ミル (mil) は、主に軍事関係で使われる角度(平面角)の単位である。

ミル (mil)
記号 mil
非SI単位(メートル法系)
角度
定義 1 ミリラジアン
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日本では、この単位に密位の字を宛て「みりい(ミリイ)」と読んだ時期があった。また第二次世界大戦ドイツ戦車砲照準器においてはシュトリヒ (Strich、線ないし目盛り線の意味) と呼ばれていた。

英語ではインチを表す単位表記の中に、“1000分の1インチ”を示す"mil"という単位をもつため、長さのmilとの区別のため、角度の単位の方を英語では「角度のミル」(angular mil) と呼ぶことがある。

概要

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1ミルの元々の定義は1ミリラジアン (mrad) である。「ミル」という名称も、ミリ (mili) に由来するものである。この定義によれば、円周360度は2πradであるので、1rad=360度/2πとなり、1ミルは360度/2000π≒0.0573度となる。また、円周2πradは2000πmrad≒6283ミルとなる。 sin(0.001rad) ≒ 0.001 であるため、1000*sin(0.001rad)≒1となり、1km (=1000m) 先の1m幅の物体を見るときの角度(視角)がほぼ1ミリラジアン (mrad) となって都合が良い。これが軍事用にミルが多用される理由である。

軍事の実務では、上記の6283に近い、切りの良い値で円周を等分した角度をもって1ミルとしている。NATO各国と日本の自衛隊では円周を6400等分した角度(360/6400 = 0.056 25°)を1ミルと定義している。旧ソ連フィンランドでは6000分の1である。スウェーデンでは2006年までは6300分の1としていたが、2007年以降はNATOと同じ6400分の1を採用している。

これとは別に、1000ヤードの距離に対して1ヤードの高さが張る角度を1ミルとする定義もあり、歩兵ミル (infantry mil) と呼ばれる。歩兵ミルに対し、1ミリラジアンに由来するミルは砲兵ミル (Artillery mil) と呼ばれる。

ミルという呼称の他、パーミル(‰)を用いる場合もある。「半径に対する弧長の比」というラジアン本来の意味に立ち返ればパーミルの意味と合致するし、歩兵ミルと勾配におけるパーミルは同じである。

実用

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多くの軍事用コンパススコープには、ミルの目盛りが刻まれている。三角比を利用した次のような公式から、測定した対象のミル角で、対象までの距離を簡単に計算することができる(見込む角が小さいので、θをラジアン単位に取ると、前述の通り sin θ ≒ θである)。

対象物の実際の幅または高さ (m) / 対象物までの距離 (km) = 対象のミル角

これを変形すると

対象物までの距離(km)=対象物の幅または高さ(m)/対象物のミル角

例えば、人間戦車の大きさはある程度決まっているため、それらがどの程度のミル角に見えるかで、そこまでの距離も知ることができる。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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