バッファロー・メトロレール

路面電車

バッファロー・メトロレール英語: Buffalo Metro Rail)は、アメリカ合衆国ニューヨーク州の都市・バッファローで運行している路面電車ライトレール)。地下区間を有するため、地下鉄として扱われる場合もある[2]。バッファローの公共交通機関組織であるナイアガラ・フロンティア交通局(NFTA)英語版が運営する[3]

バッファロー・メトロレール
ファウンテン・プラザ駅(英語版)で並ぶ車両
基本情報
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
所在地 バッファロー
種類 路面電車ライトレール)、地下鉄
起点 大学駅英語版
終点 スペシャル・イベント駅英語版
駅数 13[1]
開業 1984年10月9日 (1984-10-09)
最終延伸 1986年11月10日 (1986-11-10)
所有者 ナイアガラ・フロンティア交通局(NFTA)英語版
路線諸元
路線距離 10.3km
軌間 1,435mm
電化方式 直流650V
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歴史

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1979年から工事が始まり、ダウンタウン・バッファローに最初の路線(併用軌道区間)が開通したのは1984年5月20日であった[4]。その後、1985年5月20日には地下鉄線がラ・サール駅英語版まで開通し[5]1986年11月10日にはニューヨーク州立大学バッファロー校の最寄り駅である大学駅英語版まで延長した[6]

開業当時、併用軌道区間はトランジットモールとされ、自動車の乗り入れが制限されていたが、ダウンタウン・バッファローの主要道路の混雑を解消するため、一部のビジネスグループからは制限の解除が要請されていた。それを受け、2008年以降は再度自動車を通行可能とするプロジェクトが実行され[7]、2013年以降一部の電停の廃止を含めトランジットモールの撤廃が進んでいる[8]

2017年1月9日にはアマースト電停から分岐しコブルストーンへ向かう支線建設計画が発表され、2018年に建設予定地の環境審査のための予算が承認された[9]。実現すれば1986年にメトロレールの路線網が完成して以来初の路線延伸となる[10]

2019年、民主党のニューヨーク州上院議員(当時)であるティム・ケネディと同州下院多数派院内総務のクリスタル・ピープルズ=ストークスは、路線の大規模な改修工事を含む5カ年計画を実施するための予算1億ドルを州予算から拠出することをアンドリュー・クオモ同州知事から確約。以降、線路設備の交換や駅のリニューアルといった路線全体での改修工事が進んでいる[11]

2025年1月にはスペシャル・イベント駅より先にある車両基地内にDL&W駅がスペシャル・イベント駅を置き換える形で開業する予定である[12]

なお、メトロレール開業以前のバッファローには馬車鉄道路面ケーブルカーが存在し、1890年以降は順次路面電車インターアーバンへと置き換わったが、1940年にバスへの置き換えが決定し1950年7月1日をもって廃止されている[13]

運用

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大学駅英語版からアレン/医療キャンパス駅英語版の間は高床式プラットフォームの地下区間を走る一方、バッファロー・ダウンタウンに敷かれたファウンテン・プラザ駅英語版からスペシャル・イベント駅の区間は地上の併用軌道となり、プラットフォームも低床式である[14]

スペシャル・イベント駅はキーバンク・センターでのイベント開催時のみ営業する臨時駅であり、通常時のダイヤは1つ手前のカナルサイド駅止まりとなる。

2016年11月7日時点で平日、土曜、日曜・祝日の3種類のダイヤが存在する。沿線のファースト・ナイアガラ・センターカナルサイド英語版でイベントが行われた際は臨時列車も運行する。運賃の支払いに関しては信用乗車方式を採用しているが、併用軌道区間の運賃は無料(Free Fare Zone)となっている[15]

車両

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100形

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バッファロー・メトロレール100形電車
 
登場時の塗装(1998年撮影)
 
現塗装
基本情報
運用者 ナイアガラ・フロンティア交通局(NFTA)英語版
製造所 東急車輛製造
製造年 1983年2月
製造数 27両(101-127)
改造年 2012年-
運用開始 1984年5月20日
主要諸元
編成 1両
2 - 4両編成(営業時)
軸配置 Bo′Bo′
軌間 1,435 mm
電気方式 直流650V(架空電車線方式
設計最高速度 80 km/h
起動加速度 4.83 km/h/s
減速度(常用) 4.83 km/h/s
減速度(非常) 6.76 km/h/s
車両定員 210人(着席51人)
車両重量 30.39 t
全長 20,371 mm
全幅 2,616 mm
全高 3,422 mm
主電動機出力 103 kw
出力 412 kw
制御方式 サイリスタチョッパ制御方式
制動装置 回生ブレーキ発電ブレーキ
備考 諸元は[16][17]に基づく。
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バッファロー・メトロレール開業時に導入された車両。日本東急車輛製造で作られ、1983年に完成した2両の試作車以降計27両が導入された[注釈 1]。最高速度は80km/hだが、併用軌道区間は最高速度24km/h(15マイル)で走行する[16][17]

