ペロンの公式
数学、特に解析的整数論におけるペロンの公式(ペロンのこうしき、英: Perron's formula)とは、オスカー・ペロンによる、逆メリン変換を用いて数論的関数の和を計算する公式である。
主張
編集- を数論的関数(つまり複素数の列)とし、
- 実数 に対し
- と定義する。ここでプライムのついた和記号は、 が自然数のときは最後の項に限り 1/2 を掛けて和をとることを意味する。
このときペロンの公式は、
証明のスケッチ
編集において とおき、
とすると だから右辺第1項は消えて
変数変換 をして変形すると、
この右辺はラプラス変換そのものである。よって逆ラプラス変換[注釈 1]により
例
編集ディリクレ級数との関連から、ペロンの公式(もしくは証明のスケッチに現れた等式)は数論的な和に関してよく用いられる。
- リーマンゼータ関数は半平面 で
- とディリクレ級数表示され、このとき より (床関数)となり
- 一般にディリクレのL-関数に対しては、
- 他にも、Mertens関数(1から n までのメビウス関数の和)の値をリーマンゼータ関数の複素積分で表したり、チェビシェフ関数(フォン・マンゴルト関数の和)を含む積分値をリーマンゼータ関数を使った比で表示するといった応用がある。
一般化
編集ペロンの公式はメリンの離散的畳み込みの特別な場合である。
ここで とし、 はメリン変換である。
試験関数を ( はヘヴィサイドの階段関数)と選ぶとペロンの公式が得られる。
脚注
編集参考文献
編集- Page 243 of Apostol, Tom M. (1976), Introduction to analytic number theory, Undergraduate Texts in Mathematics, New York-Heidelberg: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-90163-3, MR0434929, Zbl 0335.10001
- Weisstein, Eric W. "Perron's formula". mathworld.wolfram.com (英語).
- Tenenbaum, Gérald C.B. Thomas訳 (1995). Introduction to analytic and probabilistic number theory. Cambridge Studies in Advanced Mathematics. 46. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 0-521-41261-7. Zbl 0831.11001