ブチャの虐殺

キーウ近郊のブチャで2022年3月に発生したとされる大量虐殺

ブチャの虐殺(ブチャのぎゃくさつ、ウクライナ語: Бучанська різанина英語: Bucha massacre)は、ウクライナ侵攻初頭の2022年3月にウクライナキーウ(キエフ)近郊のブチャとその周辺でロシア軍民間人殺害したとされる事件。

ブチャの虐殺
場所 ウクライナの旗 ウクライナ キーウ州ブチャイルピンほか
日付 2022年2月27日 - 2022年3月30日
標的 民間人
死亡者 1400人以上(ウクライナ側の発表)[1]
容疑者  ロシア軍
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ウクライナの検察当局によると、ウクライナ軍が奪還したブチャを含むキーウ近郊の複数の地域から、計410人の犠牲者が発見されたとした[2][3]。また国際連合人権高等弁務官事務所によると73人の民間人の殺害を確認したとしている[4][5]。ブチャ解放1年後の2023年3月時点で、1400人以上が殺害されたと推計している[1]

ウクライナのほか欧米や国際人権団体が戦時国際法違反と非難しているが、ロシア連邦政府は関与を否定している[6]

ロシア国連安保理事会を開催してキーウ近郊のブチャで行われたロシア政府が言うところの「ウクライナの兵士及び過激派による犯罪行為」を議論することも求めたが、議長国であるイギリスは予定されていたウクライナに関する協議を日程通り開催した。ウクライナ当局はロシア軍が同地域から撤退した後、首都キエフ郊外の町中に数百人の遺体が散乱しているのを発見したことを受け、ロシアによる戦争犯罪の可能性を調査していると発表した[7]。2022年のヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書は、これと同じことがウクライナの他の多くの地域でも観察されており、したがってロシア軍による一貫した慣行であると指摘した。[8]

国連人権理事会が設置した調査委員会は2023年3月、ロシアによる民間人への攻撃や虐殺、それに子どもの連れ去りなど戦争犯罪にあたる行為が確認されたとする報告書を公開した[9]

ブチャ事件(ブチャじけん)とも呼ばれる[10]

概要

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ブチャ
 
キーウ
キーウ州におけるブチャの位置

2月17日アメリカバイデン大統領はロシアはウクライナ侵攻を決断したと「確信」していると述べた。ロシアは2022年2月24日にウクライナへの攻撃を開始し、ブチャ住民の証言によれば、ロシア軍は2月27日に同市へ侵攻し[11]、その後約1か月間にわたりブチャを占拠していた[12][13]。ウクライナ軍は激しい抵抗・反撃を行い、ロシア国防省によれば、ロシア軍は3月30日にブチャを完全撤退した[14]。ブチャ市長のアナトリー・フェドルクウクライナ語版4月1日、「3月31日は、私たちの街の歴史に刻まれるだろう。ロシア軍から解放された日として」と述べ、3月31日にブチャを奪還したと発表した[15][16]。その後ウクライナ政府は4月2日、ブチャを含むキーウ州全域をロシア軍から解放したと発表した[12]。その後ブチャに入ったAFP(フランス通信社)などの記者によって、民間人とみられる多数の遺体やそれらを埋葬したとみられる集団墓地が確認された[13]

ウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキー4月3日アメリカ合衆国のテレビネットワークCBSの番組で、ロシア軍による一連の行動はジェノサイドであると主張した[2]イギリス首相ボリス・ジョンソンは声明で「プーチンとその軍団による新たな戦争犯罪だ」と激しく非難し、経済制裁やウクライナへの軍事支援を強化する考えを示した[2]。一方、ロシア国防省は4月3日、「市民の誰一人としてロシア軍による暴力を受けていない」とロシア軍の関与を一切否定し、殺害された人々の映像や写真は「ウクライナ側による挑発だ」と主張した[2]。ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使も4日、ブチャで撮影された遺体はロシア軍撤退前にはなかったと記者団に述べ、「遺体は突然、路上に現れた」「一部は動いていたり息をしたりしていた」「ウクライナ側が情報戦争を仕掛けた」としていた[17]。しかし、アメリカの宇宙技術会社マクサー・テクノロジーズが、ブチャがロシア軍占領下にあった3月半ばに撮影し、4月4日に公開した衛星画像でも民間人と見られる遺体が確認された[17]。『ニューヨーク・タイムズ』は4月1日と2日に撮影された動画と衛星画像を比較し、遺体の多くが少なくとも3週間放置されていたと結論付けた[17]

