ポラリス・キャピタル・グループ
ポラリス・キャピタル・グループ株式会社は、日本のプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)運営会社。
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | 非上場 |
略称 | ポラリス |
本社所在地 |
日本 〒100-6738 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウノースタワー38階 |
設立 | 2004年9月13日 |
業種 | 証券、商品先物取引業 |
法人番号 | 3010001089698 |
事業内容 | 投資事業組合、投資事業有限責任組合財産の運用及び管理、並びに投資事業組合、投資事業有限責任組合への出資 |
代表者 | 代表取締役社長 木村 雄治 |
資本金 | 1億円 |
主要子会社 | Polaris CG Singapore Pte.Ltd.、ポラリス・アドバイザーズ株式会社 |
外部リンク | https://www.polaris-cg.com/ |
概要
編集2004年にみずほ証券と興銀第一ライフ・アセットマネジメント(現アセットマネジメントOne)出資で設立されたプライベート・エクイティファンド運営会社。創業来、オーナー事業承継、大企業の子会社・事業部門の切り出しや非公開化、他のファンドからの買い取り等で40件近くの投資を行い、2022年時点で運用資産は約3,500億円[1]。
沿革
編集- 2004年9月 - ポラリス・プリンシパル・ファイナンス株式会社として、みずほ証券が50%、興銀第一ライフ・アセットマネジメントが50%出資し、資本金2億円で設立[2]
- 2004年11月 - ポラリス1号ファンド(出資総額296億円)設立
- 2007年11月 - ポラリス2号ファンド(出資総額319億円)設立
- 2010年3月 - ポラリス・キャピタル・グループに社名変更[3]
- 2011年10月 - 大阪支社開設[4]
- 2012年7月 - ポラリス3号ファンド(出資総額391億円)設立
- 2016年12月 - ポラリス4号ファンド(出資総額376.5億円)設立、海外ファンドを併せると750億円[5]
- 2019年11月 - ポラリス5号ファンド(出資総額497.5億円)設立、海外ファンドを併せると1,500億円[6]
投資実績
編集※社名は、いずれも出資時の企業名である。
1号ファンド
編集- スマイル[7]
- ドラッグイレブン[8] - 2007年、全株式をJR九州へ譲渡[9]
- 大興製紙[10] - 2015年、全株式を経営陣等に譲渡
- キューサイ[11] - 2010年、全株式をコカ・コーラウエストへ譲渡
- トップツアー[12] - 2013年、全株式を東武鉄道へ譲渡
- 駅探[13] - 2011年、東京証券取引所上場時に株式売却
2号ファンド
編集- 日本オイルポンプ[14] - 2013年、ウェンデル(フランスの投資業)へ譲渡
- カロナール(共同出資)[15] - 2012年、ユニゾン・キャピタルへ譲渡[16]
- オークネット[17] - 2017年、東京証券取引所再上場時に株式売却
- サムカワフードプランニング[18] - 2013年、クリエイト・レストランツ・ホールディングスへ譲渡
- ワークスアプリケーションズ[19] - 2017年、全株式をACAインベストメントへ譲渡(下項参照)
- 関東運輸[20] - 2015年、全株式をセイノーホールディングスへ譲渡
- VOYAGE GROUP[21] - 2014年、東京証券取引所上場時に株式売却
- マイランド[22]
3号ファンド
編集- ソシエ・ワールド[23]
- クリーンサアフェイス技術[24]
- 江戸一[25]
- ファクトリージャパングループ[26]
- LYKAON[27]
- AimedicMMT[28]
- 淀川変圧器[29]
- AIメカテック[30]
- ハイビック[31]
- ノバレーゼ[32]
4号ファンド
編集- BAKE[33]
- エルビー[34]
- FCNTおよびジャパン・イーエム・ソリューションズ[35]
- オーネット[36]
- トキコシステムソリューションズ[37]
- HITOWAホールディングス[38]
- i-PRO[39]
5号ファンド
編集- 総合メディカル[40]
- ジオテクノロジーズ[41]
- リンクステック[42]
- スペースバリューホールディングス[43]
- エクラシアHD[44]
- ソーシャルインクルー[45]
- 宣伝会議およびマスメディアン[46]
投資失敗事例
編集- 株式会社フーセンウサギ 投資時期 2006年5月 自己破綻 2013年10月[47]2006年6月にポラリスが第三者割当増資および創業者一族からの株式買い取りにより100%子会社とした[48]。経営改善により株式公開を目論み、資産整理や直営販売から量販店経由に転換などを行うも、売り上げは伸びず赤字を計上し続け、2013年9月に支払い遅延を起こし、同年10月15日大阪地裁に自己破産を申し立てた[48]。
- FCNT株式会社 投資時期 2018年1月 民事再生法適用申請 2023年5月30日[49]。2023年5月30日に、ポラリス社が2018年に投資し、富士通グループから切り離された、携帯電話端末を販売を主な事業とするFCNTが、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請した[49]。FCNTは「らくらくホン」などのヒットでスマートホン市場では日本3位のシェアを誇っていたが、ポラリス買収後も続いた海外勢を含んだ競合と共に、ポラリスが再生計画での収益化の前提の為替レートを1ドル=120円と見積もり、それを超える円安が進むという、コスト計算の見誤りもあり、2022年3月期まで赤字を続けた後に倒産に至った[50]。
紛争中
編集- 株式会社ワークスアプリケーションズ
- 2011年にマネジメントバイアウト(経営陣による上場株式の買い取り)で非上場化。2017年 シンガポール拠点の日系ファンドACAに売却したが、直後に統合基幹業務システム部門で多額損失が発生するなどして、同社は経営難に陥る。ACAはポラリスに全面的な賠償を要求。一審判断はポラリス側の責任が約5700万円程度に収まるものだったが、2023年7月現在も東京高裁で係属中である[51]。
不祥事
編集当時の社員が、同社による総合メディカルホールディングス株式会社と株式会社スペースバリューホールディングスに対する株式公開買い付け情報を基に、それぞれ公表前の2019年12月と2021年9月頃に株を買い付けたとして、証券取引等監視委員会は、金融商品取引法違反(インサイダー取引)の疑いで、同社の元社員を東京地検に2022年3月3日に告発した。東京地検特捜部は同年3月6日にインサイダー取引の罪でこの元社員を在宅起訴した[52][53][54][55][56]。
メディアの反応として、FACTAは「企業の秘密を扱うPEファンドにとって社員のインサイダー取引は致命的」、会社四季報オンラインは表題で「異常事態」などと批判を行った[51][57]。
ポラリスは、上記インサイダー事件を受けて、2023年5月10日に「特別調査委員会による調査結果報告及び当社の再発防止策について」という文書をホームページに掲載し、「社内規定の管理」、「研修の改善」などの再発防止策を提示した[58]。
脚注
編集- ^ “マネジメントメッセージ”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社. 2023年11月12日閲覧。
