SLパレオエクスプレス
SLパレオエクスプレス (SL PALEO EXPRESS) は、秩父鉄道が秩父本線の熊谷駅 - 三峰口駅間にて運行している、蒸気機関車 (SL) 牽引による臨時急行列車である。
SLパレオエクスプレス | |
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SLパレオエクスプレス(C58 363牽引) | |
概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 急行列車 |
現況 | 運行中 |
地域 | 埼玉県 |
運行開始 | 1988年(昭和63年)3月15日 |
運営者 | 秩父鉄道 |
路線 | |
起点 | 熊谷駅 |
停車地点数 | 8駅(起終点駅含む) |
終点 | 三峰口駅 |
営業距離 | 56.8 km (35.3 mi) |
平均所要時間 |
2時間39分(下り) 2時間15分(上り) |
運行間隔 | 1往復 |
列車番号 | 5001・5002 |
使用路線 | 秩父本線 |
車内サービス | |
クラス | 普通車 |
身障者対応 | なし |
座席 | 全車普通車指定席 |
娯楽 | 林家たい平による観光アナウンス |
技術 | |
車両 |
C58形蒸気機関車 12系客車 (広瀬川原車両基地) |
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) |
電化 | 直流1,500 V[注 1] |
備考 | |
臨時列車扱い |
イベント時には、特別ヘッドマークを付け運行する。
概要
編集JR東日本の高崎線と接続する熊谷駅から秩父地方へ向かい、風光明媚な長瀞渓谷などを経由し、秩父線の終点三峰口駅である三峰口駅までを約2時間30分で結ぶSL列車である。
秩父鉄道の沿線である熊谷市で行われる'88さいたま博覧会の開催を前に、SL復活の機運が高まったことで運行開始が決定した[1]。列車名は1300万年前に絶滅した海獣パレオパラドキシアが秩父地方に生息していたことに因み、その「パレオ」に「エクスプレス(急行)」を組合わせた造語である[1]。
運行概況
編集概ね3月中旬から12月初旬の期間に運行され、冬季は運休となる。ただし、蝋梅のシーズンなどに電気機関車(EL)牽引で運行することもある。その場合、運行区間がSL牽引のときとは異なる。また2013年度(平成25年度)は冬季にも運行された。
土休日の運行が中心であるが、夏休みシーズンや埼玉県民の日(11月14日)、秩父夜祭開催日(12月3日)などで平日に運行されることもある。なお、平日運行の場合、休日運行と若干異なるダイヤとなる。
停車駅
編集使用車両
編集- 機関車:C58形蒸気機関車363号機
- 客車:12系(4両)
-
C58 363
-
12系
-
デキ100形の牽引する「ELパレオエクスプレス」
編成
編集ここでは自由席車両を自、指定席車両を指(緑色の部分)と表記する。
- 下り熊谷駅発三峰口駅行き5001列車
←三峰口駅 熊谷駅→ SL 1
指2
自3
自4
自
- 上り三峰口駅発熊谷駅行き5002列車
←三峰口駅 熊谷駅→ 1
自2
自3
自4
指SL
車両番号は以下のとおり。
- 1号車:スハフ12 102(元スハフ12 152)
- 2号車:オハ12 112(元オハ12 32)
- 3号車:オハ12 111(元オハ12 34)
- 4号車:スハフ12 101(元スハフ12 149)
なお、2021年(令和3年)および2022年(令和4年)の運行にあたっては、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から全車両指定席車として運行し、自由席の設定はない。
マスコットキャラクター
編集パレオくん
編集パレオくんは、2001年(平成13年)5月26日に初登場したが、それはハイキングのチラシであり、当列車関連ではなかった。2005年(平成17年)からは着ぐるみも登場。それ以降は、年初めの出発式、わくわく鉄道フェスタなど各所に登場するようになる。
ゆる玉応援団 団員No.79。
パレナちゃん
