ハマグリ属
ハマグリ属(ハマグリぞく、Meretrix)は、二枚貝綱マルスダレガイ科の1属である。属のタイプは Venus meretrix Linnaeus,1758。
ハマグリ | |||||||||||||||||||||
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ハマグリの中型・小型個体。熊本県産。
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Meretrix Lamarck, 1799 | |||||||||||||||||||||
タイプ種 | |||||||||||||||||||||
Venus meretrix Linnaeus,1758 | |||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||
本文参照
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特徴
編集殻は大型で硬く、表面は平滑。内側に真珠層は無く白色を呈する。丸みを帯びた三角形をしており、特に前縁が丸く、後背縁はゆるやかに湾曲する。後端は狭くなるとともに殻頂は高まる。小月面や盾面を欠く。主歯・前側歯を持つ。套線湾入は浅い[1]。
種
編集- シナハマグリ Meretrix petechialis (Lamarck, 1818)
- チョウセンハマグリ Meretrix lamarckii Gray, 1853
- ハマグリ Meretrix lusoria (Röding, 1798)
- Meretrix attenuata Dunker, 1862 - ベトナム
- Meretrix casta (Chemnitz, 1782) - タイからインド
- ミスハマグリ Meretrix lyrata (Sowerby II, 1851) - ベトナム?
- タイワンハマグリ Meretrix meretrix (Linnaeus, 1758) - 台湾からフィリピン
- Meretrix ovum (Hanley, 1845) - タイからインド
- Meretrix planisulcata (Sowerby II, 1851) - タイ
- トゥドゥマリハマグリ Meretrix sp. - 日本(西表島トゥドゥマリ浜)
- ハンボリハマグリ Meretrix sp. lyrata auct. - ベトナム(波静かな砂地)M. lyrata とは別種という[3]。
- Meretrix sp. - 台湾からベトナム M. lyrata とは別種という。
さらに複数種が東南アジアからインドを中心に生息するが、未記載種などもあって分類は未整理とされる[4]。
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チョウセンハマグリ(Meretrix lamarckii)
千葉県九十九里産
「地蛤」として販売されていたもの、殻径60mm
漁獲
編集昭和後期からハマグリの全国的な減産にともない、中国大陸と朝鮮半島から別種のシナハマグリ(Meretrix petechialis)が大量に輸入されるようになった。(JAS法における産地の表示は、生育期間が長いほうを表示するように義務づけられており)、輸入されたシナハマグリは、日本の浅海域で一時畜養されても「国産」「-県産」や「地はまぐり」などの表記はできない。しかし、たとえば三重県桑名市などでは輸入したシナハマグリを海に3か月ほど浸け(これを畜養と呼ぶ)国産として出荷するなどしていた例があるが、このような外国産の畜養品を国産と呼ぶのはJAS法違反となる[5].。しかし2009年には、やはり中国産のシナハマグリを国産と偽った水産業者が逮捕されるなどの産地偽装事件が起こっている[6][7]。
その他、これら輸品が潮干狩り場で撒かれたりもしていることから、実際に見られる「ハマグリ」のほとんどはこのシナハマグリである[8][9]。
千葉県レッドデータブックでは、標準和名のハマグリは野生絶滅(EX)[10]であり、現在千葉県で産するのは九十九里浜産のチョウセンハマグリ (Meretrix lamarckii)、または潮干狩りのために放流されたシナハマグリである。
茨城県産のものは「ハマグリ」として売られているが、これもチョウセンハマグリである。和名のチョウセンは「朝鮮」だが、輸入品と混同されることを嫌ってか、はさき漁業協同組合などは「汀線」としている[注 1]。市場では「地蛤(じはまぐり)」や「鹿島灘はまぐり」の名で流通することが多い[11]。
三重県産のものも「その手は桑名の焼きはまぐり」の地口などで古くから有名だが、現在「桑名産」は数十トン前後である。桑名産ハマグリの復活へ向けて、人工干潟の造成などの取り組みが行われている[12]。四日市・楠の輸入シナハマグリは出荷日本一である。
このほか缶詰や剥き身などの加工食品にはベトナム産のハンボリハマグリ(しばしばミスハマグリ Meretrix lyrata と呼ばれるが別種とされる)なども多く使用されている[13]。
統計
編集日本における「ハマグリ類」の漁獲高の推移を示す。この統計の「ハマグリ類」にはハマグリ、チョウセンハマグリ、シナハマグリ等が含まれる(漁業・養殖業生産統計「農林水産省」)。
漁獲高(トン) | |
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1920年 | 7103 |
1930年 | 5629 |
1940年 | 3940 |
1950年 | (欠測) |
1960年 | 15847 |
1970年 | 4955 |
1980年 | 1910 |
1990年 | 2251 |
2000年 | 1543 |
歴史
編集ハマグリにまつわる話で、具体的な内容が記されているものとしては、奈良時代の常陸国風土記に登場する、大櫛(国の史跡に指定されている水戸市大串貝塚)の蛤の話(ダイダラボウの話)が古く、常陸の鹿島灘に生息するチョウセンハマグリは日本古来の蛤の一種として、古くから「ハマグリ・はまぐり・蛤」と呼ばれていたことが確認できる。
工業利用
編集脚注
編集注釈
編集- ^ 汀線(ていせん) とは - 汀線の読みは「テイセン」が正しく「チョウセン」は間違い
出典
編集- ^ a b 相模湾産貝類 p647
- ^ a b 相模湾産貝類 p648
- ^ 小菅丈治「ベトナム産ハンボリハマグリの諸特徴, 特に北部ベトナムへの移入について」『ちりぼたん』Vol.36、No.4、pp. 132–135、2006年
- ^ 「熊谷毅・小澤智生、Meretrix 属(Heterodonta; Veneridae)の分子系統学的解析(日本貝類学会平成 13 年度大会(東京)研究発表要旨)」『Venus』Vol.60、No.1-2、 pp.107-108、2001年
- ^ 厚生労働省医薬食品局基準審査課/農林水産省消費・安全局表示・規格課(2003年7月4日プレスリリース). 第7回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要について[1]
- ^ 農林水産省(2009年3月25日プレスリリース).産情報公表JAS規格制度等を悪用した大分県産はまぐりの産地偽装に対する措置について.
- ^ 読売新聞(2009年5月21日)中国産ハマグリを「大分産」…水産加工社長ら3人逮捕.
- ^ 侵略とかく乱の果てに 神奈川の移入生物 - 神奈川県立生命の星・地球博物館
- ^ シナハマグリ(支那蛤) - 愛知県食品衛生検査所
- ^ 千葉県レッドデータブック(動物編) - 生物多様性センター
- ^ “産地直送! 鹿島灘はまぐり”. はさき漁業協同組合 2024年6月9日閲覧。
- ^ 「桑名市」桑名産ハマグリ復活への取り組み - 桑名市
- ^ 「白はまぐり」の正体は? - 東邦大学理学部東京湾生態系研究センター
- ^ 日向特産 はまぐり碁石ができるまで - 日向はまぐり碁石まつり - 日向市ホームページ
参考文献
編集- 生物学御研究所 編『相模湾産貝類』丸善、1971年。ISBN 4-621-01217-7。