ムラサキサギゴケ
ムラサキサギゴケ(紫鷺苔、学名: Mazus miquelii)は、サギゴケ科[注 1]サギゴケ属の多年草。植物分類学上の標準和名はサギゴケ(鷺苔)で、その別名のひとつがムラサキサギゴケとしている[1]。ただし、本種の白花に限ってサギゴケということもある。和名「ムラサキサギゴケ」の由来は、花が紫色で、形がサギ(鷺)が飛んでいるようすに見立てて苔のように広がっていることから名付けられている[3]。
ムラサキサギゴケ | |||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Mazus miquelii Makino (1902)[1] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
紫鷺苔、鷺苔 | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Miquel's mazus |
特徴
編集日本の本州、四国、九州に分布し、湿った野原や水田のあぜ道などの日当たりの良い場所に生える[3]。
多年性の草本[3]。匍匐茎で広がっていき[4]、群生していることが多い[3]。
花期は春から初夏(4 - 6月)[3]。花は紫(たまに白)で、上にめくれた小さな上唇と、3つに裂けた大きな下唇の花びらからできている唇形花で、花の基部は筒状である[5]。下唇の中央の黄褐色の目立つ斑紋があり、ここに細かい毛が生えている[3]。この斑紋の部分は、虫たちに蜜のありかを教える目印となり、虫が止まる足場の役目をしている[3]。花の小さな上唇は深裂するが、裂け目の角度が浅くわかりにくいことがある。
上唇の内側に、4本の雄蕊と1本の雌蕊があり、導かれたハナバチの頭や背中に確実に接触して受粉するように出来ている[3]。柱頭は2つに分れ、触れると閉じる柱頭運動があり、送粉者に付着した花粉を積極的に取り込み受粉を促す役割をしていると考えられている。この動きを律動にたとえジョロウバナの別称があるが、漢字で女郎花と書くとこれはオミナエシをさす[6]。
変種
編集- サギゴケ Mazus miquelii f. albiflorus (Makino) Makino
- モモイロサギゴケ Mazus miquelii f. roseus (Honda) Nakai
- ジャカゴソウ Mazus miquelii f. contractus (Makino) Sugim. ex T.Yamaz.
近縁種
編集-
ムラサキサギゴケ
-
トキワハゼ
脚注
編集注釈
編集- ^ 古い分類体系である新エングラー体系やクロンキスト体系ではゴマノハグサ科 (Scrophulariaceae) であったが[1]、新分類のAPG体系からはハエドクソウ科 (Phrymaceae) に分類され、さらにサギゴケ科 (Mazaceae: APGIII) として独立した。
出典
編集- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Mazus miquelii Makino サギゴケ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月15日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Mazus miquelii Makino var. stolonifer (Maxim.) Nakai サギゴケ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 亀田龍吉 2019, p. 20.
- ^ 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日。ISBN 4-7980-1485-0。
- ^ 亀田龍吉 2019, pp. 20–21.
- ^ 稲垣栄洋、三上修『身近な野の草 日本のこころ』筑摩書房〈ちくま文庫〉、2014年3月10日、111頁。ISBN 978-4480431387。
参考文献
編集- 亀田龍吉『ルーペで発見! 雑草観察ブック』世界文化社、2019年3月15日、20 - 21頁。ISBN 978-4-418-19203-8。