編集パレオくんの女の子版のパレナちゃんが、2008年(平成20年)に初登場した。なお、名前は広瀬川原車両基地で開催された、わくわく鉄道フェスタ2008で公募によって決定した。
ゆる玉応援団 団員No.80。
SL乗車券
編集乗車には乗車券のほか、「SL指定席券」(740円)か「SL自由席券」(520円)が必要[3]。SLの不調や貸出などにより、ELによる代理牽引運転になった場合、乗車券のみで乗車できるため、これらは払い戻しとなる。 なお、2021年(令和3年)及び2022年(令和4年)は全車指定席としての運行となり、「SL指定席券」のみの取扱いとなるため「SL自由席券」は販売されなかった[4][3]。
2021年2月時点、「SL指定席券」および「SL自由席券」は、個人の場合「秩父鉄道SL予約システム」から予約発売となっている[5][6]。
以前は「SL座席指定券」(720円)をJR東日本(みどりの窓口およびびゅうプラザ)でのみ取扱っていたが、JR東日本での取扱が2019年(令和元年)9月29日運転分までで停止されたため、「SL座席指定券」の販売を終了した[7]。
西武秩父駅乗り入れ臨時運転日は、復路を含め全て西武鉄道側のみで発売され、通常の場所では一切取り扱わない。2017年(平成29年)5月27日運行分は西武秩父駅乗り入れ臨時運転にもかかわらず、JR東日本が誤って発売するトラブルが発生した。これはJR東日本側のシステムへの運転日登録のミスによるもの[8]。
沿革
編集- 1987年(昭和62年)
- 1988年(昭和63年)
- 3月15日:熊谷市で開催された'88さいたま博覧会(さいたま博)の開催を記念して「SLパレオエクスプレス」運行開始。JR東日本が保有する43系客車が使用された。
- 8月24日:博覧会開催期間限定での運行だったものを、通年運行に切り替え[9]。
- 2000年(平成12年)
- 客車を、JR東日本から購入・リニューアルしたダークグリーンの12系客車に置き換え。
- 2001年(平成13年)
- 2005年(平成17年)
- この年の運行より指定席を設定。
- 2007年(平成19年)
- 運行20年目を迎える。
- 2008年(平成20年)
- マスコットキャラクター第2弾「パレナちゃん」登場。
- 2012年(平成24年)
- 2013年(平成25年)
- 3月20日:運行再開[13]。
- 12月21日 - 23日:冬休み特別運転として「SLクリスマスエクスプレス」運行。
- 2014年(平成26年)
- 1月1日 - 3日:冬休み特別運転として「SL秩父路はつもうで号」運行。
- 2015年(平成27年)
- 3月22日:アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(あの花)とコラボレートした「あの花×SLパレオエクスプレス記念乗車券」発売記念号として運行[14]。
- 9月19日 - アニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』上映記念列車として運行[15]。
- 2016年(平成28年)
- 5月27日 - 28日:西武秩父駅発三峰口駅行き臨時SL列車が運行。西武鉄道への乗り入れは運行開始以来初めてである[16]。それ以降は、年数回ずつ運行。
- 2019年(令和元年)
- 11月14日:SLの不具合のため、「EL埼玉県民の日号」として運行。
- 11月23日、11月30日、12月7日:客車の仮設テーブルで食事を提供する「SLパレオ de ランチ」を実施[17]。
- 2020年(令和2年)
- 2021年(令和3年)
- 2月13日:C58 363の全般検査が終了し、約1年2カ月ぶりに運行再開。「SLファーストラン号」として特別ヘッドマークのほか、ファーストランサボや日章旗を掲出[18]。
- 2022年(令和4年)
- 2023年(令和5年)
- 5月27日 - 6月11日:ゲーム『崩壊:スターレイル』コラボ記念列車として運行。
- 2024年(令和6年)
備考
編集- 運行開始当初は、急勾配に備えてELを補助機関車(補機)として最後尾に連結して運行していた。しかし、のちにSL単機での牽引が可能であると判明してからは、回送時やSL不調時および長期検査時、イベントによる重連運転などを除いて使用しなくなった。
