パスカル・バセロン
パスカル・バセロン(Pascal Vasselon, 1963年3月20日 - )は、フランス出身のレーシングカー技術者である。2006年途中から2009年までトヨタF1のシニア・ゼネラル・マネージャーを務めた。2024年現在はトヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ(TGR-E)の副社長[1]。
経歴
編集トヨタF1加入まで
編集1963年にフランスに生まれ、1985年にフランス国立航空宇宙大学(現・ISAE SUPAERO)を卒業。卒業後はルノーF1にサスペンション開発担当として加入するが、1985年をもってルノーがF1から撤退したため、その後は市販乗用車開発に携わる。1988年にミシュランへ移籍し、レース部門の様々な役職を歴任した。2000年にミシュランがF1へのタイヤ供給再開を発表すると、総責任者のピエール・デュパスキエに次ぐNo.2としてF1向けのタイヤ開発・供給の指揮を執った。
トヨタF1時代
編集2005年にTMG(トヨタ・モータースポーツ)に加入し、トヨタF1でシャーシ研究開発部門の責任者を務めた。2006年、サンマリノGP前に当時の技術部門の責任者であったマイク・ガスコインの解任を受け『車両デザイン及び開発ゼネラル・マネージャー』に就任し、トヨタがF1から撤退する2009年まで同役職で技術部門の責任者を務めた。
トヨタのF1撤退後
編集トヨタがF1から撤退した2009年以降もTMG→TGR-Eに在籍しテクニカルディレクターを務める。2012年よりトヨタがFIA 世界耐久選手権に参戦するにあたり、プロトタイプレーシングカーのTS030/TS040/TS050、ル・マン・ハイパーカー(LMH)のGR010の開発に携わった。
2024年1月、TGR-Eのテクニカルディレクターの座を退いた。TGR-Eから退社するわけではなく、同時点では「一時的に日常業務からは離れるものの近いうちに新たな役割を発表する」とし[2]、翌月に「ステラジック・モータースポーツ開発担当副社長」の肩書で「カーボンニュートラルと水素技術に焦点を当てた、将来のグローバルなモータースポーツ活動の計画と開発に貢献する」業務を担当することが明らかにされた[1]。トヨタが2027年よりル・マン24時間レースに投入を計画している、水素燃料エンジンを搭載したプロトタイプカーの開発に専念するための異動と見られている[3]。
脚注
編集- ^ a b トヨタ、前技術部門責任者バセロンの“戦略的”な新役職を発表。レースでの水素技術にも関与へ - オートスポーツ・2024年2月22日
- ^ F1、WECでトヨタを長年支えたパスカル・バセロンがテクニカルディレクターを退任。TGR-Eには引き続き所属へ - motorsport.com 2024年1月16日
- ^ トヨタのWEC成功の立役者、バセロンの異動は突然に。今後は水素燃料エンジンプロトタイプ開発に? - motorsport.com 2024年2月20日