フォーミュラ4
フォーミュラ4(Formula 4、F4)は、モータースポーツの一カテゴリーである。フォーミュラカーレースの中で、フォーミュラ・リージョナル (FR) の下位に位置し、以下に分類される。
国別のF4
編集日本(フォーミュラ4選手権)
編集フランスF4
編集フランスF4選手権(French F4 Championship)は、フォーミュラ・ルノーの下位カテゴリーであるフォーミュラ・ルノー・キャンパス (Formula Renault Campus) を2011年に名称変更したものである。
元々はフォーミュラ・ルノーへのステップアップカテゴリーとして1993年に創設。2010年にはF4 ユーロカップ1.6 (F4 Eurocup 1.6) と名称を改めワールドシリーズ・バイ・ルノーの下位カテゴリーとなったが、同年限りで同シリーズから離脱。2011年より主催者であるフランスモータースポーツ連盟 (FFSA) が「若手ドライバーの育成アカデミー」として同カテゴリーを再編したことから現在の名称に改められた。
マシンはシグナテック製シャーシにルノー製1.6リッターエンジンを搭載したワンメイク。また若手ドライバー育成を目的とするため、「1月1日時点で満15歳から23歳までのドライバー」に参加資格を限定している。
2017年一杯で独自路線を終了し、2018年より後述のFIA-F4国際規格を受け入れ、イギリス・ドイツ・イタリアなど近隣国と同じくFIA公認シリーズとなった。マシンはミゲール製シャーシにルノー製2.0リッターエンジンを搭載するワンメイク。
イギリス(BRDC F4)
編集イギリスではブリティッシュ・レーシング・ドライバーズ・クラブ (BRDC) の主催で、2013年よりBRDC Formula 4 (BRDC F4) の名称でレースが行われた。
元々は2006年より同国の750 Motor Clubが主催していたレースが前身。2013年にBRDCとモータースポーツ・ビジョン (MSV) が主催を引き継ぎ、Ralph Firman Racing(RFR)[1]が製造するシャシーに2リッターエンジンを搭載したワンメイクレースである。
2015年にFIA-F4公認シリーズのMSAフォーミュラ(後述)がスタートすると、2016年3月、BRDC F4はBRDC イギリスF3選手権 (BRDC British Formula 3 Championship) として再出発することになった[2]。タトゥース製MSV F4-016シャーシにコスワース製2リッターエンジンを搭載し、F4とF3・GP3の間のギャップを埋める位置付けになる。これにより、MSAフォーミュラが2016年シーズンから「イギリスF4選手権」を名乗ることになった。
なお、伝統のイギリスF3選手権は2014年末にヨーロッパF3選手権へ統合されており、BRDC イギリスF3はその系統ではない。
カナダ(CASC F4)
編集カナダではパイプフレームシャーシにオートバイの750ccエンジンを搭載するローカルマシンをフォーミュラ4と呼んでいる。カナダ自動車スポーツクラブ(Canadian Auto Sport Clubs)のオンタリオ支部(CASC-OR)が運営するロードレースシリーズでF4クラスが走行する[3]。
南米
編集2014年にフォーミュラ4スダメリカーナ (Fórmula 4 Sudamericana) がスタート。ウルグアイを中心に、ブラジル・アルゼンチンを転戦した。マシンは2010-2011年にブラジルで開催されたフォーミュラ・フューチャー・フィアット (Formula Future Fiat) と同じく、シグナテック製ワンメイクシャーシにフィアット製1.8リッターエンジンというパッケージを使用した。
2016年まで3シーズン続いたあと4年目の2017年は開催されず、2018年よりフォーミュラ・アカデミー・スダメリカーナ (Fórmula Academy Sudamericana) と改称して、ブラジルを中心に再スタートした[4]。
FIA-F4
編集国際自動車連盟 (FIA) 制定によるフォーミュラ4(通称:FIA-F4)は、FIAシングルシーター委員会会長(当時)のゲルハルト・ベルガーが主導するジュニアフォーミュラ再編プログラムの一環として、カートとF3の間をつなぐ新たな入門カテゴリとして設立され[5]、2013年3月6日の世界モータースポーツ評議会で承認された[6]。
2014年にイタリアシリーズ[7]が開幕したのを皮切りに、2015年より世界各国・各地域において選手権がスタートした。FIAの基準に従い行われるF4シリーズについては「Certified by FIA」の認可が与えられ[8]、原則として国ごとのモータースポーツ統括団体 (ASN) の主催で開催される。
レースはワンメイクで開催されるが、各選手権ごとにシャシーとエンジンの銘柄を選択できることが特徴となっている。参入するシャシーコンストラクター・エンジンメーカーは登録制となっている。
2016年に導入されたスーパーライセンスポイント制度では、各国の国内F3選手権よりも配点が高く設定されている。
おもなレギュレーション
編集- シャーシ・エンジンは各選手権ごとにFIAから許諾を得たワンメイクとする。同程度の性能になるようFIAのホモロゲーションによって調整が行われる。
- シャシーはカーボンモノコック製で、F3と同等レベルの安全性を有する。
- エンジンは140〜160馬力程度。排気量や過給・非過給の選択は自由。年間10,000kmをオーバーホールなしで走ることが出来る仕様とする。
- イコールコンディション確保ため、パーツのほとんどは指定制とする。
- 参戦費用を抑えるため厳しいコストキャップが設定される。シャシー販売価格は38,000ユーロ(5,320,000円)以下、エンジンの1年間の費用は7,500ユーロ(1,050,000円)以下[9]。
- ドライバーの年齢は15歳以上。