- ^ プライベートエクイティファンド運営会社「ポラリス・プリンシパル・ファイナンス株式会社」の設立について
- ^ 社名変更並びに事務所移転のお知らせ
- ^ ポラリス大阪支社移設と本格的営業活動開始について
- ^ 『「ポラリス第四号投資事業有限責任組合」の募集完了について (PDF)』(プレスリリース)、ポラリス・キャピタル・グループ株式会社、2017年4月27日。2023年11月27日閲覧。
- ^ 『「ポラリス第五号投資事業有限責任組合」の募集完了について (PDF)』(プレスリリース)、ポラリス・キャピタル・グループ株式会社、2020年12月1日。2023年11月27日閲覧。
- ^ “株式会社スマイルの株式取得について”. ポラリス・プリンシパル・ファイナンス株式会社 (2005年10月11日). 2023年11月25日閲覧。)
- ^ 『株式会社ドラッグイレブンホールディングスの株式取得について (PDF)』(プレスリリース)、ポラリス・プリンシパル・ファイナンス株式会社、2006年3月10日。2024年2月9日閲覧。
- ^ 『株式会社ドラッグイレブンホールディングスの株式譲渡について (PDF)』(プレスリリース)、ポラリス・プリンシパル・ファイナンス株式会社、2007年4月27日。2024年2月9日閲覧。
- ^ “大興製紙株式会社に対する公開買付けの結果に関するお知らせ”. ポラリス・プリンシパル・ファイナンス株式会社 (2006年9月6日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “キューサイ株式会社に対するグリーン・パートナーズB株式会社を通じた資本参加について”. ポラリス・プリンシパル・ファイナンス株式会社 (2006年12月20日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “トップツアー株式会社の株式取得について”. ポラリス・プリンシパル・ファイナンス株式会社 (2007年9月28日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “株式会社駅前探険倶楽部のマネジメント・バイアウト(MBO)について”. ポラリス・プリンシパル・ファイナンス株式会社 (2007年10月9日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “日本オイルポンプグループの株式取得について”. ポラリス・プリンシパル・ファイナンス株式会社 (2008年3月21日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “カロナール株式会社の株式取得について”. ポラリス・プリンシパル・ファイナンス株式会社 (2008年4月22日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “昭和薬品化工株式会社株式譲渡について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2012年5月9日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “株式会社オークネットのマネジメント・バイアウト(MBO)について”. ポラリス・プリンシパル・ファイナンス株式会社 (2008年5月27日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “サムカワフードプランニング株式会社の株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2010年12月27日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “株式会社ワークスアプリケーションズ株券等に対する公開買付けの結果に関するお知らせ”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2011年3月16日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “関東運輸グループの株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2011年11月30日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “株式会社VOYAGE GROUPのマネジメント・バイアウト(MBO)について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2012年5月31日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “株式会社マイランドの第三者割当増資引受けについて”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2012年7月31日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “株式会社ソシエ・ワールドの株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2013年4月2日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “クリーンサアフェイス技術株式会社の株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2014年3月10日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “株式会社江戸一の株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2014年8月28日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “株式会社ファクトリージャパングループの株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2015年6月12日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “LYKAON 株式会社の株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2015年11月30日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “株式会社アイメディック及び株式会社エム・エム・ティーの株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2016年2月12日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “淀川変圧器株式会社の株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2016年3月15日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “日立製作所の液晶パネル等製造装置事業を承継する新設会社の株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2016年3月11日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “ハイビック株式会社の株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2016年7月20日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “株式会社ノバレーゼに対する公開買付けについて”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2016年9月1日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “株式会社 