4月5日、ゼレンスキー大統領は国際連合安全保障理事会での演説の中で、今回の件は「第二次世界大戦以降、最も恐ろしい戦争犯罪」であるとしてロシアを改めて非難した[18]。また、衛星写真などを基にすることで「全面的かつ透明性のある調査を行うことができる」と語り、虐殺に関与した人物を処罰するため国際刑事裁判所などと協力する意向を表明した[18]。さらに、安保理常任理事国のロシアによる拒否権行使により安全保障理事会が機能していないことについて「拒否権を死をもたらす権利に変えようとしている」と訴え、常任理事国による行使の制限を求めた[19]国際連合憲章に基づくと、国連総会で投票国の3分の2の合意があればロシアを常任理事国から解任することは可能である[20]。ただしその決議の批准国には全ての常任理事国の賛成が必要であり、当然その投票に拒否権を行使することが可能であるため、現実的には不可能である。

ブチャ解放から一周年の2023年3月31日に開かれた追悼式典で、ウクライナのゼレンスキー大統領は「世界はこの街のことを忘れない。我々はあなた方のことを決して忘れさせない」、また「我々は決して許さない。全ての犯罪者に罰を与える」と演説し、ブチャ解放戦に従軍した兵士を表彰した。

東欧諸国のうち4カ国(モルドバスロバキアスロベニアクロアチア)の大統領・首相も参列した[21][1]

関与が疑われているロシア軍の部隊

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4月4日、ウクライナ国防省情報総局はブチャでの虐殺に関与した可能性があるロシア兵1,600人余りの名簿を公開した[22]。名簿には、氏名や階級、生年月日などが記載されており、ウクライナ政府は戦争犯罪に関わったロシア軍の兵士を今後特定し、追及する姿勢を示した。[23]。ウクライナのボランティア団体であるInformNapalm英語版は、ブチャで撮った部隊の写真をTwitterで公開したヤクート人などからなる極東地域ハバロフスク地方露中露朝国境付近に駐屯する、前述の第64独立自動車化狙撃旅団が虐殺に関与したと主張している。なお大半の兵士は「スラヴ系白人」である[24]。また、ブチャの住民は、ロシア軍ではなく、モスクワから来た年配のロシア人からなるロシア連邦保安庁(FSB)の特殊部隊がブチャに入ってから虐殺が始まったと証言している[25]。ブチャ市長のフェドルクは、ラムザン・カディロフ率いるチェチェン部隊やブリヤート人の関与を指摘した[26]

4月18日、ロシア大統領府は、プーチン大統領が、ブチャでの虐殺に関与したとされるロシア陸軍第64独立自動車化狙撃旅団に対し、「親衛隊」の名誉称号を授与する大統領令に署名したと発表した。プーチンは同日付の書簡で、同狙撃旅団が「祖国を防衛し、ロシアの主権と国益を守る」ために示した「特別な功績、偉大な英雄行為と勇気」を称賛した[27][28]

6月29日、アメリカ合衆国財務省は第64独立自動車化狙撃旅団と第76親衛空挺師団 (ロシア空挺軍)の第234親衛空襲連隊に制裁を科した。第76親衛空挺師団は民間人の処刑や拘留者への殴打に関与し、第234親衛空中機動連隊はブチャの家屋などの民間財産の破壊に直接関与していたとしている[29][30]

ウクライナの検察は2023年3月31日時点で、関与が疑われるロシア兵約100人のうち35人を起訴済みで、コスティン検事総長は、虐殺が「ウクライナの国家と国民を破壊しようとする戦略の一環」「犯罪者が判決を受けるまで、我々は歩みを止めない」と語った[1]