- レーススケジュールやポイントシステム等を「FIAヨーロッパF3選手権に準じたものとする」よう推奨している。
- レースは距離にして60km、もしくは30分以内。
公認モデル
編集- エンジン
-
タトゥース・F4-T014
-
ミゲール・M14-F4
-
童夢・F110
-
クロフォード・F4-16
世界各国・各地域のFIA-F4
編集FIA公認選手権
編集シリーズ | 開催年 | 国/地域 | シャシー | エンジン | タイヤ | 公式サイト |
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イタリアF4選手権 (Italian F4 Championship) |
2014~ | イタリア | タトゥース・F4-T014 (2014~2021) タトゥース・F4-T421 (2022~) |
アバルト・414TF 1.4 Lターボ | ピレリ | [2] |
フォーミュラ・アバルト (Formula Abarth) から再編。WSK Promotionが運営する。 | ||||||
FIA-F4選手権 (F4 Japanese Championship) |
2015~ | 日本 | 童夢・F110 (2015-2023) 東レ・カーボンマジック・MCS4-24 (2024-) |
トムス・TZR42 2.0L トムス・TMA43 2.0L |
ダンロップ | [3] |
SUPER GTと併催。GTアソシエイションが運営する。 | ||||||
イギリスF4選手権 (F4 British Championship) |
2015~ | イギリス | ミゲール・M14-F4 (2015–2021) タトゥース・F4-T421 (2022-) |
フォード 1.6Lターボ (2015–2021) アバルト・414TF 1.4L (2022-) |
ハンコック | [4] |
イギリス・フォーミュラ・フォード選手権 (British Formula Ford Championship) から再編(初年度はMSA Formula)。 イギリスツーリングカー選手権 (BTCC) と併催。 | ||||||
中国F4選手権 (FIA F4 中国锦标赛) |
2015-16~ | 中国 | ミゲール・M14-F4 (2015-2023) ミゲール・M21-F4 (2024-) |
ジーリー・G-Power JLD-4G20 2.0L | クムホ | [5] |
チャイナ・フォーミュラグランプリ (CFGP) の主催団体が運営。 | ||||||
NACAM F4選手権 (NACAM Formula 4 Championship) |
2015-16~ | メキシコ | ミゲール・M14-F4 (2015-2023) タトゥース・F4-T421 (2024-) |
フォード・エコブースト 1.6Lターボ | ピレリ | [6] |
シーズン開幕戦はF1メキシコGPと併催。Road to Indyスカラシップ選考と提携している[17]。 | ||||||
オーストラリアF4選手権 (Australian Formula 4 Championship) |
2015~2019 2024~ |
オーストラリア | ミゲール・M14-F4 (2015-2019) タトゥースF4-T421 (2024-) |
フォード・エコブースト 1.6Lターボ | ハンコック (2015-2019) ジティ (2024-) | |
オーストラリア・モータースポーツ(CAMS)が運営。スーパーカー選手権と併催。 参加台数不足が続き、2019年一杯で終了[18]。 | ||||||
ADAC フォーミュラ4 (ADAC Formel 4) |
2015~2022 | ドイツ | タトゥース・F4-T014 | アバルト1.4Lターボ | ピレリ | [7] |
ADAC フォーメル・マスターズ (ADAC Formel Masters) から再編。ドイツ自動車連盟 (ADAC) が運営する。 ADAC GTマスターズ (ADAC GT Masters) と併催。 | ||||||
SMP F4 NEZ選手権 (SMP F4 NEZ Championship) |
2015〜 | ロシア フィンランド | タトゥース・F4-T104 | アバルト1.4Lターボ | ハンコック | [8] |
北欧(North Europian Zone)地域対象。以前はスウェーデン、オランダ、エストニアでも開催された。SMPレーシングが運営。 ロシア・サーキットレーシングシリーズ (Russian Circuit Racing Series) と併催。 | ||||||
スペインF4選手権 (F4 Spanish Championship) |
2016〜 | スペイン | タトゥース・F4-T104 | アバルト1.4Lターボ | ハンコック | [9] |
コイラネンGP (Koiranen GP) が運営。 | ||||||
アメリカF4選手権 (Formula 4 United States Championship) |
2016〜 | アメリカ合衆国 カナダ | クロフォード・F4-16 | ホンダ2.0L | ハンコック | [10] |
SCCAプロレーシング (SCCA Pro Racing) が運営。 クロフォード・コンポジット製シャーシにHPD製エンジンを搭載[19]。 | ||||||
東南アジアF4選手権 (Formula 4 South East Asia Championship) |
2016-17〜 | マレーシア タイ インド インドネシア |
ミゲール・M14-F4 | ルノー2.0L | ハンコック | |
東南アジア(South East Asia)地域対象。 | ||||||
UAE F4選手権 (Formula 4 UAE Championship) |