- 車内で流れる沿線観光案内アナウンスは、秩父市出身の落語家である林家たい平が担当している。EL牽引時は別バージョン(SLをELに言い替えたもの)が使用される。
- 車内販売も行っており、SL車内弁当、お土産品、秩父鉄道オリジナルグッズ、飲み物類を販売している。SL車内弁当は沿線レストランと提携した「SL弁当開発プロジェクト」によって開発されており何度かリニューアルされている(SL車内弁当は事前予約制)[21]。
- パレオエクスプレス乗車時にもらえる乗車記念証の裏面には、乗車記念スタンプを押せるスペースがある。スタンプ台は客車1号車と2号車の間に設置されている。
関連項目
編集- JR東日本ぐんま車両センター:C58 363の管理を委託
- 弘南鉄道:2020年、C58 363の炭水車の車輪整備を委託[22]
- 動態保存中の蒸気機関車
- 日本の蒸気機関車史
脚注
編集注釈
編集- ^ 回送や代走などで電気機関車が牽引する場合のみ使用。
出典
編集- ^ a b c パレオエクスプレスについて
- ^ 埼玉・秩父鉄道 特別な体験/返礼品に「SL乗車」『毎日新聞』朝刊2024年9月21日(東京面)
- ^ a b “SLご乗車方法|SLパレオエクスプレス”. 秩父鉄道. 2022年3月27日閲覧。
- ^ “SLご乗車方法|SLパレオエクスプレス”. 秩父鉄道 (2020年12月10日). 2020年12月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月27日閲覧。
- ^ “2021年SLパレオエクスプレス予約開始☆「秩父鉄道SL予約システム」公開”. 秩父鉄道. 2022年3月27日閲覧。
- ^ “SLご予約方法”. 秩父鉄道. 2021年2月14日閲覧。
- ^ a b 【お知らせ】10月~12月 SLパレオエクスプレス全席自由席☆2020年のSL運転なし 秩父鉄道(2020年4月10日閲覧)
- ^ 5/27 秩父鉄道「SLパレオエクスプレス座席指定券」誤発売について 東日本旅客鉄道(2017年5月10日)2017年5月12日閲覧
- ^ 「読者短信」『鉄道ピクトリアル』第38巻第12号、電気車研究会、1988年12月号、110頁。
- ^ 『秩父鉄道ニュース』2012年5月号(表紙)
- ^ 広瀬川原熊谷工場内SL機関車入換作業中の脱線について (PDF, 秩父鉄道 2012年8月6日) [リンク切れ]
- ^ SLパレオエクスプレス運休について[リンク切れ]秩父鉄道 2012年8月6日
- ^ 平成25年のSL列車の運行について 秩父鉄道(2013ン1月22日)2024年12月18日閲覧
- ^ “【秩父鉄道】〈SL「あの花×SLパレオエクスプレス記念乗車券」発売記念号〉運転”. Rail Magazine (2015年3月25日). 2016年11月2日閲覧。
- ^ “【秩父鉄道】〈SL「映画心が叫びたがってるんだ。」公開記念号〉運転”. Rail Magazine (2015年9月24日). 2015年12月6日閲覧。
- ^ 「西武本線 59年ぶりSL走る 秩父に鉄路の両雄並ぶ」[リンク切れ]『東京新聞』2016年5月29日
- ^ 【事前予約】秋冬の「SLパレオdeランチ」☆フレンチ・イタリアンをSL車内で 秩父鉄道 観光・イベント情報(2019年12月24日閲覧)
- ^ “【SLイベント情報】2/13(土)ファーストラン号☆沿線キャラクターの登場や車内特別講義の開催!”. 秩父鉄道. 2021年2月13日閲覧。
- ^ a b “秩父鉄道に9月中旬以降、駅ナンバリング…10月1日から急行とSL列車の停車駅を変更”. Response. 2022年10月3日閲覧。
- ^ “C58 363に後藤工場式デフ”. 鉄道ファン(railf.jp). 2023年7月21日閲覧。
- ^ “SL車内弁当をリニューアル、秩父鉄道らしく開発 沿線レストランが協力、メニューには埼玉産の食材が”. 埼玉新聞. 2022年3月5日閲覧。
- ^ 車輪はめ替え作業(焼き嵌め:やきばめ) 本日の平賀車両基地にて 2020/8/19|青森弘前:弘南鉄道株式会社
外部リンク
編集