片側3扉の両運転台車両で、単行運転も可能だが通常は2両編成で運行されており、ラッシュ時には3両編成、イベント時には4両編成も組まれる[18]。扉の下側には折り畳み式のステップが設置されており、低床式プラットフォームが設置されている併用軌道区間で用いられる[16]。NFTAから提示された厳しい騒音規制に対応するため制御方式として騒音が少ないサイリスタチョッパ制御方式を採用しており、高加速・高減速を特長とする[17]

2006年には監視カメラなど車内の安全性の強化、ブレーキシステムの改良、内装の更新、扉部を含めた車体修繕などの大規模リニューアルの実施が発表された[19]。更新が行われた車両は更新前の車両との連結が不可能となっている[20]

改造はアンサルドブレーダによって行われ、当初はスケネクタディのスーパースチール(SuperSteel)の工場で実施される予定であったが、2009年4月に工場が閉鎖した[21]ため、ホーネルのグレイ機械工場(Grey Manufacturing Industries)での実施に変更された。その影響で予定は4年も遅れ、更新プロジェクトの費用も当初の4,000万ドルから4,500万ドルに変更された。最初の更新車(114、123)が運転を開始したのは2012年3月10日である[20]

その他

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1990年には大クリーブランド地域交通局から12両のPCCカーを譲受し、当時計画されていたトナウォンダ方面への支線への導入が予定されていた。しかし支線建設計画は中止となり、車両は2003年にブルックリン歴史鉄道協会(Brooklyn Historic Railway Association)へ再譲渡されている[22]

脚注

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注釈

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  1. ^ 東急車輛製造はそれ以前にボーイング・バートル製のアメリカ標準型路面電車(USSLRV)の車体製造を手掛けた事がある。

出典

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  1. ^ 2014-2015 Annual Performance Report2015年3月31日作成 2018年10月7日閲覧
  2. ^ 地下鉄データ一覧表 ヨーロッパ・アフリカ③(ウクライナ~アルジェリア) 南北アメリカ①(アメリカ合衆国~メキシコ) 2018年10月7日閲覧
  3. ^ NFTA-Metro 2018年10月7日閲覧
  4. ^ Gargan, Edward A. (1984年10月10日). “Buffalo Trolley Line Clangs to a Start”. ニューヨーク・タイムス. https://www.nytimes.com/1984/10/10/nyregion/buffalo-trolley-line-clangs-to-a-start.html 2018年10月7日閲覧。 
  5. ^ Sebree, Mac (1985年4月). “Interurbans Newsletter”. Pacific RailNews: p. 38. オリジナルの2017年2月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140728162237/http://www.trainlife.com/magazines/pages/596/41832/august-1985-page-38 2018年10月7日閲覧。 
  6. ^ Edens, John (2011年12月1日). “25 years ago: South Campus rapid transit station opens”. UB Reporter. http://www.buffalo.edu/ubreporter/archive/2011_12_01/flashback 2018年10月7日閲覧。 
  7. ^ Return of Vehicular Traffic to Main Street - ウェイバックマシン(2008年7月25日アーカイブ分)
  8. ^ a b Metro Rail’s Theater Station set for last use Feb. 17 - ウェイバックマシン(2015年10月18日アーカイブ分)
  9. ^ Metro Rail expansion to Amherst moves forward2018年2月22日作成 2018年10月7日閲覧
  10. ^ Local leaders praise $500 million plan to keep up Buffalo's momentum2017年1月9日作成 2018年10月7日閲覧
  11. ^ After Securing $100 Million Commitment, Kennedy Outlines Planned Improvements to Metro Rail, Tours LaSalle Station With NFTA Executive Director | NYSenate.gov” (英語). www.nysenate.gov. 2024年10月14日閲覧。
  12. ^ Transit Development Plan April 2024”. NFTA-METRO. Oct. 15th, 2024 JST閲覧。
  13. ^ History of Metro 2018年10月7日閲覧
  14. ^ Metro Rail Success - ウェイバックマシン(2008年10月10日アーカイブ分)
  15. ^ weekday weekday - NFTA-Metro作成 2018年10月7日閲覧
  16. ^ a b c CITY OF BUFFALO MAIN STREET MULTI-MODAL ACCESS AND REVITALIZATION PROJECT 2018年10月7日閲覧
  17. ^ a b c 東急車輌製造「PR(輸出車両)鋼製2軸ボギー軽量電車」『鉄道工場』、交通資料社、1984年1月、50頁、ISSN 0913-798X 
  18. ^ E.pdf Appendix E FTA NOISE MODELING WORKSHEETS AND DETAILED METHODOLOGY - ウェイバックマシン(2016年3月4日アーカイブ分)
  19. ^ Park-and-ride likely to be saved2009年6月22日作成 2018年10月7日閲覧
  20. ^ a b Refurbished Metro cars re-enter rail service - ウェイバックマシン(2012年3月13日アーカイブ分)
  21. ^ Rail car manufacturer offers to buy vacant Super Steel site - ウェイバックマシン(2015年7月8日アーカイブ分)
  22. ^ D. David Bregger (2008), Buffalo's Historic Streetcars and Buses, Arcadia Publishing, pp. 121, ISBN 978-0-7385-5750-2