2016-17〜 | アラブ首長国連邦 | タトゥース・F4-T104 | アバルト1.4Lターボ | ハンコック | [11] |
ATCUAE (Automobile & Touring Club of the United Arab Emirates) 主催、AUHモータースポーツ運営。 ヤス・マリーナ・サーキットとドバイ・オートドロームで開催。 | ||||||
デンマークF4選手権 (F4 Danish Championship) |
2017〜 | デンマーク | ミゲール・M14-F4 | ルノー2.0L | ピレリ | [12] |
DASU (Dansk Automobil Sports Union) 主催。フォーミュラ5(旧フォーミュラ・フォード)と混走。 デンマーク・サンダースポーツ選手権 (Danish Thundersport Championship) 、デンマーク耐久選手権と併催。 | ||||||
フランスF4選手権 (Le Championnat de France F4) |
2018〜 | フランス | ミゲール・M14-F4 | ルノー2.0L | クムホ | [13] |
FFSA (Fédération Française du Sport Automobile) アカデミー主催。2018年よりFIA-F4規定で開催。 | ||||||
アルゼンチンF4選手権 (FIA F4 Argentina) |
2020〜 | アルゼンチン | ミゲール・M14-F4 | ジーリー2.0L | ピレリ | [14] |
アルゼンチン自動車クラブ (ACA) 主催。 |
FIA-F4規格のシリーズ
編集シリーズ | 開催年 | 国/地域 | シャシー | エンジン | タイヤ | 公式サイト |
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フォーミュラ・アカデミー・フィンランド (Formula Academy Finland) |
2018〜 | フィンランド | タトゥース・F4-T104 | アバルト1.4Lターボ | ハンコック | [15] |
コイラネンGPが運営。2020年よりフォーミュラ・オープン・フィンランドに編入される。 | ||||||
フォーミュラ・プロ・アメリカ西選手権 (Formula Pro USA Western Championships) |
2018〜 | アメリカ合衆国 | リジェ・JS-F4 | ホンダ2.0L | ハンコック | [16] |
アメリカF4選手権と同じくSCCAプロレーシング (SCCA Pro Racing) が運営(マシンパッケージも同等)。西海岸地域で開催。 |
各選手権の歴代勝者
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脚注
編集- ^ 代表のラルフ・ファーマン・シニアは元々ヴァン・ディーメンの創業者で、元F1ドライバーのラルフ・ファーマンの父親。
- ^ BRDC British F3 2016 season preview Formula Scout(26 March,2016)
- ^ About F4 Canada F4 Canada
- ^ “F4 Sudamericana relaunched as Brazil-based championship”. Formula Scout (2018年4月30日). 2020年4月21日閲覧。
- ^ "ベルガー、F3の改革とF4カテゴリー創設を提唱". レスポンス. (2012年8月17日) 2016年1月23日閲覧。
- ^ FIA reveals Formula 4 plan - AUTOSPORT・2013年3月21日
- ^ 笹原右京、代役出場のイタリアFIA-F4で優勝 - オートスポーツ・2014年6月9日
- ^ http://www.fia.com/sites/default/files/basicpage/file/FIIII_plaquette_full_formula4.pdf
- ^ 税別、2014年8月の為替レートで換算。
- ^ F.4ITALY_TATUUS2014.pdf
- ^ FORMULE 4 Mygale - concepteur et constructeur de voitures de course
- ^ FIA-F4 2015年 レース車両解説 TOYOTA GAZOO Racing
- ^ Ligier JS F4 Ligier Automotive
- ^ FIA フォーミュラ4 パワード・バイ・アバルト|アバルトの歴史を刻んだモデル No.032 SCORPION MAGAZINE(2018年8月7日)
- ^ About British F4 Ford Motor Company
- ^ Geely to provide engines to Formula 4 Autoblog(Sep 16th 2014)
- ^ Mazda Road to Indy USF2000 $200K Scholarship Shootout details announced Racer.com(October 9,2018)
- ^ Australian Formula 4 to be axed after 2019 motorsport.com(Sep 4,2019)
- ^ [1] autosport web(2015年9月18日)
参考項目
編集- フォーミュラ・コリア - ウエスト社製F4シャシーを転用してスタートした韓国のトップフォーミュラ。
外部リンク
編集日本
編集- 日本F4協会
- F4 JAPANESE CHAMPIONSHIP
- DUNLOP MOTORSPORT(レースリザルト)
- FIA-F4 JAPANESE - YouTubeチャンネル
海外
編集- FIA-F4ガイダンス - 国際自動車連盟 (PDF)
- フランスF4公式サイト