被害

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ブチャに入ったAFP通信の記者は「静かな並木道に、見渡す限り遺体が散乱していた」と伝えた[31]。記者が確認した約20人の遺体は、いずれもジーンズスニーカーなどを身に着けており、軍人には見えない服装だった[31]イギリスサンデー・タイムズは、ブチャの民家の地下室で、両手両足を縛られ切断された子どもを含む男女18人の遺体が見つかったと報道した[31][32]。遺体の一部は耳が切り取られ、ほかは歯が抜かれていた[33]キーウ・インディペンデント英語版が発表したレポートには、ロシア兵が道路脇で焼こうとした毛布の下の男性と2、3人の裸の女性の写真が含まれていた[34]。ウクライナ当局は、女性は強姦され遺体は焼かれたと述べた[35]。イギリスの『ガーディアン』は、ロシア軍が移動中にウクライナの子供たちを車両に乗せ、人間の盾として使用したとする目撃証言を報道した[36]。『ガーディアン』によれば、3月5日、逃げようとする2家族が乗った一対の車がチカロヴァ通りに入ったところをロシア兵に発見され、殺害されていた[37]AP通信は、ブチャ住民の話として、ロシア軍が地下の防空壕に潜入して住民のスマートフォンを調べ、SNSの履歴などから反ロシア的であると判断した人を射殺したり連れ去ったりしたと報道した[2]

地元の医療関係者によると、3月13日の時点で67人の犠牲者が出ていたという[16]。ロシア軍の撤退前の3月28日付の記事で、ブチャ市長のフェドルクは「第二次世界大戦中にナチスが行った犯罪として聞いたあらゆる恐怖を、ここブチャで目にしている」と述べ、ロシア兵による虐殺があったと指摘している[38]。ブチャ市長のフェドルクは4月3日、民間人約280人を集団墓地に埋葬したと述べた[13]。亡くなった民間人の数は集計中であり、フェドルクによればブチャだけで320人にのぼるという[26]

12月21日、『ニューヨーク・タイムズ』はヤブロンスカ通り沿いの犠牲者のうち、36人の身元を特定したとする記事を掲載。犠牲者の家族や友人・同僚に取材して人物を特定し、衛星画像・携帯電話のビデオ・SNSの投稿・テキストメッセージから犠牲者の最期の瞬間を辿る内容となっている[39]。関与した22名の兵士も特定している[40]

反応

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欧州議会本会議で1分間の黙とうを捧げる出席者(2022年4月4日)
 
ブチャを視察するフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長ボレル欧州連合外務・安全保障政策上級代表、スロバキアのへゲル首相、ウクライナのシュミハリ首相(2022年4月8日)[41][42]

