ポタージュ

フランス料理におけるスープ

ポタージュ (potage) は、フランス語フランス料理が確立する過程で洗練されたスープ全般を指す語であり[1]、古くからの郷土料理の色彩の濃いものとは区別される。日本ではスープ類のうち、とろみのついたものはポタージュ、澄んだものはコンソメと呼ばれる[1]エスコフィエはその著書の中である美食家の意見を引用し、コース料理におけるポタージュの位置づけを重要なものとしている[2]

概要

編集

鍋で素材を煮込んブイヨンを作ることに由来する。フランスでスープからポタージュが別れた過程については、スープの項目を参照のこと。

分類

編集

つなぎを使った、とろみのついたものを「ポタージュ・リエ (potage lié)」、澄んだものは「ポタージュ・クレール (potage clair)」と呼ぶ[1]

ポタージュ・クレール (potage clair)
澄んだスープ
ショー (chaud)
温かいもの
フロワ (froid)
冷たいもの
ジュレ (en gelée)
ゼリー状のもの
ポタージュ・リエ (potage lié)
とろみのあるスープ
 
ピュレ(カボチャ)
ピュレ (purée)
ジャガイモトウモロコシカボチャなど、デンプン質を含む野菜をブイヨンで煮込んだ後、裏漉しまたはミキサーピューレ状にし、生クリーム牛乳を加えたもの
クレーム (crème)
小麦粉バターでいためたルウを使ってとろみをつけたもの。仕上げに生クリームを使う。デンプン質の少ない野菜に用いる。
ヴルーテ (velouté)
卵黄や生クリームを使ってとろみをつけたもの
スープ (soupe)
もともとは肉や野菜のごった煮に入れて食べる、パンのこと。現在では田舎風の、素朴なスープを指して言う。
ビスク (bisque)
エビカニなど甲殻類から出汁をとり (ソース・アメリケーヌ、Sauce Américaineの素にもなる)、これをベースにしたもの


上記の分類は絶対的なものではなく、調理法、材料、地方などによって様々に異なる。例えばミネストローネ)、クラムチャウダー)、ボルシチ)、ガスパチョ西)、味噌汁)などを「外国のスープ」(potage étranger) として「ポタージュ」の範囲内で分類することもある[要出典]

様々な「ポタージュ」

編集

日本での製品

編集

日本においては家庭やレストランで作る他、粉末顆粒缶詰レトルトなど様々な製品が販売されている。農林水産省の統計によれば、2006年の日本のスープ製品の生産額は乾燥のポタージュ(ここでのポタージュ類は便宜上、日本の慣習に従った定義・呼称を用いる)が33%、乾燥のコンソメが15%、缶詰、チルドなどその他が52%であった[3]

脚注

編集
  1. ^ a b c 宇田川 et al. 2007, p. 619
  2. ^ 小笠原 1991, p. 68
  3. ^ 食料品生産実態調査結果(スープ類生産実績)”. 農林水産省 (2008年3月6日). 2021年11月29日閲覧。

参考文献

編集
  • 宇田川政喜; 遠藤智子; 加藤綾子; 橋村弘美 著、日仏料理協会 編『フランス 食の事典(普及版)』株式会社白水社、2007年。ISBN 978-4-560-09202-6 
  • 小笠原規子「A. EscoffierのLe Guide Culinaire -フランス料理のバイブル-」『研究紀要. 第三分冊, 短期大学部(II)』、聖徳大学、63-72頁、1991年。ISSN 09166661https://cir.nii.ac.jp/crid/1571135651805891712 

関連項目

編集