プロジェクト:オランダ/地名のカタカナ表記法

この文書は、ウィキペディア日本語版におけるオランダの地名表記方法について、どの表記を採用するかを決めるための一定の指針となることを目的とします。ウィキペディア内の他の分野の表記をこの規則に従って統一することは想定されていません。なお、ここで説明されるのは現代の地名であって、歴史上の地名については扱っていません

この文章は、プロジェクト:オランダの中で扱われるマニュアルのうちの一つです。

基本原則

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オランダの地名は原音表記を用いるのを基本とする

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Wikipedia:外来語表記法/オランダ語に示されている表記法が基本となります。その中で複数の候補が考えられる場合、Wikipedia:外来語表記法に示されているように原語表記への流れは止めようがないと解説されているため、新しい表記への抵抗感が強いと思う場合を除いては原音で表記することを考えてみてください。

原音表記は、Wikipedia:外来語表記法/オランダ語の原音を重視した表記例で示されているものを参考にしてください。開音節で延ばすべきかどうか(例:フォーレンダムかフォレンダムか)や、ゆらぎのある音(例:ライデンかレイデンか)をどちらにすべきかなどは、文献での実際の使用例なども考慮して決めるのが望ましいでしょう。

慣用表記・学術文献表記も考慮に値する

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慣用的な表記や学術的に決まっている表記がある場合は、そちらを優先するという判断も出来ると思います。これら出展を元にした場合は、ノートページになぜその表記を採用したのかを説明しておくと、後日改名が提起される可能性を減らせると思います。

現在まで、オランダの地名で議論になり一定の方向性を得ているものは、「慣用表記・専門表記が広く一般化しているとともに、原音表記にまだ抵抗感がある」ため、いまのところ原音表記を採用しないという意見です。慣用表記としてよく挙がるのが、オランダ政府観光局や旅行ガイドブックですので、次にこれらの文献においてどのような表記となっているのかを、地球の歩き方の「章」で取り上げられている基礎自治体名を中心にまとめたものを掲載します。

オランダ語 オランダ政府観光局 地球の歩き方 Google最頻出 文献1
Amsterdam アムステルダム アムステルダム アムステルダム
Edam エダム エダム エダム
Zaanse Schans ザーンセ・スカンス ザーンセ・スカンス ザーンセ・スカンス
Volendam フォーレンダム フォーレンダム フォーレンダム>フォレンダム
Haarlem ハーレム ハーレム ハーレム>ハールレム ハールレム
Alkmaar アルクマール アルクマール アルクマール
Hoorn ホールン ホールン ホールン
Enkhuizen エンクハイゼン、エンクハウゼン エンクハイゼン エンクハイゼン>エンクハイセン
Texel テクセル テクセル>テセル
Muiden マウデン マウデン マウデン>マイデン
Naarden ナールデン ナールデン ナールデン
Rotterdam ロッテルダム ロッテルダム ロッテルダム
Gouda ゴーダ ゴーダ ゴーダ>ハウダ
Dordrecht ドルドレヒト ドルドレヒト ドルドレヒト>ドルトレヒト
Den Haag ハーグ デン・ハーグ ハーグ>デン・ハーグ>ハーフ スフラーヴェンハーヘ
Delft デルフト デルフト デルフト
Leiden ライデン ライデン ライデン>レイデン
Maastricht マーストリヒト マーストリヒト マーストリヒト マーストリヒト
Thorn トールン トールン トールン
Middelburg ミデルブルグ ミデルブルグ ミデルブルグ>ミデルブルフ ミデルブルフ
Breda ブレダ ブレダ ブレダ
Utrecht ユトレヒト ユトレヒト ユトレヒト ユトレヒト
Arnhem アーネム アーネム アーネム>アルネム アルネム
Apeldoorn アペルドールン アペルドールン アペルドールン
Giethoorn ヒートホールン ヒートホールン ヒートホールン
Leeuwarden レーワルデン レーワルデン レーワルデン レーヴァルデン
Groningen フローニンゲン グローニンゲン フローニンゲン>グローニンゲン フローニンゲン
Assen アッセン アッセン アッセン>アセン アセン
Zwolle ズウォーレ ズウォーレ ズウォレ
Lelystad レリースタッド (サンプル数少ない) レーリスタット
's-Hertogenbosch デン・ボシュ デン・ボス>スヘルトーヘンボス>セルトーヘンボス セルトーヘンボス

※ 文献1 - 三修社 ゼロから話せるオランダ語 ISBN 978-4-384-05472-9


次に、地名表現でよく使われる単語について、原音表記を用いる場合の表記例の統一例を示します。

オランダ語 統一案 文献1 文献2 オランダ政府観光局 Google頻出順 単語例と読みの統一例
nieuwe (形容詞) ニューウェ / 新 ニーヴェ ニューウェ ニュー>ニューウェ nieuwe kerk = ニューウェ・ケルク
oude (形容詞) アウデ / 旧 アウデ アウデ アウデ oude kerk = アウデ・ケルク
grote (形容詞) フローテ / 大 フローテ グローテ>フローテ grote markt = フローテ・マルクト
kleine (形容詞) クレイネ / 小 クレイネ
-stad (接尾語) スタット スタット スタット
sint シント / 聖 スィント シント>スィント Sint-Nicolaas = シント・ニコラース

※ 文献1 - 三修社 ゼロから話せるオランダ語 ISBN 978-4-384-05472-9
※ 文献2 - 白水社 CDエクスプレス・オランダ語 ISBN 978-4-560-00575-0

どの表記が正しい・間違っているかは論じない

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Wikipedia:外来語表記法によればどれをもって正しいとするかの判断はWikipedia:中立的な観点に基づき行わないとされていることを尊重し、オランダの地名表記に疑義があり議論を行う場合、「この表記は間違っている」「この表記が正しい」という論調をすることは避けてください。特定の表記を「正しい」とか「間違っている」と決め付けることは、不必要な感情的対立を生む危険の大きいものです。

オランダ語に限らず、他言語のカタカナ転写表記にあたってはいろいろな考え方があり、表記をめぐる対立では多くの場合、それぞれ異なる考え方によって異なる「正しさ」があります。Wikipedia:検証可能性を満たす表記は、全て検討に値するものであり、その候補の中から相対的に百科事典としてふさわしい候補を選ぶ作業を、私たち執筆者がしているに過ぎません。

関連項目等

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