ヘキサメチルインダノピラン

ヘキサメチルインダノピラン(英: Hexamethylindanopyran)は合成ムスクの一つ。IUPAC名では4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、別称HHCBと呼ばれる。一般的にはガラクソリド(IFFの商標名)の名称で知られる。

ヘキサメチルインダノピラン
Hexamethylindanopyran
識別情報
CAS登録番号 1222-05-5
PubChem 91497
EC番号 214-946-9
特性
化学式 C18H26O
モル質量 258.4 g mol−1
外観 無色の粘性液体
匂い ムスク香
融点

°C, 273 K, 32 °F

への溶解度 不溶
溶解度 水に不溶、アルコール、油類に可溶。
蒸気圧 0.000545 mmHg
危険性
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
引火点 157℃
半数致死量 LD50 >3000mg/kg(ラット経口)
>3250 mg/kg(ウサギ経皮)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

概要

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1965年に初めて合成されたイソクロマン合成ムスクの一つで、ムスク香を有するほぼ無色の粘性液体である。光や熱に対して高い安定性を有している。流通しているものは主成分と異性体の混合体で、扱いやすいよう安息香酸ベンジルミリスチン酸イソプロピルで希釈したものが主に使用される。[1]

用途

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安定性の高さからクリーム、ローション、石鹸など幅広い用途の香料に用いられる。

安全性

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日本の消防法では危険物第4類第3石油類に分類される[2]。生態影響への懸念の可能性から、化審法の優先評価化学物質に指定されており、評価が進められている。また、2021年の化学物質排出把握管理促進法改正により、第一種指定化学物質の指定となったことから2023年4月以降はPRTR制度の対象となる。

急性毒性は経口で>3000mg/kg、経皮で>3250mg/kg[3]であり、GHS分類では水生環境有害性が短期、長期共に区分1となる[4]

出典

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  1. ^ 『合成香料 科学と商品知識』化学工業日報社、2005年。 
  2. ^ 職場のあんぜんサイト:化学物質:4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[gイソクロメン]”. anzeninfo.mhlw.go.jp. 2022年1月9日閲覧。
  3. ^ Registration Dossier - ECHA” (英語). echa.europa.eu. 2022年1月9日閲覧。
  4. ^ C&L Inventory”. echa.europa.eu. 2022年1月9日閲覧。