メシチレン (mesitylene) は芳香族炭化水素の一種である。化学式は C9H12IUPAC系統名1,3,5-トリメチルベンゼン (1,3,5-trimethylbenzene) であり、ベンゼン環の3個の水素がメチル基で置き換わった構造を持っている。消防法に定める第4類危険物 第2石油類に該当する[4]

メシチレン
識別情報
CAS登録番号 108-67-8 チェック
PubChem 7947
ChemSpider 7659 チェック
UNII 887L18KQ6X チェック
EC番号 203-604-4
国連/北米番号 2325
KEGG C14508 チェック
ChEBI
特性
化学式 C9H12
モル質量 120.19 g/mol
外観 無色の液体[2]
匂い 独特の芳香[2]
密度 0.8637 g/cm3 at 20 °C
融点

−44.8°C

沸点

164.7°C

への溶解度 0.002% (20°C)[2]
蒸気圧 2 mmHg (20°C)[2]
磁化率 -92.32·10−6 cm3/mol
構造
双極子モーメント 0.047 D[3]
危険性
安全データシート(外部リンク) [1]
引火点 50 °C [2]
許容曝露限界 無し[2]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

メシチレンは硫酸存在下でのアセトン蒸留[5]、もしくは硫酸中でのプロピンの三量化によって合成される。いずれの場合も硫酸は触媒として働いている。

メシチレンは高沸点溶媒として広く用いられている。

刺激性が強く、可燃性である。

エレクトロニクスの分野では、その溶解度の高さから半導体ウェハーの写像形成の際のエッチング液として用いられている。

メシチル基

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メシチレンの芳香環から水素を1個取り除いた1価の基 (-C6H2(CH3)3-2,4,6) をメシチル基 (mesityl group) と呼び、立体障害を持つ置換基として用いられる。

位置異性体

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メシチレンの位置異性体にあたるトリメチルベンゼンのうち、1,2,3-トリメチルベンゼンにはヘミメリテン (hemimellitene)、1,2,4-トリメチルベンゼンにはプソイドクメンあるいはシュードクメン (pseudocumene) という慣用名がある。

出典

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  1. ^ a b Nomenclature of Organic Chemistry : IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). p. 139. doi:10.1039/9781849733069-FP001. ISBN 978-0-85404-182-4 
  2. ^ a b c d e f NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0639
  3. ^ Zhao, Jun; Zhang, Renyi (2004). “Proton transfer reaction rate constants between hydronium ion (H3O+) and volatile organic compounds”. Atmospheric Environment 38 (14): 2177–2185. Bibcode2004AtmEn..38.2177Z. doi:10.1016/j.atmosenv.2004.01.019. 
  4. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  5. ^ Adams, R.; Hufferd, R. W. Org. Synth., Coll. Vol. 1, p. 341 (1941); Vol. 2, p.41 (1922). オンライン版

関連項目

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