 | |||||
CLA 180 (C118) | 2020年4月-2023年9月 | |||||
CLA 180 シューティングブレーク (X118) | 2020年4月-2023年3月 | |||||
GLA 180 (H247) | 2021年1月-2024年3月 | |||||
GLB 180 (X247) | 2021年4月-2024年6月 | |||||
230 (23.5)/ 1,650~3,500 |
A 180 (W/V177) | 2023年11月- | ||||
B 180 (W247) | 2023年10月- | |||||
CLA 180 (C118) | 2023年9月- | |||||
GLA 180 (H247) | 2024年3月- | |||||
GLB 180 (X247) | 2024年6月- | |||||
118 (160)/ 5,500 |
250 (25.5)/ 1,620~4,000 |
A 250 e (W/V177) | 2021年5月-2023年2月 |
参考文献
編集- ^ “新型「Aクラス」を発表”. メルセデス・ベンツ日本合同会社. 2024年10月2日閲覧。
- ^ “新型「CLA」および「CLAシューティングブレーク」を発表”. メルセデス・ベンツ日本合同会社. 2024年10月2日閲覧。
- ^ “「メルセデス・ベンツAクラス」がフルモデルチェンジ”. webCG (2018年10月18日). 2019年4月16日閲覧。