ファントム・レイ (航空機)

ファントム・レイ

ドライデン飛行研究センターのファントム・レイ(2011年)

ドライデン飛行研究センターのファントム・レイ(2011年)

ファントム・レイ (英語: Phantom Ray) は、アメリカ合衆国ボーイングの開発部門ファントムワークスが開発した戦闘型無人航空機 (UCAV, unmanned combat air vehicle, uninhabited combat aerial vehicle) である。本機は偵察や、対地攻撃、自律空中給油任務を含むテスト飛行計画を実施するための、ほぼ戦闘機の大きさのデモンストレーション用航空機である[2][3]

設計と開発

編集
 
B747 (N905NA)に搭載されるファントム・レイ

「ファントム・レイ」プロジェクト (The Phantom Ray project) は、ボーイング社内では "Project Reblue" と呼ばれ、2007年中頃に最初に概念化され、2008年6月早々に開始された。このプロジェクトは、2009年5月まではごく一部の経営幹部や技術者達を除けば社内でも秘密にされていた[4]

ファントム・レイの開発はボーイング ファントムワークスによって、ボーイングが国防高等研究計画局 (DARPA, Defense Advanced Research Projects Agency)/米空軍/米海軍の共同計画であった"Joint-Unmanned Combat Air Systems"(J-UCAS、統合無人戦闘航空システム)のために独自に開発していたX-45Cの試作機を基本に行われた[5]。しかし、ファントム・レイは特定の計画や競争を狙ったものではなかった[6]

ファントム・レイは2010年5月10日にセントルイスで公開された[3][7]。2010年11月末にミズーリ州セントルイスで低速タクシー試験が実施された[8][9]。実演機は6ヶ月間にわたって、情報収集や監視、偵察、敵の防空の抑制といった支援作戦や、電子攻撃 (electronic attack)、掃討戦闘、そして自律空中給油などの10の試験飛行を行った[2]。ボーイングは、ファントム・レイが試作機の最初のシリーズになると期待していた[3]。ファントム・レイの初飛行は2010年12月にNASAのドライデン飛行研究センターより行われると予定されていたが[3][8]、その予定は2011年初頭に延期された[10]。 機体は試験飛行の間の2010年12月13日にB-747シャトル輸送機 (N905NA) によってセントルイスからドライデン飛行研究センターへ輸送された[10][11]

2011年4月27日、ファントム・レイはカリフォルニア州エドワーズ空軍基地において初飛行を行い[12]、高度7,500フィート (2,300 m) まで飛行し、速度は178ノット (330 km/h)に達し、合計17分間の飛行を行った[13][14]

諸元・性能

編集

"*"印の数値はX-45のものである。

出典: [3] Boeing backgrounder,[15] Airforce Technology X-45,[16] Boeing X-45 page[17]

諸元

性能

  • 最大速度: 1,040km 0.85 マッハ
  • 巡航速度: 988 km/h (614 マイル/時 (534 ノット)) 0.8 マッハ
  • 航続距離: 2,414 km* (1,500 マイル (1,303 海里) *)
  • 実用上昇限度: 12,192 m * (40,000 フィート *)


  使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。

脚注

編集

出典

編集
  1. ^ http://www.flightglobal.com/articles/2011/05/04/356219/pictures-phantom-ray-first-flight-raises-funding-hopes.html
  2. ^ a b "Boeing to Develop, Fly 'Phantom Ray' Technology Demonstrator" Archived 2010年3月10日, at the Wayback Machine.. Boeing, May 8, 2009.
  3. ^ a b c d e Jackson, Randy. "Phantom Ray makes its debut in St. Louis" Archived 2010年5月14日, at the Wayback Machine.. Boeing, May 10, 2010.
  4. ^ Butler, Amy. "Boeing Unveils ‘Phantom Ray’ Combat UAS Demonstrator". Aviation Week, May 11, 2009.
  5. ^ "Boeing's Phantom Ray - the 'Phoenix' of UCAVs". Aviation Week.
  6. ^ "Breaking: Boeing resurrects X-45C as 'Phantom Ray' testbed". Flight Global.
  7. ^ Page, Lewis (11 May 2010). “'Phantom Ray' robot stealth jet rolls out”. Register. May 12, 2010閲覧。
  8. ^ a b Andrew Doyle. “AUVSI: Boeing makes progress with unmanned programmes”. Reed Business Information 2010. August 25, 2010閲覧。
  9. ^ "Boeing Phantom Ray Completes Low-speed Taxi Tests". Boeing, November 22, 2010.
  10. ^ a b "Boeing Phantom Ray Takes a Ride on NASA's Shuttle Carrier Aircraft". Boeing, December 13, 2010.
  11. ^ LaBelle, Kurt. "Phantom Ray Takes A Piggy Back Ride On 747". KTVI via fox2now.com, December 13, 2010.
  12. ^ "Phantom Ray makes first flight".Boeing, May 9, 2011.
  13. ^ Boeing's Phantom Ray soars like a terrifying, unmanned eagle”. 24 March 2015閲覧。
  14. ^ Boeing's Next-Gen Drone 'Phantom Ray' Takes Maiden Flight” (24 March 2015). 24 March 2015閲覧。
  15. ^ Phantom Ray Backgrounder Archived 2010年3月6日, at the Wayback Machine.. Boeing, February 2010.
  16. ^ X-45 J-UCAV Joint Unmanned Combat Air System, specifications. airforce-technology.com
  17. ^ X-45 Joint Unmanned Combat Air System Archived 2008年3月23日, at the Wayback Machine.. Boeing.

関連項目

編集