BAKE の株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2017年7月31日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “株式会社エルビーの株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2017年11月2日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “携帯端末事業の再編に関する株式譲渡契約の締結について”. 富士通株式会社・ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2018年1月31日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “株式会社オーネットの株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2018年11月28日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “日立オートモティブシステムズメジャメント株式会社の株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2018年12月26日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “ポラリス第四号投資事業有限責任組合等によるCVC キャピタル・パートナーズ・アジア・ファンド IV 及びその他株主からのHITOWA ホールディングス株式会社の 100%株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社・CVC キャピタル・パートナーズ (2019年2月5日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “パナソニックとのセキュリティシステム事業に関する戦略的資本提携について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2019年5月31日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “総合メディカルホールディングス株式会社に対する公開買付けについて”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2020年2月5日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “インクリメント・ピー株式会社の全事業等の譲受について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2021年3月10日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “昭和電工マテリアルズ及びその子会社が営むプリント配線板事業の譲受について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2021年6月7日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “株式会社スペースバリューホールディングスに対する公開買付けについて”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2021年11月12日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “ウェルオフグループの株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2022年5月6日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “ソーシャルインクルーの株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2022年10月7日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “宣伝会議及びマスメディアンの株式取得について”. ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 (2023年3月22日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ “フーセンウサギ/自己破産で負債30億”. 流通ニュース. (2013年10月15日) 2023年6月6日閲覧。
- ^ a b 「縮まる子供服市場、明暗二極化進む〜迫られる販売チャネルの変化、PBや海外展開に活路も」『Business Journal』2013年12月16日。2023年8月7日閲覧。
- ^ a b 「「arrows」「らくらくスマートフォン」のFCNTなど3社が民事再生」『産経新聞』2023年5月30日。2023年12月30日閲覧。
- ^ 小林佳樹「「らくらくホン」で知られるFCNT倒産の裏側 大幅な円安で再生計画が瓦解」『日刊ゲンダイDIGITAL』2023年7月8日。(要登録)
- ^ a b 「小谷真生子が社外取締役のポラリス「破廉恥」事件」『FACTA』2023年5月号。2024年2月9日閲覧。(要登録)
- ^ 「投資ファンドのポラリス元社員を告発、インサイダー容疑」『日本経済新聞』2023年3月3日。2024年2月9日閲覧。(要登録)
- ^ 証券取引等監視委員会『総合メディカルホールディングス株式会社株券及び株式会社スペースバリューホールディングス株券に係る内部者取引事件の告発について』2023年3月3日。2024年2月9日閲覧。
- ^ 「投資ファンド元社員を告発 TOB情報、インサイダー疑い―監視委」『時事ドットコム』2023年3月3日。2023年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月4日閲覧。
- ^ 『当社元社員に対する内部者取引事件告発について (PDF)』(プレスリリース)、ポラリス・キャピタル・グループ株式会社、2023年3月3日。2024年2月9日閲覧。
- ^ 「インサイダー取引、投資会社元社員を起訴 東京地検特捜部」『産経新聞』2023年3月6日。2023年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月7日閲覧。
- ^ 川辺和将「激録 証券監視委24時PEファンド社員が自ら「インサイダー」疑惑の異常事態 証券監視委が異例の刑事告発」『会社四季報オンライン』東洋経済新報社、2023年3月21日。2023年12月30日閲覧。
- ^ 『特別調査委員会による調査結果報告及び当社の再発防止策について (PDF)』(プレスリリース)、ポラリス・キャピタル・グループ株式会社、2023年5月10日。