ポルシェ・936
ポルシェ・936(Porsche 936 )は、国際自動車連盟(FIA)が1976年当時定める二座席レーシングカー(競技車両B部門第6グループ)規定に合わせポルシェが製作したレーシングカーである。デビューは1976年。
概要
編集エンジン
編集1974に走った911カレラRSRターボのエンジンを再利用。レギュレーションのターボ係数×1.4で3リットルに収まるよう排気量2,142cc[1]で製作された。空冷の水平対向6気筒[1]エンジンにシングルターボと2バルブで540馬力(403kW)を発生する。
シャーシ
編集オープントップで2人乗り形式の車両はシャーシベースをポルシェ・917と共用し、他の部品も917から流用している。エンジンの上部にある空気取り入れ口はターボエンジンの空気取り入れ口であったが基本的に役に立たず、主にインタークーラー用に使用された。デビュー戦ニュルブルクリンク時のリアウィングは、1976年のGr.6規定に合わせて80センチメートルの高さであったが、ルノーが1975年のGr.5規定の100センチメートルのままで強行出場。次戦モンツァから、936も100センチメートルに継ぎ足した。
派生車
編集1982年に新しいカテゴリとしてグループCがスタートし、ワークスはポルシェ・956を使用したが、クレマー・レーシングやヨースト・レーシングは956を受領するのに1983年まで待たなければならなかった。そのため、この二つのチームはグループCのレギュレーションに合わせるため936に屋根を取り付け、新しいボディシェイプの車を製作した。ヨーストレーシングが作成した車は「936C」、クレマーレーシングの車は「CK5」と名づけられた。
レースでの実績
編集ル・マン24時間レース
編集ル・マン24時間レースには1976年から1981年までエントリーした。
- 1976年のル・マン24時間レースではジャッキー・イクス/ジィズ・ヴァン・レネップ組が優勝した[2]。
- 1977年のル・マン24時間レースではジャッキー・イクス/ユルゲン・バルト/ハーレイ・ヘイウッド組が優勝した[2]。
- 1978年のル・マン24時間レースでは2位を獲得した。[注釈 1]
- 1980年のル・マン24時間レースでも2位を獲得した。
- 1981年のル・マン24時間レースではジャッキー・イクス/デレック・ベル組が936/81で総合優勝した[2]。
引退・後継車
編集1981年の優勝車を使用して新型の排気量2,650ccの935/76型エンジンテストを行ない、1982年に後継車ポルシェ・956に譲った。
注釈
編集- ^ 『われらがポルシェ ポルシェなんでも事典』は最高速度367km/hを記録したとするが、『ル・マン 偉大なる草レースの挑戦者たち』p.301ではこの年の最高速度367km/hを達成したのはルノーである。en:1978 24 Hours of Le Mansには最高速度の記述はない。
出典
編集参考文献
編集- 『われらがポルシェ ポルシェなんでも事典』講談社
- 『ルマン 伝統と日本チームの戦い』グランプリ出版 ISBN 4-87687-161-2
- 黒井尚志『ル・マン 偉大なる草レースの挑戦者たち』集英社 ISBN 4-08-780158-6