国際機関

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国家・地域

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  •   日本 - 岸田文雄首相は、「民間人に危害を加える国際法違反の行為については厳しく批判する」と強調した。ロシアへの追加制裁については「全体の状況を見ながら国際社会と連携をし、日本としてやるべきことを行っていきたい」と述べた[47]林芳正外務大臣[48]は、「極めて凄惨な行為で、無辜の民間人の殺害は断じて許されない」としロシアを厳しく非難した[49]。さらに松野博一内閣官房長官[50]は「多数の無辜の民間人の殺害は重大な国際人道法違反であり、戦争犯罪だ。処罰されなければならない」と、日本国政府関係者では初めてロシアの行為を「戦争犯罪」と明言した[51]茂木敏充自民党幹事長は、「民間人を殺害することは国際人道法に違反する問題だ」と批判し、さらにプーチン大統領を念頭に「定義にもよるが、戦争犯罪者と呼んでもいいのではないか」と発言し、「こういった(ロシアの)行為は断固として許されるべきではない。それに対する代償が伴うということで、必要な制裁は検討すべきだ」と制裁強化の可能性を明言した[52]。翌2023年3月21日の岸田文雄のウクライナ訪問でもブチャで献花が行なわれた。
  •   アイルランド - サイモン・コベニー英語版外務大臣は、「ロシア軍の残虐行為による衝撃的な光景は、完全に記録され、国際法廷によって追及されなければならない」と述べ、このような戦争犯罪に対して「不処罰」はあり得ないと述べた[54]
  •   アルバニア - オルタ・ジャチカ英語版外務大臣は、「解放されたウクライナの都市の通りに散乱する市民の遺体の画像、文書化された強姦の話、町全体の衝撃的な破壊は、ロシア政権の真の犯罪性をこれまでで最も明確に示している」と述べ、犯罪に対する適切な調査を求めた。さらに、「世界は行動しなければならない…アルバニアは同盟国と協力して、これらの犯罪が適切に立証され調査できるようにする」と付け加えた[56]
  •   イギリス - リズ・トラス外相は、「ブチャやウクライナの他の町での残虐行為に愕然とした」「ロシア軍が罪のない市民を標的にしたという報告は忌まわしいものだ」と述べた。また、責任者は責任を取らされるだろうと述べた[57]
  •   イスラエル - イスラエルの駐ウクライナ大使は、これを戦争犯罪と呼んだ[58]。イスラエルのヤイル・ラピド外相は、この大虐殺を強く非難し、ロシアによるウクライナ侵攻の文脈で初めて「戦争犯罪」という言葉を用いた[59]
  •   イタリア - マリオ・ドラギ首相は、ブチャからの映像は「驚くべきもの」であり、「ロシア当局は、起こったことに対して責任を負わなければならない」と述べた。また、イタリアがウクライナとその国民に全面的に連帯していくことを明らかにした[60]
  •   インド - T・S・ティルムルティ英語版国連大使は、国際連合安全保障理事会で、ブチャでの民間人殺害を「深く憂慮する」と非難した。また、この事件に対する独立した調査を求める声を支持した[61]
  •   オーストラリア - マリゼ・ペイン英語版外相はテレビのインタビューで、戦争犯罪の疑いがあるとしてロシアを非難し、「集団墓地での虐殺、殺人、戦争の武器としての強姦の使用は調査されなければならない」と述べた[63]
  •   オーストリア - 外務省英語版は、「ブチャや他のウクライナの都市での残虐行為の写真に愕然とした。ロシアの侵略は直ちに止めなければならない」とツイートした[64]
  •   オランダ - マルク・ルッテ首相は、ブチャでの「恐ろしい犯罪」の報告に「ショックを受けている」と述べた。さらに、この事件は「調査」されなければならず、オランダは「戦争犯罪の加害者」の責任が問われるまで「休むことはない」と付け加えた[65]
  •   カナダ - ジャスティン・トルドー首相は4月3日、「我々はウクライナの民間人の殺害を強く非難し、ロシア政権の責任を追及することに引き続き尽力し、ウクライナの人々を支援するためにできる限りのことを続けていく」とツイートし、「これらのひどい、ぞっとするような攻撃の責任者は、今後裁判にかけられるだろう」と述べた。メラニー・ジョリー英語版外相は、ロシアの行為を「衝撃的」かつ「罪のない一般市民の無意味な殺害」と呼び、「カナダは責任者が責任を負うよう、戦争犯罪の調査を含め、いかなる努力も惜しまない」と述べた[66]
  •   韓国 - 外交部の崔泳杉はブチャでの虐殺について「深刻な憂慮」を表明した。また、「戦時の民間人虐殺は明白な国際法違反だ」とした上で、「わが政府は独立した調査を通じた責任究明が重要だとした国連事務総長の3日付の声明を支持する」と明らかにした[67]
  •   ギリシャ - 外務省英語版は、ロシアに対する非難を明確にした上で「これらの犯罪の責任者は責任を負わなければならない」とし、即時調査と責任者の処罰を要求した[69]
  •   スイス - 外務省英語版は、「ブチャからの報告は、深刻な国際人道法違反の懸念を抱かせるものである」とした上で、国際刑事裁判所を支持し、独立した国際的な調査を求めた[72]
  •   スペイン - ペドロ・サンチェス首相は、ブチャから流れてくる「恐ろしい映像」に対して「恐怖、痛み、怒り」を表明し、それらを戦争犯罪と呼び、その加害者が罰せられないのはあり得ないと述べ、また、ウクライナの人々への支援と連帯を改めて表明した[73][74]
  •   チェコ - ペトル・フィアラ首相は、「ロシア軍はウクライナで戦争犯罪を犯している」と述べ、「世界は、罪のない人々が死ぬ不必要な戦争を起こしたウラジーミル・プーチンのことを決して忘れてはならない」とツイートした[77]
  •   チリ - 外務省英語版は、虐殺の疑いがあるとしてロシアを非難し、「ウクライナのブチャ市で殺害された市民の残酷な映像に懸念を表明」した上で、「これらの出来事に関する独立した公平な調査、責任の特定と国際基準に基づく制裁」を要請した[78]
  •   台湾 - 外交部は、「ウクライナのブチャの大虐殺は恐ろしいものであり、全く受け入れがたい。私たちは、この人道に対する罪を犯した犯人を裁かなければならない」とツイートした[79]
  •   中国 - 張軍英語版国連大使は4月6日、「民間人への攻撃は受け入れられず、あってはならない」と指摘した上で「ブチャでの民間人の死者を巡る報道や画像は極めて気掛かりだ」とし、「この件に関する状況や具体的な原因は検証、立証されるべきだ」と述べたが、ロシアに対する非難や擁護はせず「各国は自制を保ち、根拠のない非難を避けるべきだ」と語った[80]。ただ、国営の中国中央電視台は5日正午のニュースで、「ロシア外相:ブチャ事件の嘘を暴く」という題で、ブチャでの虐殺をフェイクとするロシア側の主張にそって本件を報じている[81]
  •   ドイツ - ロベルト・ハーベック副首相は、ブチャでの出来事を「正当化できない」「ひどい戦争犯罪」と表現した[83]アンナレーナ・ベアボック外相は声明で、ブチャの状況は「信じがたい残虐性」を示したとし、「ロシア軍に占拠された他の場所からも同様の映像が出ることを恐れなければならない」と訴えた[84]
  •   フランス - 外務省は、外交官の活動が安全保障上の脅威だと判断し、35人の外交官を国外追放すると表明した[84]
  •   ポルトガル - アントニオ・コスタ首相は「ブチャから送られてくる映像の残虐さは衝撃的だ。民間人に対するこのような残虐行為を強く非難する。国際司法によって激しく罰せられるべき、受け入れがたい蛮行だ」とツイートした[90]
  •   モルドバ - マイア・サンドゥ大統領は、この出来事を「人道に対する罪」とした上で、2022年4月4日をロシア兵によって犠牲となったすべてのウクライナ人を追悼する国家追悼の日とする宣言を行った[92]
  •   ルーマニア - クラウス・ヨハニス大統領は、ロシアのウクライナ侵攻がもたらした「恐ろしい、言いようのない結果」について、ブチャの大虐殺は「全世界がこの違法な侵略を止めなければならないということ」、「責任があると認められた者は償わなければならないということ」を思い起こさせるものであると述べた。ニコライ・チューカ首相も「ロシア兵がウクライナで犯した恐ろしい犯罪」を非難し、国際司法裁判所による処罰を求めた。ボグダン・アウレスク英語版外務大臣もこの虐殺を非難し、国際司法による裁きを求め、国際刑事裁判所による調査への支持を表明した[95]。その後、この虐殺事件への対応として、10人のロシア外交官を追放した[96]

ロシア外交官の追放を決定した国家

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今回の件を受けて、ロシア外交官の追放を決定した国々は以下の通り[98][99]

事件の画像

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画像外部リンク
閲覧注意
  手を縛られ撃たれた民間人の遺体
  手を縛られ犠牲となった民間人の遺体
  ブチャの路上で犠牲となった民間人の遺体
  焼け焦げた車と犠牲となった民間人の遺体
  拷問されてハッチに投げ込まれ犠牲となった男性の遺体
  交差点で犠牲となった6人の遺体
映像外部リンク
  Special forces of the National Police are cleaning up the city of Bucha - ウクライナ警察による動画
  Augenzeugin über Gräueltaten in Butscha: „Zweimal bin ich dem Tod entkommen“ - デア・シュピーゲルによる動画

脚注

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  1. ^ a b c d e ブチャ虐殺 解放宣言1年:全ての戦争犯罪 追及誓う」『毎日新聞』夕刊2023年4月1日6面(2023年6月13日閲覧)
  2. ^ a b c d e 木寺もも子; 大島有美子 (2022年4月4日). “キーウ近郊、民間人遺体400超か 欧米各国「戦争犯罪」”. 日本経済新聞. 2022年4月4日閲覧。
  3. ^ キーウ近郊で民間人410人の遺体、ウクライナ「大虐殺」と強く非難”. ロイター (2022年4月4日). 2022年4月4日閲覧。
  4. ^ UN report details summary executions of civilians by Russian troops in northern Ukraine”. 国際連合人権高等弁務官事務所. 2024年1月24日閲覧。
  5. ^ 「ブチャの大虐殺がイギリスとウクライナの計画と判明して騒がなくなった」は誤り【ファクトチェック】”. 日本ファクトチェックセンター. 2024年1月24日閲覧。
  6. ^ キーウ近郊で410人の遺体、民間人を虐殺か…「ロシア軍の関与」人権団体が証言を収集”. 読売新聞オンライン (2022年4月4日). 2022年4月4日閲覧。
  7. ^ Russia to ask U.N. Security Council again to discuss Bucha 'provocations'”. ロイター. 2023年10月8日閲覧。
  8. ^ Guy, Jack (2023年1月12日). “Russian forces have committed ‘a litany of violations’ in Ukraine, says rights group” (英語). CNN. 2024年4月13日閲覧。
  9. ^ 日本放送協会 (2023年3月17日). ““ロシアがウクライナで戦争犯罪にあたる行為” 国連調査委 | NHK”. NHKニュース. 2024年3月24日閲覧。
  10. ^ エルミタージュ美術館にサイバー攻撃=ブチャ事件の情報流れる―ロシア”. 2023年10月25日閲覧。
  11. ^ Devastation and Loss in Bucha, Ukraine”. Human Rights Watch (2022年3月30日). 2022年4月5日閲覧。
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  13. ^ a b c 深沢亮爾 (2022年4月3日). “ウクライナ奪還の街で「280人埋葬、全員が後頭部撃たれた」…ロシア軍による戦争犯罪の可能性”. 読売新聞オンライン. 2022年4月4日閲覧。
  14. ^ ロシア軍、ブチャ住民の殺害否定”. AFP通信. 2022年4月4日閲覧。
  15. ^ Bucha, cidade da Grande Kiev, é recapturada pela Ucrânia, diz prefeito” (ポルトガル語). SWI swissinfo.ch (2022年4月1日). 2022年4月5日閲覧。
  16. ^ a b Ukraińskie wojska wyzwoliły Buczę. "Dzień przejdzie do historii"” (ポーランド語). wydarzenia.interia.pl (2022年4月1日). 2022年4月5日閲覧。
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  19. ^ 寺口亮一 (2022年4月6日). “「拒否権を死をもたらす権利に変えようとしている」…ゼレンスキー氏、ロシア批判し安保理改革要求”. 読売新聞オンライン. 2022年4月6日閲覧。
  20. ^ ウクライナ国連大使JNNインタビュー ブチャでの惨劇「ロシアに責任負わせる」 日本に対して「国連安保理改革に向けた努力を協力して強化していくべきとき」(TBS系(JNN))”. Yahoo!ニュース (2022年4月5日). 2022年4月6日閲覧。
  21. ^ ブチャ解放から1年、ゼレンスキー氏「世界はこの街のことを忘れない」読売新聞オンライン(2023年4月1日)2023年5月5日閲覧
  22. ^ Военные преступники непосредственно участвующие в совершении военных преступлений против народа Украины в г. Буча – военнослужащие 64 отдельной мотострелковой бригады 35 ОА ВВО”. gur.gov.ua (2022年4月4日). 2022年4月5日閲覧。
  23. ^ “市民殺害に関与の可能性” ロシア兵1600人余の名簿公開”. NHKニュース (2022年4月5日). 2022年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月5日閲覧。
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関連項目

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